二人の専門家がデジタルディスプレイで作業し、未来的な技術のグラフィックに囲まれている。

IT系エンジニアの職種は専門分野によって細分化が進んでおり、それぞれで役割も求められるスキルも異なります。バックエンドエンジニアは縁の下の力持ちとしてWebコンテンツを支える重要な役割を担う職種です。そのニーズの高さからバックエンドエンジニアを目指す人も少なくありません。本稿ではバックエンドエンジニアの仕事内容やフロントエンドエンジニアとの違い、転職キャリアアップの際に役立つ資格などを見ていきましょう。

バックエンドエンジニアの求人
 

1.バックエンドエンジニアとは?

エンジニア職の認知度が上がってきたとは言え、バックエンドエンジニアという言葉にまだ馴染みがないという人も多いでしょう。まずはバックエンドエンジニアの概要について解説します。

1-1.バックエンドエンジニアが行う仕事

バックエンドとはWebコンテンツにおいてユーザーから直接見えない部分の事であり、具体的にはサーバー側で行われる情報処理の事を指します。ここにはサーバーの稼働環境であるインフラの他にも、関連するネットワークシステムやデータベースも含まれているので留意しておきましょう。バックエンドエンジニアはプロジェクトの立ち上げからリリースした後の運用・保守業務まで幅広く担当します。業務内容は多岐に及びますが、大別すると「サーバー構築」「データベース構築」「システムの開発・運用」の3つです。

Webコンテンツでユーザーが操作する部分が正しく動作するためには、バックエンドでの処理が欠かせません。いくら華やかで魅力的なデザインに仕上がっていても、バックエンドが整っていなければサービスとして成り立たないでしょう。バックエンドにおけるシステム要件定義と設計、それに基づいた開発を行うのがバックエンドエンジニアに求められる仕事です。ユーザー視点からは見えないポイントですが、システムの根幹を担い、システムを快適に使用するための重要な役割を担っています。

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1-2.フロントエンドエンジニアとの違い

バックエンドエンジニアはしばしばフロントエンドエンジニアと共に語られる事があります。これは両者が似ているためではなく、むしろ担当する部分が対極にあるからです。フロントエンドとはWebコンテンツにおいてユーザーが直接操作・視認する部分を指しています。つまりフロントエンドエンジニアがブラウザ側の整備を、バックエンドエンジニアがサーバー側の整備を担当しているのです。両者は実装する機能や動作が異なるため、使用する言語が異なります。フロントエンドエンジニアはHTML・CSS・JavaScriptなどのスタイルシート、バックエンドエンジニアはJava・C・C++・PHP・Ruby・Python・Perlといったプログラミング言語がメインです。

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1-3. サーバーサイドエンジニアとの違い

バックエンドエンジニアと混同しやすい言葉に、サーバーサイドエンジニアがあります。これは基本的にバックエンドエンジニアと同じ意味で使われており、明確に区別されているわけではありません。強いていえば、サーバーサイドエンジニアはIT系でも使われる言葉であり、バックエンドエンジニアよりもやや業務範囲が広い傾向にあります。
 

2.バックエンドエンジニアの年収相場は?

エンジニア職は高い専門性が求められる職種であるため、年収事情が気になるところですよね。バックエンドエンジニアの年収相場は400万~800万円とされています。日本で働く正社員の平均年収が約430万円となっている事を鑑みると、バックエンドエンジニアの年収相場は比較的高い水準であると言って良いでしょう。なお、バックエンドエンジニアの年収は持っているスキルや経験によって大きく変動するので注意が必要です。プロジェクトの初期段階から運用・保守までカバーする業務領域も広いため、実際に担当する仕事内容によっても年収が変わってきます。バックエンドエンジニアはプロジェクトの様々な場面で必要となる存在である一方、人材不足で担い手が少ないというのが実情です。キャリアと経験を着実に積み重ね、スキル・知識を身に付けていけば貴重な人材として評価され高収入を実現出来るでしょう。

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3.バックエンドエンジニアのキャリアパスは?

