皆さんは、普段の生活の中で、自分の健康にどれだけ気を配っているでしょうか? 社会では外見が人物評価につながることも多く、その人がきちんとした健康管理ができているのかが将来を左右してしまう可能性もないとは言いきれません。

業務中は長時間パソコンの前で座っていることが多く、全然体を動かさない生活が当たり前……なんて人も少なくないのではないでしょうか。しかし長時間座ったままでいると、血管疾患、メタボリックシンドローム、糖尿病などのリスクが増加します。さらに乳癌や結腸癌といった病気も、座りすぎが大きな要因です。また、ずっと座ったままでいると憂鬱や不安になりやすく、過剰なストレスもかかってしまいます。何よりも、運動不足はさまざまな病気に結びつく危険があります。

こうしたリスクを解消するためには、1時間座ったら、5分歩くことが理想的だと言われています。仕事の合間に運動の機会を作るのは、難しいと思う人も多いかもしれません。しかし生活のさまざまな場面でちょっと工夫するだけで、毎日の運動量を増やすことができるのです。
 

1.通勤電車でできる運動

通勤電車ではなかなか席に座ることができず、暗い気分になっていませんか? しかし電車の中で立つことは、それだけでも健康に効果的なのです。立っている人は座っている人よりも2倍近くのカロリーを消費し、その上血液の循環も良くなると言われています。電車で立っているだけで運動ができるということは、通勤時間が長い人ほど、運動量を増やすことができるということです。

こんな例があります。ある人は片道90分以上の時間をかけて通勤していますが、電車で座席に座れる機会はめったにありません。それでもゴールデンウィークやお盆になると通勤客が減って、座れるチャンスにも恵まれてきます。これで得をしたかと思いきや、そうではありませんでした。電車の中でも座席に座り、会社でもずっと椅子に座って作業をしているうちに、ひどい腰痛に悩まされるようになってしまったのです。

つまり、この人は電車の中では立っていた方が、かえって不調を感じることなく仕事ができることが分かったのです。もちろん電車に乗っている時間や個人差も関係しますが、それでも電車の中で立つ時間が貴重な運動の機会であることが、お分かりいただけたのではないでしょうか。
 

2.移動時間にできる運動

通勤のための移動時間は、運動時間を増やす絶好の機会です。距離にもよりますが、自宅から駅まで歩いたり、自転車で通うことによって、往復で数十分単位での運動時間が作れることもあります。運動した分だけ体脂肪を燃やすことができますし、体力の向上にもつながります。

駅の移動では階段を使うようにすることが運動量を増やす工夫の1つです。階段を上る運動は平らな場所を歩くよりも3~5倍のカロリーを消費していると言われており、こうした習慣をつけることで得られる運動量は侮れません。

また、時間に余裕を持って帰れる時は、1駅以上手前で下車して歩くこともおすすめです。良い運動になるのはもちろんのこと、いつもとは違う道を通ることで新しい発見ができ、仕事の後のリフレッシュにも効果的です。ただし無理は禁物です。雪や雨、強風といった悪天候の日は控えるようにしましょう。遅い時間に歩く場合には、安全上なるべく人通りの多い道を選ぶといった注意を払うといいかもしれません。
 

3.オフィスでできる運動

営業担当などの外に出る機会が多い人であれば、運動する機会にも恵まれているかもしれません。しかしオフィスワークが中心の人は、一日中座ってばかりでなかなか運動時間を作ることは難しいかと思います。

そんな場合は、なるべく意識して運動時間を作ることを心がけましょう。例えば階の移動の際にエレベーターではなく階段を利用するだけでも、下半身の筋肉が鍛えられて健康増進につながります。

ただし、このケースでも無理は禁物です。例えば、高層ビルの上層階にオフィスがあるサラリーマンが、螺旋状になっている階段を1階から上層の階まで移動しようとしたところ、頭がクラクラして体調を崩してしまったケースがあるようです。また、階段には暖房や冷房が効いていない場合も多く、うっかり無理をすると業務に支障をきたす可能性があります。自分のコンディションや運動する場所の状態も考慮して、適度な運動を続けることを心がけましょう。
 

4.休憩時間にできる運動

休憩時間も、運動をする絶好のチャンスです。散歩などで少しでも体を動かすと、体内に多くの酸素を取り入れることができます。これは健康に良いだけでなく、仕事の合間のリフレッシュにもなります。

最近では、業務中に運動を取り入れる職場も増えているようです。例えば、ミーティングを従来のように会議室やカフェなどで行う代わりに、歩きながら行う「ウォーキング・ミーティング」というものがあります。これはシリコンバレーのIT企業ではすでに人気となっており、アップルの故スティーブ・ジョブズ氏やフェイスブックのマーク・ザッカーバーグ氏も積極的に取り入れてきたようです。

天気の良い晴れた日は、絶好のウォーキング・ミーティング日和です。こうした日に歩いていると室内よりもひらめきが生まれやすく、話し合う中でたくさんのアイディアが出てきます。ただし歩きながらではメモをとるチャンスがないので、歩いた後でしっかりメモをとることを忘れないようにしましょう。また、坂道などでは話しながら歩くと息が上がってしまうこともあるので、コンディションやルート選択に気を配ることも大切です。成人男性の平均的な歩数は1日7,000歩だと言われていますが、理想的な歩数は7,000歩から9,000歩です。理想に近づけるように、なるべく歩く機会を持つようにしましょう。
 

5.自宅で効果的な運動は?

自宅での体操も、運動不足解消に効果があります。最近流行のヨガができれば理想的ですが、家で簡単なストレッチを続けるだけでも柔軟な体をつくることができます。ラジオ体操も効果的だと言われています。

また、積極的に掃除などの家事に取り組むことも運動量の増加につながります。これなら家族のためにもなりますし、一石二鳥と言えるのではないでしょうか。


このように、運動する機会は日常生活のいろいろな場面に存在しています。何よりも大事なのは、運動しようとする意識を持ち、運動する時間を積極的に作ることでしょう。
 

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