派遣社員とは?派遣社員のメリット・正社員との違いを理解しよう!

在宅勤務など多様な働き方が増加している中で、雇用形態についても複数の選択肢の中から自身に合った働き方を選ぶ人が増えています。その中でも派遣社員の場合は正社員と比べて自由な時間を持ちやすい、スキルを活かせる、といった良い面があることから、このような働き方を選ぶ人も多くいます。この記事では、派遣社員としての働き方や、メリット・デメリットについても紹介していきます。 
 

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1. 派遣社員とは 

派遣とは、派遣会社に登録する求職者を求人募集する企業と結び付けて雇用契約を交わし、派遣先の企業で働くことです。この派遣先企業で働く人が派遣社員と呼ばれます。求人募集する企業は、思うように人材が集まらない、応募はあっても見合う人材が現れない、すぐに退職してしまい定着しない、といった人材不足の悩みを抱えていることから、なるべく手間やコストをかけずに即戦力となる人材を確保したいと考えています。そこでこの「派遣」という働き方が双方の架け橋となります。派遣会社に登録する求職者は、自身の職務経歴やスキル、勤務時間や勤務地の希望など様々な条件を伝えます。 

そして派遣会社の担当者が求職者の希望にマッチする求人を探し、求職者と求人募集する企業の条件が合えば、派遣契約へと進んでいきます。派遣社員は、自分のライフスタイルや自分のスキルに合わせた働き方ができるのです。 
 

2. 派遣の種類 

派遣と一口に言っても、派遣には「登録型派遣」「無期雇用派遣」「紹介予定派遣」の3つの種類があります。

2-1. 登録型派遣

「登録型派遣」は、派遣会社に登録する求職者の中から派遣先企業にマッチする人材を選抜し、派遣契約で決められた期間が終了するまで雇用契約を結ぶものです。この場合、派遣契約期間中は、単なる登録者から派遣社員となり、社会保険や福利厚生等も提供されますが、派遣契約が終了すると派遣会社との雇用契約も解消されることになります。

登録型派遣のメリットは、自分のライフスタイルに合わせて仕事を選べることです。登録型派遣では、勤務地や勤務時間などの希望条件を伝えたうえで、条件に合う仕事を紹介してもらうため、自分の都合に合わせて働くことができます。また、自分のスキルに合った場所で働けることや、幅広い経験が積めることも登録型のメリットです。一方、デメリットとしては雇用が安定しないことが挙げられます。企業の景気悪化などで仕事がなくなると、次の仕事が決まるまでは無収入状態になる恐れがあるでしょう。また、登録型派遣では昇給やボーナスなどによる年収の増加は期待できません。契約期間が決められていることから、職場での人間関係がなかなか築けないこともデメリットだといえるでしょう。

関連記事:登録型派遣とはどのような働き方?メリットや注意点などを解説

2-2. 無期雇用派遣

「無期雇用派遣」は、派遣会社に社員として雇われて、派遣先企業に派遣されるシステムです。無期雇用派遣の場合には、派遣会社の社員になるために社員募集に応募して選考を通過する必要があります。 登録型派遣と違い、派遣先企業との契約期間が終了しても派遣会社との雇用契約は継続し、すぐに別の会社に派遣されることになります。

無期雇用派遣のメリットは、派遣会社の社員になれる、つまり雇用が安定することです。通常の派遣社員として働く場合、契約期間が終了すると無収入になる恐れがありますが、無期雇用派遣では収入が途切れる心配がありません。派遣期間の制限がなくなり、職場での人間関係を構築しやすくなることもメリットの一つです。その一方で、登録型派遣に比べて働き方の自由度が低くなるというデメリットもあります。同じ職場で長く働くことから、仕事の責任が重くなることも注意すべき点だといえます。

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2-3. 紹介予定派遣

「紹介予定派遣」は、派遣会社と派遣先企業とが派遣契約を結び、派遣契約が終了した直後に、派遣先企業の契約社員や正社員として雇ってもらうことです。紹介予定派遣の派遣契約期間は最長で6ヶ月と定められていますが、その期間中に派遣先企業と派遣社員の希望が合えば、6ヶ月以下であっても企業の契約社員または正社員に移行することができます。 