バックエンドエンジニアは上流工程から下流工程まで幅広い経験を積める職種である事から、その後のキャリアパスにも様々な可能性があります。

  1. 同じ領域に残る
    そのままバックエンド領域でキャリアアップを目指すのであれば、プロジェクトリーダーおよびプロジェクトマネージャーを目指す事が可能です。この場合はバックエンドエンジニアとしての技術力はもちろんの事、人材管理能力・統率力やプロジェクトマネジメントのスキルを磨いていくようにしましょう。
     
  2. フロントエンドやインフラ系の業務領域に携わる
    バックエンドに関わりながらフロントエンドやインフラ系の業務領域まで担当出来るようになれば、フルスタックエンジニアとして活躍出来ます。フルスタックエンジニアは各領域に関する深い知識とスキルが要求されますが、大きなやりがいと厚い待遇が期待出来る職種です。
     
  3. バックエンド以外の領域で活躍する
    バックエンド以外に活躍の場を見出すのであれば、ITコンサルタントやセキュリティエンジニアという選択肢もあります。ITコンサルタントでは上流工程での経験が、セキュリティエンジニアではシステムやデーターベース構築の経験が生きてくると言えるでしょう。

このようにバックエンドエンジニアは本業の知識やスキルを身に付けた上で、フロントエンドなど他の領域に関する知見も広げればキャリアパスの選択肢がグッと増えるのです。

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4.バックエンドエンジニアに求められるスキルは?

バックエンドエンジニアを目指すにあたっては、求められるスキルを正確に把握して身に付けておく事が大切です。比較的業務範囲が広いため何から手を付ければ良いか迷ってしまいがちですが、以下の3点は優先的に学習を進めておきましょう。

4-1.1.バックエンドで使用するプログラミング言語に関するスキル

バックエンド業務をこなすにはプログラミング言語に関する知識とコーディング技術が欠かせません。バックエンドエンジニアがメインで使用するプログラミング言語の中でもJavaScript・Ruby・PHPの3つは多くの現場で必要とされているため、優先して学習しましょう。また、業務を効率化するためには各種フレームワークの使い方もマスターしておきたいところです。使えるプログラミング言語の種類を増やしていく事で年収アップも期待出来るので、バックエンドエンジニアとして働き始めてからも向上心を持って学び続けるスタンスを持ちましょう。

4-2.2.フロントエンドについての知識

基本的にバックエンドエンジニアが直接フロントエンドの処理をする事はありませんが、フロントエンドに関する知識はバックエンド業務においても重要な意味を持っています。そもそもバックエンドで必要になる作業内容は、フロントエンドの仕様が固まってから決まるケースが多いです。フロントエンドとバックエンドは相対的な関わりがあるため、フロントエンドの仕様を理解すればバックエンドで適切な作業を行いやすくなります。1人でバックエンドとフロントエンド両方の業務領域をカバー出来るようになると双方をスムーズに連携させられる他、チーム間での連絡不足に起因する人的ミスを防ぐ事にも繋がるでしょう。

4-3.3.フレームワークなどツールに関する知識

バックエンドの開発に限った話ではありませんが、プログラミング言語はそれ単体で業務を完結させる事が難しいツールです。効率的かつ正確に業務を遂行するためには、各プログラミング言語に対応したフレームワークを使いこなせるようになっておく必要もあります。フレームワークとはシステム開発に必要な機能を予め枠組みとしてまとめたものです。0から開発を始める必要がなくなるため納期短縮に繋がるだけでなく、ヒューマンエラーの防止にも効果が期待出来ます。

バックエンドで使用される代表的なフレームワークはCakePHP・Laravel・Ruby on Rails・Expressなどです。Python対応のフレームワークとしてDjango、Flaskを用いる事も少なくありません。フレームワークはそれぞれで特性や自由度が異なるため、個別に使い方を把握しておく事が重要です。開発するアプリやシステムによって使用出来るフレームワークも限られるため、複数のフレームワークを使い分けられるようになればカバー出来る業務範囲が広がります。
 

5.バックエンドエンジニアに向いている人の特徴は?

  • コツコツと働けることが重要
  • ミスが少なく、集中力が高い
  • 新しい知識を身に着ける意欲がある

「縁の下の力持ち」といわれるバックエンドエンジニアには向き不向きがあるため、就業を検討している人は自分のスキルや性格との相性を確かめておくとよいでしょう。まず、バックエンドエンジニアは地道にコツコツと働けることが重要です。裏方の役割を担うことが多いため、人前に立って華やかに働きたい人にはあまり向いていないかもしれません。
次に、ミスが少ない人や、集中力が高い人もバックエンドエンジニアに向いています。エンジニアの仕事では、小さなミスが大きな失敗につながることがあります。高い集中力を持続して、なるべくミスをせずに働ける人は活躍しやすいでしょう。また、バックエンドエンジニアは幅広い領域の仕事に携わることになります。そのため、新しい知識を身に付ける意欲がある人に向いています。
 

5.取得しておくと役立つ資格は?

