昨今、「働き方改革」が注目されています。
わが国における従来からの労働環境を改善し、年齢、性別を問わず、より多くの国民が容易に就労できるよう条件整備を行い、労働力を確保して労働人口の急激な減少による経済の悪化を防止するという政治的な取り組みです。その内容としては、残業の削減、休暇の増加といった労働時間の規制や、同一労働同一賃金などの法制度の改革が注目を集めています。
しかし、労働法制の改正という企業外からのアプローチだけでは、「働き方改革」が成功するとは思えません。いま、「企業文化」の改革こそが、問われているのです。

「社風」「企業風土」と「企業文化」は違う
「企業文化」とは何でしょうか。同じような言葉に、「社風」や「企業風土」があります。これらは、同じ意味として用いられることもあります。
「企業文化とは、従業員が共通してもつ仕事観や行動様式。その企業独特の経営理念。企業風土と同義に用いられることもある」「(企業風土とは、)従業員に、ある特定の考え方や行動様式を植え付ける、その企業独特の環境。社風。『上意下達の企業風土を改革する』 」(引用は、いずれも「小学館デジタル大辞泉」から)
しかし、「企業風土」と「企業文化」とでは、使われる場面にもよりますが若干のニュアンスの違いがあることも事実です。それは、もっぱら社内のみを意識した内向きの概念か、社外へのアピールをも念頭においた戦略的なコンセプトかの違いです。
何か不祥事が起きた際に、「加害企業の企業風土が問われている」とマイナスイメージに使われることもあるのが「企業風土」。一方、社内の雰囲気を説明する際に、「女性を積極的に登用してきた企業文化」などとプラスイメージに使われる例が多いのが「企業文化」といえます。
そうした意味でも、「企業文化」は、その会社の特徴、個性、内情といった情報を記述し、説明するだけのものではなく、広く社会に、企業のアドバンテージをアナウンスするツールとなっているのです。

企業文化を形成する要素
企業文化は、その会社におけるヒト(年齢構成、性別構成など)、モノ(商材、社屋、拠点地域を含めて)、制度(人事制度、取引制度)、習慣(労働慣行、商慣習など)、活動(経済活動、地域活動、文化活動など)といった総体から培われるものです。
そのなかで最も重要な要素がヒト(人材)であることに、異論はないでしょう。企業文化は、人から人へ伝えられるものです。また、優れた経営理念も、言葉だけでは無意味であり、それが現実の人の活動として現れることによって価値を持つのです。
よい企業文化とは、よき人材を取り込める職場のあり方です。それが対外的に企業の魅力度を高め、さらに優秀なよい人材が集まります。好イメージの循環が、企業価値を高めていくのです。

ワークライフバランスと社会貢献意識
では、今日、高品質な労働力を集めることができる企業文化とは、どのようなものでしょうか?
ここでは2点だけ指摘しておきます。

ひとつは、多様性の受容と承認です。これは、働き方の多様性、キャリアの多様性も含まれています。
就労日、就労時間、就労場所など、労働条件の基本部分についても、その人の生活状況(家族構成、配偶者の就労状況など)に応じた環境を整えること。出産、育児、病気、留学などによって、中断されたキャリアがあっても、それを評価して再登板できる体制を用意すること。これらは、働く人々のワークライフバランスを最適化し、その労働力を引き出す方策でもあります。

もうひとつは、日々の業務が、たんなる営利活動の枠を超え、社会貢献につながる手応えを感得できることです。もちろん、通常の営業活動とは別に、地域に貢献する奉仕活動を行うといった取り組みも、とても意義深く、重要です。しかし、特別な活動ではなく、毎日の仕事そのものが、世のため人のためとなっている実感を持てるならば、モチベーションが上がらない人はいないはずです。仕事の対価は、金銭だけではありません。やりがいもまた、仕事の大切な報酬です。

より労働時間を短くし、賃金が公正な職場を実現することは重要ですが、それだけでは、ほかの企業に先んじて優秀な人材を確保できるまでにはなりません。働く人にとっても、また外部から見ても、魅力的と映る企業文化を構築していくことが、今後の企業の存続そのものに関わってくるといえるでしょう。

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