紹介予定派遣のメリットは、やはり正社員になれる可能性が高いことでしょう。派遣するうえで契約期間終了後の直接雇用が前提となっているため、派遣社員として働く間もモチベーションを保ちやすいです。本来であれば未経験からはなかなか応募できない企業でも、派遣を経ることでスムーズに就職できる可能性があります。また、実務を通して企業の雰囲気を知り、就職前に自分との相性を確かめられることも、紹介予定派遣の大きなメリットです。事前にお互いの相性を確認することで、就職した後でミスマッチが発覚するリスクを避けることができます。紹介予定派遣のデメリットは、必ずしも正社員になれるわけではないことです。派遣先企業における雇用形態は決まっておらず、直接雇用の契約社員になる場合もあるので気を付けましょう。また、直接雇用されることで派遣社員だったときよりも就業条件が悪化する場合があります。

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3. 派遣社員と正社員の違い 

ここでは、派遣社員と正社員の違いについて説明します。前述の通り、派遣契約期間中の派遣社員の雇用主は派遣会社であり、派遣先企業ではありません。派遣社員として働いている間は派遣会社の社会保険や福利厚生を利用することになります。一方、紹介予定派遣の後、派遣先企業の正社員になった場合には、契約期間に定めのない無期雇用として働くことができます。

この場合、派遣先の企業で働き始めた日が「雇入れ日」となり、6か月以上継続的に勤務し、全労働日の8割以上にあたる日数出勤できていれば、有給休暇が発生する可能性があります。

正社員として働くとなると責任の重い仕事を任されることもあり、その分給料も高くなります。待遇面では、法定福利以外の福利厚生は正社員の方が優遇されることが多く、派遣社員の時には受けられなかったサービスが利用できることもあります。 

また、派遣社員は交通費が支払われない場合もありましたが、近年の法改正によって、「実費支給」または「一般通勤手当に相当する額と同等以上」のいずれかで支払われる可能性があります。

会社が大きければ大きいほど充実した福利厚生を受けられる傾向にあります。 
 

4. 派遣社員とアルバイトの違い

派遣社員とアルバイトは、雇用主と契約期間が異なります。
アルバイトの場合、雇用主・指揮命令者はいずれも就業している企業であり、雇用期間には定めがないケースが大半です。

一方、派遣社員の場合は、雇用主は派遣元企業、指揮命令者は派遣先企業となり、雇用主と指揮命令者が異なるのが一般的です。また、同一組織における契約期間は原則3年が上限とされていますが、給与はアルバイトよりも契約社員の方が高くなる傾向にあります。
 

5. 派遣社員のメリット 

  • 契約以外の仕事をする必要がない
  • プライベートを重視した働き方ができる
  • スキルアップ研修を受けられる
  • 派遣会社のサポートを受けられる
  • 社会保険に加入できる可能性がある

5-1.契約以外の仕事をする必要がない

派遣社員の仕事内容は派遣契約であらかじめ決められているため、原則的に契約以外の仕事をする必要はありません。
ただし、派遣先のスタッフが契約内容(仕事内容)を正しく把握しておらず、結果的に契約外の仕事を依頼してくる可能性はあります。このような場合は、「この業務は契約外の可能性がある」ということを先方に伝えて派遣会社の担当者に相談すれば、その後適切に働けるよう対応してくれます。

5-2.プライベートを重視した働き方ができる

派遣社員は、プライベートを重視した働き方ができるのもメリットです。
たとえば、正社員の労働時間は基本的にフルタイムで、細かな仕事内容や残業の有無などは選べないのが一般的です。しかし、派遣社員の場合はあらかじめ仕事内容が細かく決められており、「週3日勤務」「残業なし」などさまざまな条件の仕事があるため、自分のライフスタイルに合った仕事を選べる可能性が高いのです。転勤や異動はなく、残業の有無や程度も事前に共有されるため、想定外の状況に陥ることはほとんどありません。

5-3. スキルアップの研修を受けられる

派遣会社によっては、PCスキルやビジネスマナー、英会話などのスキルアップ研修を受けられるのもメリットです。
派遣会社がこのような研修を用意するのは、登録者がスキルアップすれば企業とマッチングしやすくなる上、派遣先に質の高い人材を派遣することにつながるからです。
また、複数の派遣先でさまざまな仕事に携われるため、研修と実務の両面から将来的に役立つ貴重なスキルが身につきます。

