管理職の転職は難しい?成功させるためのポイントや注意点を解説

30代や40代の方が転職を考える際、頭をよぎるのは「管理職」という言葉ではないでしょうか。一般的に、経験なく管理職として転職するのは難しいとされています。それが外資系企業への転職であっても、日本とは異なるスキルや考え方が求められるため、容易ではありません。そこで本稿では、まず社内での管理職昇進に焦点を当てました。その上で、管理職への外部転職を成功させるためのポイントや注意点について解説します。

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1.管理職に昇進するための方法とは?

30代や40代の方が転職で管理職を目指すのは、不可能ではありませんが、簡単とはいえません。なぜなら、転職における管理職採用では、管理職として働いた経験が重視されるからです。そのため、30代や40代の方が管理職としての転職を希望するのであれば、まずは社内で管理職を目指すことをおすすめします。あらかじめ管理職となっておけば、経験と能力の両方をアピールできるため、管理職への転職で有利になるでしょう。

では、管理職へ昇進するためには、どのような方法をとればよいのでしょうか。まず重要なのは、3つの能力を身に付けることです。

  1. コミュニケーション能力
    1つ目はコミュニケーション能力を身に付けることです。すべての仕事は対話から始まると言っても過言ではありません。取引相手やチームの意見に耳を傾け、自分の考えを丁寧に伝えられる力は、管理職にとって必須の素養です。管理職は自分の仕事だけでなく、部下の仕事をまとめ上げ、部署やチームとして成果を出さなければなりません。それにはチーム全体が働きやすい環境や雰囲気を作ることが求められます。管理職のコミュニケーション能力が優れていれば、部署やチームのメンバー間での意思疎通がスムーズになり、情報の円滑な共有が可能となります。互いに協力関係が維持しやすくなり、チームとしての力が最大限発揮できるようになるでしょう。問題が生じた際の対処も早くなります。したがって、管理職にはコミュニケーション能力が欠かせません。コミュニケーション能力を身に付ける方法としては、日頃の対話を重視することが大切です。相手の視点に立って考え、明確で簡潔な表現を心がけるようにしてください。専門のトレーニングやワークショップに参加するのもよいでしょう。
     
  2. ロジカルシンキング
    2つ目はロジカルシンキングの能力を身に付けることです。管理職には論理的思考力が欠かせません。ロジカルシンキングは、意思決定をスムーズにし、問題解決力を向上させます。くわえて戦略的な計画の策定にも役立つでしょう。ロジカルシンキングを身に付けるには、日頃から前提と結論の関連性や、論理的な連鎖の存在に注視することが大切です。問題を細かいステップに分解し、順序立てて解決策を見つけるトレーニングを積むことも効果的といえます。ロジカルシンキングを学ぶ、オンラインセミナーや勉強会などに参加するのもおすすめです。
     
  3. マネジメントスキル
    3つ目はマネジメントスキルの獲得です。当然のことながら管理職として働くためには、管理・運営のためのマネジメントスキルが求められます。万が一の際には、トラブル発生時の対応力も求められるので、リスクマネジメントの能力も磨いておく必要があります。マネジメントスキルを身に付けるには、上司からのフィードバックを受けることが効果的です。それには、上司とのよい関係を構築するように心掛けることが重要といえるでしょう。なお、上司とのよい関係が築ければ、管理職への推薦も受けやすくなります。特に、外資系企業は日系企業よりも上司の管理や人事の権限が強い傾向があります。管理職を目指すにおいて、上司との関係性は、日系企業よりも重要なポイントとなるでしょう。ちなみに、外資系企業では成果主義が重視される場合が多いです。管理職となるには、自らの成果を強く強調するなど、自己を売り込む積極性も必要となります。

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2.管理職の転職が難しい3つの理由

管理職としての転職は、一般社員としての転職よりも、その難易度は高くなります。なぜ難易度が高くなるのでしょうか。管理職への転職が難しくなることには、3つの理由が考えられます。以下で、3つの理由について整理しましょう。

2-1.求人の数が少ないから

一般的に、管理職の求人は限られているため、転職が難しくなります。転職・求人サイトを見ても分かる通り、求人の大部分は一般職に焦点が当てられています。管理職の求人は全体の2割ほどしかありません。では、なぜ管理職の求人が少ないのでしょうか。

複数の理由が考えられますが、「一般公開しづらい」点が大きな要因と言えます。管理職は経営に近いポジションにあるため、直接の事業運営に関わることが珍しくありません。そのため、管理職の募集そのものが事業運営の内容を広く公開することにつながりかねません。ゆえに管理職の求人は一般公開しづらいといえます。また、管理職は一般選考ではなく、「ヘッドハンティングによって募集」する会社が多く、その求人は公開されていません。さらに一部の企業では、「自社で育てた人材だけに管理職を任せる」方針をとっており、これも求人の少なさに影響を与えています。このような理由から、一般的に管理職の求人数は多くありません。

