ノートパソコンでタイピングする手とAIのデジタル概念。

近年目覚ましい発展のさなかにあり、世界的に注目されているAI技術。将来性が期待されるAIの開発・導入に携わる人材として、AIエンジニアの需要が高まっています。

注目度の高さゆえに、従来のエンジニアとAIエンジニアは何が違うのか、未経験からでも目指せるのかなどが気になっている人も多いのではないでしょうか。

本記事では、AIエンジニアと他のエンジニアの違い、AIエンジニアに向いている人や求められるスキルについて解説します。平均年収や将来性、目指し方なども網羅的にまとめているので、ぜひ参考にして下さい。
 

1. AIエンジニアとは?他のエンジニアとの違い

1. AIエンジニアとは?他のエンジニアとの違い

AIエンジニアは、人工知能(AI)技術の設計・開発・実装などを行う専門職です。

あらかじめ特定の指示を組み込むのではなく、機械学習・深層学習・自然言語処理などの技術を活用して、自動化やデータ分析を行うシステムを構築する点が他のエンジニアとAIエンジニアの大きく異なる点です。

他の代表的なエンジニアには「ITエンジニア」「システムエンジニア」「機械学習エンジニア」などが挙げられますが、どれもAIエンジニアとは異なります。

ITエンジニアやシステムエンジニアは、あらかじめ設計された仕様書や企画書にそって開発を行う点ではAIエンジニアと共通していますが、使用する言語や技術などが異なります。

また、AIの開発や実装までの幅広い業務を担当するAIエンジニアに対して、機械学習エンジニアは機械学習の分野に特化したエンジニアを指します。

1-1. ITエンジニア

ITエンジニアは、システム開発・ネットワーク管理・サイバーセキュリティなど、企業のITインフラ全般を担当するエンジニアです。主にJavaやC#などの開発言語を使用し、あらかじめ決められた仕様書にしたがってシステムを構築します。

一方、AIエンジニアは、目的となるシステムの仕様や設計、使用する技術などを検討する上流工程から担当する場合が多く、Python・C++・R言語などを使用する傾向にあります。

また、近年は従来のITエンジニアを「従来型IT人材」、AIを含む最新技術を扱うエンジニアを「先端型IT人材」と区別するようになったため、「最新技術を扱うか否か」もITエンジニアとAIエンジニアを区別する明確な違いといえるでしょう。

関連記事:ITエンジニアはどんな種類がある?仕事内容、年収、適性を解説

1-2. システムエンジニア

システムエンジニアは、顧客のニーズに合わせて最適なシステムを開発・構築するエンジニアです。

システム全体の設計から保守に至るまで、上流工程を含む幅広い業務を担当するのが特徴です。携わる分野に応じて、「Webエンジニア」「アプリケーションエンジニア」「インフラエンジニア」などに細分化され、プロジェクトに合わせて使用する言語も異なります。

一方、AIエンジニアもプロジェクトの上流工程から幅広く携わる点では共通していますが、機械学習などを用いてAI技術を中心とした開発を行う点が異なります。また、全体で見ると使用する開発言語の種類はシステムエンジニアより限定的といえるでしょう。

関連記事:システムエンジニアの仕事内容は?年収・資格・将来性も解説!

1-3. 機械学習エンジニア

機械学習エンジニアは、AI技術のひとつである「機械学習」に特化したエンジニアで、機械学習領域における開発・設計・運用・保守などを担当します。現在も研究が続いている分野のため、機械学習システムそのものの調査研究やデータ分析、新たなモデルの開発・構築などを行うケースもあります。

広義ではAIエンジニアと同じ分野に軸足を置いていますが、機械学習エンジニアは特定の領域に特化したスペシャリストである一方、AIエンジニアは機械学習も含むより広範囲な業務を担当するという点で、両者は明確に役割が異なります。

1-4. AIエンジニアの平均年収

厚生労働省が行った「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、日本におけるAIエンジニアの平均年収は558.3万円とされています。

年齢別では、20代前半は300万円前後と決して高くはありませんが、経験年数やスキルを積んでいけば59歳まで年収が上がり続ける傾向にあり、最大で約719万円に達します。

給与は各企業の業績やポテンシャルなどによって大きく異なるため一概にはいえませんが、外資系企業の場合は、日系企業よりも高水準となる800〜1,500万円程度の年収が提示される場合もあります。

ただし、必ずしも日系企業よりも外資系企業の方が給与水準が高いとはいえないため、上記はあくまで目安程度に捉えて下さい。

関連記事:外資系企業でITエンジニアとして働くことの将来性は?やりがいやメリットを紹介!
 

2. AIエンジニアに向いている人の特徴

2. AIエンジニアに向いている人の特徴

AIエンジニアに向いている人の特徴には、以下のようなものが挙げられます。

  • ロジカルシンキングができる
  • 新たなテクノロジーに対する関心が高い
  • 数式・コード・大量のデータなどに苦手意識がない
  • 研究心・探究心が旺盛

AIエンジニアは、アルゴリズムを理解した上でビッグデータやデータ解析などを用いて、データを根拠に分析・検証などを行っていくため、それらのデータに苦手意識がないことや、ロジカルシンキングの能力が求められます。

また、AIは現在も研究開発が続けられている発展途上の分野でもあり、今後さらなる進化や未知なる活用方法が期待されています。そのため、より良いものを探求しチャレンジすることや、技術的な進化・進歩を楽しめる人が向いているといえます。
 