5-4. 派遣会社のサポートを受けられる

派遣社員は、あらゆるシーンで派遣会社のサポートを受けられる点もメリットです。
派遣会社の担当者は派遣先の社員ではないため、業務や人間関係に関する不安などを相談しやすく、客観的なアドバイスや改善策を提示してくれる可能性があります。状況によっては、派遣会社の担当者が自分と派遣先企業の間に入り、直接的に調整や交渉を行ってくれる場合もあります。
派遣会社のサポートがあるため、自分だけでは対処しづらい問題にも対応しやすくなるのは大きなメリットといえるでしょう。

5-5. 社会保険に加入できる可能性がある

社会保険に加入できる可能性があるのも派遣社員のメリットです。
「社会保険は正社員特有のもの」と思われがちですが、制度上は雇用形態を問わず、条件を満たせば誰でも加入できます。具体的な加入条件には「契約期間が2か月以上であること」や「月の労働時間が120時間以上であること」など、労働条件に関するものが多いため、働く日数や時間が増えれば増えるほど社会保険に加入できる可能性が高まるのです。
 

6. 派遣社員のデメリット 

  • 3年ルールがある
  • スキルや資格、経験の有無で給料が異なる

派遣社員にはメリットがある一方で、いくつかのデメリットもあります。ここでは派遣社員のデメリットについて紹介していきます。派遣社員のデメリットとしてまず挙げられるのは、働ける期間に最長3年間という上限があることです。それを超えて同じ企業で働き続けることは派遣先企業が認めてくれない限りできることではありません。また、派遣契約は基本的に3ヶ月または6ヶ月ごとに更新がありますが、必ずしも契約を満了できるわけではなく、派遣先企業が派遣社員を必要としなくなった場合には、3年に満たなくても企業の都合で契約が終了してしまうことがあります。 

そしてもう一つのデメリットとして、働く人のスキルや資格の有無によって給料に差が出てしまうことです。翻訳・通訳、コンピュータグラフィックやシステムエンジニア等の専門的な資格やスキルがあれば高時給が期待できますが、そういった資格やスキルがない場合には、給料が低くなってしまいます。 

関連記事:派遣社員でキャリアアップはできる?方法や役立つ資格を紹介

6-1. 3年ルールがある

派遣社員には、同一組織で3年を超えて働くことができない、通称「3年ルール」が定められています。
通常、派遣契約は3か月や6か月などの期間が設定されており、必要に応じて更新されるのが一般的ですが、この場合も通算3年が上限となります。
3年ルールはあくまで法律上の上限であり、本人が継続して働きたいと希望したとしても、3年に満たないうちに就業先の都合で契約が終了する場合もあるため注意が必要です。

6-2. スキルや資格、経験の有無で給料が異なる

これまでに身につけたスキルや資格、経験の有無で給料が異なる点も人によってはデメリットと感じる点でしょう。
派遣社員はあらかじめ仕事内容が決められており、仕事内容に見合った給料が設定されていることから、その仕事をすぐに遂行できる即戦力が求められる傾向にあります。
複数の職場でさまざまなスキルや経験を積むことはできますが、給料を上げるためには努力を重ねて人材としての価値を高める必要があります。
 

7. 派遣社員で働くのが向いている方 

プライベートの時間を確保したい、副業や勉強、育児などと両立させたいと考えている人は、派遣という働き方が向いているでしょう。前職では活かせなかったスキルを存分に活かして働きたいという人や、将来的に正社員になることを目指している人は、紹介予定派遣で働いたのち、派遣先企業に認めてもらえれば直接雇用してもらえ、正社員として働くことができるでしょう。その他に、自分の適性を知りたい、いろんな仕事にチャレンジしてみたい、という人も派遣社員に向いています。 