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2-2.実績を具体的にアピールするのが難しいから

管理職としての仕事は、利益などの明確な成果だけでなく、部下の育成やマネジメントも求められます。したがって、実績だけでなく人柄も評価され、選考基準として重要視されます。しかし、部下育成のスキルなど人間関係に重点を置く仕事は、その成果が見えづらいものですよね。特に人との関わり方や人間性といった部分は、実績として具体的に示しにくく、アピールが難しい側面があります。そのため、多くの人が面接や応募書類の作成に苦戦を強いられ、管理職への転職は困難となっています。特に、マネジメント経験がまったくない人の場合、即戦力としての根拠を示すことも難しくなるので、管理職への転職は一層難しくなるといえるでしょう。

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2-3.企業によって求められる役目が違うから

一概に管理職と言っても、企業によって求めるものが異なります。人材の育成や部下の管理を中心に求める企業もあれば、プレイングマネージャーとしての手腕を重視する企業もあるでしょう。しかし、管理職を求める理由の公開は、事業運営の内容を広く公開することにつながるため、一般的な求人で明らかにされることは多くありません。そのため、管理職の求人では、企業が求める人材と転職者が思い描く仕事との間に、ミスマッチが起きやすくなります。それゆえに管理職への転職活動は困難です。また、管理職の待遇は会社次第で大きく異なります。一般社員とは違い労働基準法で守られる範囲が狭くなるからです。これも企業と求人者との間のミスマッチを起こす理由となっています。

特に外資系の管理職を目指す場合は、日系企業とは社風が異なるので、ミスマッチを起こしていないか注意深く判断しなければなりません。日本企業が重視してきた「配慮」や「助け合い」よりも、ミッションを完遂する能力が求められることが多く、日本型のマネジメントスキルが求められていないことがあるからです。
 

3.管理職への転職を成功させるポイント

30代や40代の方が管理職への転職を成功させるためには、どのようなポイントに気を配る必要があるのでしょうか。

管理職への転職を考慮する際には「転職先の企業規模」を検討することが大切です。企業規模によって管理職に求められている仕事の傾向が異なるからです。例えば、中小企業の場合は、管理すべき人員がさほど多くなく、管理職であっても実務を担う必要性が高いでしょう。そのため、管理能力の経験が少ない方であっても、実務能力があれば採用される可能性が高くなります。一方で大企業の場合は、管理すべき人員が多いため、人員を率いる管理能力やマネジメント能力が重視される傾向が強いです。

また、管理職になると部署やチームの業績に対して責任を負わなければなりません。しかし、自分の希望したことならともかく、やりたい仕事でもないことに責任を負うのは、大きな心理的負担となります。負担で気持ちが萎えてしまわないように、転職先の企業の方向性をしっかりと理解しておかなければなりません。企業が求めるものと志望する仕事とのミスマッチを起こさないように、転職を成功させるためには「志望動機を明確化」することが大切です。

なお、外資系企業の管理職を目指すのであれば、自身の経験をアピールするだけでは足りません。会社から与えられた仕事を全うするという受け身な姿勢は、外資系の風土にはそぐわないからです。外資系企業において、管理職としての転職を成功させるには「主体的にビジネスを牽引する意識」が重要なポイントといえます。したがって、自身の経験が具体的にどんなスキルとなり、それが将来的にどのような成功につながるのか、といった点をアピールすることが大切です。
 

4.管理職への転職をする際に気をつけたいことは?

管理職での転職では、次ポイントに気を付けることが大切です。

まず「転職先が求める人材のイメージと自分のスキルにギャップがないか」という点に気を付けましょう。一般的にどの企業においても、管理職には成熟したスキルが求められます。もし、経験不足でスキルが未熟だと感じたら、転職を思いとどまるのもひとつの選択肢です。「転職先が管理職を求める理由」にも気を配らなければなりません。なかには、残業代節約のためだけに名目上の管理職を募集している求人があるためです。そのような企業に転職しないためにも理由の見極めは必須といえます。

外資系企業で働くのであれば「英語力」に気を付けることも大切です。管理職以上の立場を目指すのであれば、企業の本社がある本国にいる役員たちと、直接英語で交渉できるレベルにまで英語力を磨く必要があるでしょう。なお、外資系企業の管理職といえば給与が高いイメージがあるかもしれません。ですが、実際の給与は経験やスキルが厳しく査定された上で決定されるので、転職前と変わらない給与となるケースが珍しくありません。なかには退職金がない外資系企業もあります。管理職として転職する際には「雇用契約」に十分注意しましょう。

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管理職での転職を目指すならまずは確固たるキャリアを構築しよう

30代や40代の方が転職で管理職となるのは難しいとされています。なぜなら、管理職の求人は数が少なく、求められる役割も企業においてさまざまなためです。もし管理職の転職を成功させたいのなら、いまの会社でキャリアを構築するのが近道といえるかもしれません。特に外資系企業への転職では、管理職としての経験やスキルがより一層求められます。そのため、まずはいまの会社で管理職を目指し、経験やスキルを積むとよいでしょう。

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