3. AIエンジニアの将来性

3. AIエンジニアの将来性

AIエンジニアの需要は、当面の間は高まり続けることが予想されます。なぜなら、多くの企業でDX化や自動化による業務の効率化が必要とされているためです。

業務の効率化は従業員の働き方や製品・サービスの価格などに幅広い影響を与えるため、大きな可能性を秘めたAIは世界規模で注目されています。仮に新たな技術やサービスが開発され、既存の仕組みと置き換えが必要になった場合も、AIエンジニアの存在は必要不可欠です。

職業としては比較的難易度が高いものの、まだまだ伸びしろのある将来性の高い職種といえるでしょう。

関連記事:AIに奪われる仕事とは?今後のキャリアアップのポイントを解説
 

4. AIエンジニアに求められるスキル・資格

4. AIエンジニアに求められるスキル・資格

AIエンジニアに求められる主なスキルは以下の通りです。

  • 機械学習やディープラーニングの知識
  • Pythonの知識や開発経験
  • 統計学・数学に関する知識

AIエンジニアになるためには、よく使用するPythonの知識や経験、AI技術の核ともいえる機械学習やディープランニングの知識は必要不可欠です。

資格としては以下のようなものが役立ちます。

  • 基本情報技術者試験
  • G検定・E資格
  • エンジニア認定試験
  • データサイエンティスト検定
  • MicrosoftやGoogleなどのAI関連の認定資格

資格は必ずしも必要ではありませんが、特定の資格を応募条件に指定している場合もあります。加えて、学習する過程で求められるスキルや知識が身に付いたり、自分の能力をアピールする材料になったりするため、取得を目指すのがおすすめです。

関連記事:Pythonってどんな言語?できることや目指せる仕事など
 

5. 未経験からAIエンジニアに転職するコツ

5. 未経験からAIエンジニアに転職するコツ

未経験からAIエンジニアに転職するコツは以下の4点です。

  1. スキルを身につける
  2. プロジェクトを考えてアウトプットする
  3. 実務経験を積む
  4. 自分に合ったエージェントを選ぶ

5-1. スキルを身につける

まずはAIエンジニアに求められる知識やスキルを把握し、身につけることから始めましょう。具体的な学習方法として、以下のような選択肢があります。

  • 書籍や教材による独学
  • スクールに通う
  • オンライン学習やプラットフォームを活用する

どの学習方法でもスキルを知識やスキルを身につけられますが、それぞれメリット・デメリット、人によって相性が異なるため注意が必要です。

例えば、独学は少ないコストで学習できる点がメリットですが、学習計画やスケジューリングなどを全て自分で行う必要があり、モチベーションを保ちづらいデメリットがあります。

一方、スクールは専用の教材とカリキュラムで効率よく学べる一方、コストが高くなりがちで時間の確保がしづらい傾向にあります。

5-2. プロジェクトを考えてアウトプットする

知識やスキルが身に付いてきたら、プロジェクトを考えてアウトプットしてみましょう。学習だけでは実務に必要な視点や細かなスキルがなかなか身につかないためです。

具体的には、オリジナルのアプリケーションを開発してみて、その過程や学んだことなどを記事などにしてアウトプットする方法などが考えられます。

実際にアプリケーションを開発してみることで、実経験を通して業務に必要な工程を効率よく学べます。また、自身の経験を言語化することで理解が深まり、知識の定着が期待できます。

アウトプットする際は、「どんな技術を用いて何をしたのか」だけでなく、「どのような課題に対して、なぜその技術を用いて解決しようと思ったのか」を伝えることが大切です。

5-3. 実務経験を積む

オリジナルのプロジェクトを立ち上げてみることと合わせて、外部で実務経験を積むことも大切です。この段階ではアピールできる実務経験がなく、どこかの企業に所属するのはまだ難しい可能性が高いためです。

未経験でも取り組めるものとして、オープンソースプロジェクトやコンペティション(通称コンペ)などが挙げられます。オープンソースプロジェクトはそのプロジェクトの一部、または全てを自由に使用・改良することが認められており、実務経験の有無は問いません。

同様に、個人や小規模チームでも参加できるコンペティションがあり、採用されれば注目される上、自身の実績としてアピールすることも可能です。

5-4. 自分に合ったエージェントを選ぶ

AIエンジニアへの転職を成功させるには、自分に合ったエージェントを選ぶことも重要です。エージェントによって得意とする領域や保有している案件が大きく異なるためです。

例えば、IT系に強いエージェントやAIエンジニアの案件に強いエージェントを選ぶことで、その他のエージェントを選ぶ場合に比べて転職のチャンスが広がる可能性があります。加えて、未経験からでも応募できる案件を多く保有していたり、未経験者の紹介になれていたりするエージェントであればより安心です。

自分の状況やレベルに合った転職エージェントを選べれば、転職活動全体がスムーズに進むでしょう。

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AIエンジニアになるには高度なスキルと綿密な準備が必要

AIエンジニアになるには高度なスキルと綿密な準備が必要

AIエンジニアは、従来のエンジニアとは異なる最先端の技術を用いて、AI活用におけるさまざまなシーンで活躍する比較的新しい職種です。

仕事の性質上、新たなテクノロジーに対する関心や探究心、ロジカルシンキングや分析能力などが求められます。未経験から転職を目指す場合は、資格取得を目指して学習したり、実際に手を動かしたりして体系的に知識・スキルを身につけることが大切です。

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