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8. 評価される派遣社員の条件 

派遣社員として高い評価をもらうには、仕事を効率的に進めるために改善策を見出しながら意欲的に働く姿勢です。ミスをしても同じミスを繰り返さないことや、より効率的なルーティンワークを模索することなどです。派遣先企業は派遣会社・派遣社員に対し、賃金+手数料を払っており、当然企業側はそのコストに見合うかそれ以上の働きを期待します。事務仕事においては、PCスキルを習得することも重要です。派遣先企業で使われるようなPowerPointやAccess等のOA講座を受講するなど、派遣会社のスキルアップ研修を通してレベルアップを図ることが大切です。 
 

9. 派遣社員が活躍できる業界

派遣社員は幅広い業界で活躍しています。特に派遣社員の求人が多い業界を知り、興味がある仕事を検討してみるとよいでしょう。派遣社員が活躍しやすい業界として、まずは製造業が挙げられます。その他、金融・保険業小売業情報通信業も、派遣社員が多く活躍している業界として知られています。マスコミ関係や広告業界など、正社員としては働きにくい職場でも派遣社員なら活躍できる可能性があるでしょう。また、どの業界であっても事務職は派遣社員として就業しやすい職種となっています。WordなどのOfficeソフトで書類を作成する業務が多いので、スキルを磨いておけば就業のチャンスも大きくなるはずです。事務職のその他の業務としては、電話対応や来客対応、ファイリングなどが挙げられます。
 

10. 派遣社員として働くときの流れ

  1. 自分の経歴を洗い出し、勤務条件を絞り込む
  2. 派遣会社に登録をして、希望条件を伝える
  3. 派遣会社から仕事を紹介してもらう

派遣社員として働きたい人は、就業までの流れを押さえ、自分がやるべきことを確かめておくとよいでしょう。最初に、自分の経歴を洗い出したうえで、勤務条件などを絞り込みます。自分にはどのようなスキルが備わっているのか、何の仕事を経験してきたのかなど、質問されたときにスムーズに答えられるよう準備しておきましょう。できる仕事の種類などによって、派遣される企業も変わってきます。希望する勤務条件を考えるときのコツは、優先順位を付けることです。譲れない条件とあればうれしい条件を明確に区別し、仕事を探すときの目安とするのがおすすめです。
ここまで済ませたら、派遣会社に登録して希望条件などを伝えます。派遣登録会などに参加し、自分がどんな形で働きたいのかを担当者にはっきりと伝えましょう。なお、派遣会社選びに迷った場合は、複数の会社に登録しておくという方法もあります。ただし、同時に仕事を紹介してもらい、どちらかを断らざるを得なくなるケースもあるため、同時登録は2~3社程度にとどめておくのが賢明です。最後に、伝えた希望条件をもとに、派遣会社から仕事を紹介してもらいます。紹介してもらった仕事の勤務条件などをよく確かめ、納得したうえで就業を決めてください。

関連記事: 派遣の履歴書はどう書く?通常の履歴書との違いやポイントを紹介

11. 派遣会社の選び方

派遣会社を選ぶ際は、以下の4点に注目しましょう。

  • 求人数が多いかどうか
  • 自分にとって魅力的な求人が充実しているか
  •  キャリアアップの支援があるか
  • 優良派遣事業者認定を受けているか

良い求人が見つかるかどうか、速やかに就業できるかどうかは、扱っている求人数に左右されます。加えて、ただ数が多いだけでなく、自分にとって魅力的だと思える求人が充実していることが重要です。

また、派遣会社によって福利厚生が異なるため、キャリアアップの支援が手厚いかどうかもチェックしておきたいポイントです。

最後に、優良派遣事業者認定を受けている会社を選ぶと安心です。優良派遣事業者認定制度とは、一定の基準を満たす人材派遣事業者に対して、厚生労働省が優良事業者として認定する制度です。
 

派遣社員の働き方について分かりましたか? 

派遣社員の働き方について理解できたでしょうか?派遣という働き方は、派遣会社に登録する求職者と求人を募集する企業双方の架け橋となるものです。プライベートな時間が欲しい、家事や育児と両立させたい、持っているスキルを活かしたいという人に最適な働き方です。派遣社員として高い評価を受けるためには、一つ一つの仕事に意欲的に取り組み、業務の効率化を目指しましょう。

【2021年4月16日公開 - 2024年07月04日更新】 

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