  • 「基本情報技術者試験」
  • 「応用情報技術者試験」
  • 「PHP技術者認定試験」
  • 「Oracle認定Javaプログラマ」
  • 「Linux技術者認定試験」

バックエンドエンジニアは高度な知識とスキルが要求されるため、関連資格を取得しておくと求職時や現場での仕事で役に立ちます。おすすめの資格としてはまず「基本情報技術者試験」と「応用情報技術者試験」の2つが挙げられます。IT系資格の定番とも言われているこれらの資格はIPA(情報処理推進機構)が運営する国家資格であり、社会的な評価も高いです。基礎レベルのIT知識を身に付ける前者に対して、後者は応用レベルまでカバーする上位資格となっています。基本レベルとは言え基本情報技術者試験でも合格率は45%前後なので、しっかりと知識を定着させて試験に臨む必要があるでしょう。

特定のプログラミング言語に特化した資格としては「PHP技術者認定試験」「Oracle認定Javaプログラマ」を受験してみるのが良いでしょう。PHP技術者認定試験はPHPに関する知識・スキルを認定する試験であり、難易度は初級試験と上級試験に分かれています。上級試験は合格点によってさらに準上級・上級・認定ウィザードに分類されるので高得点を目指しましょう。Oracle認定Javaプログラマは日本オラクル社が実施しているJavaの技術・知識を認定する試験です。Javaはバージョンアップで仕様が変わる事が多いため、その都度受け直して知識をアップデートする必要があります。試験レベルはBronze・Silver・Goldの3段階です。プログラミング言語ではありませんが、シェアを伸ばしつつあるOSの1つであるLinuxの知識を深める「Linux技術者認定試験」もおすすめと言えます。こちらも難易度はレベル1~3の3段階です。
 

6.バックエンドエンジニアになるための勉強方法は?

バックエンドエンジニアになるための勉強方法としては、独学したり、スクールに通ったりするのがオーソドックスです。スクールは受講料がかかりますが、効率的に勉強を進められます。選ぶスクールやコースによって費用も期間も変わってくるため、自分に合ったところを慎重に選ぶとよいでしょう。一方、独学の場合は勉強のためのコストを抑えられるのが最大のメリットです。パソコンや参考書さえあればいつでもどこでも勉強できるのも独学の魅力だといえます。ただし、スクールのように専門家が教えてくれるわけではなく、わからない部分などは自分で解決しなくてはなりません。スクールに通うよりも時間はかかるかもしれませんが、自分のペースで勉強を進めたい人におすすめの方法です。
バックエンドエンジニアを目指すなら、言語学習ができるサイトなどを活用するとよいでしょう。おすすめのサイトとして「Stackoverflow」「Qitta」「Progate」などが挙げられます。Stackoverflowは幅広い知識を持った人たちに質問ができるサイトです。Googleアカウントやメールアドレスなどで登録でき、過去の質問を閲覧することでも学習ができるので便利に活用しましょう。Qittaはシステムやプログラミングに関する専門知識を自由に書き込める投稿型サイトです。豊富な知識を持つ人たちの意見を参考にしながら、エンジニアとしての実力を磨くことができます。Progateは、PHPやRubyといった言語を基礎から学べる初心者向けのサイトです。レベルを上げて実践的な知識を身に付けたい場合は、有料会員になることもできます。その他、動画解説中心の「ドットインストール」といったサイトもあるので活用してみてください。
 

バックエンドエンジニアとして働くために

バックエンドエンジニアは求められるスキルや知識も多いですが、その分やりがいや将来のキャリアパスの多さが魅力的な職種です。IT社会の担い手として目指してみるのも良いでしょう。また、エンジニア職は細分化が進んでいるため、効率的に仕事を探すにはそれに特化した求人サイトなどを活用するのがおすすめです。マイケル・ペイジは外資系を中心にIT企業の求人も多く取り扱っているので利用してみてください。

【2022年10月7日公開 - 2024年2月15日更新】

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