デジタルオーバーレイでグラフを分析する人。

エンジニアは担当する作業によっていくつかの種類に分類されますが、フルスタックエンジニアとは何を扱う技術者なのでしょうか。こちらでは、フルスタックエンジニアとは何か、主な仕事内容や年収を解説するとともに、フルスタックエンジニアとして転職するためにあると有利や資格、スキルなどについてもご紹介していきます。

フルスタックエンジニアの求人

1.フルスタックエンジニアとは?

フルスタックエンジニアとは、特定の職種ではありません。複数のスキルを持つITエンジニアであることを指し、マルチエンジニアとも呼ばれています。他のエンジニアのように特定の分野のみに精通し活躍する専門的なエンジニアではなく、その名の通り、企業のシステム開発や運用などの複数の工程に関わることができるだけの知識やスキルを有する、幅広い分野に精通しているエンジニアです。その知識やスキルの及ぶ範囲は広いものの、決して浅く留まることはありません。フルスタックエンジニアは、複数のエンジニアが関わるプロジェクトを最初から最後まで一人で行えるような、より優秀なエンジニアを指しています。すべての分野においてスペシャリストとして活躍することができる人材を、フルスタックエンジニアと呼ぶのです。

2.フルスタックエンジニアの仕事内容は?

多くの企業から需要があるフルスタックエンジニアの仕事内容は、多岐にわたっています。こちらでは、フルスタックエンジニアが具体的にどのような仕事をしているのか、その内容について解説していきます。

2-1.フロントエンド開発

フロントエンド開発とは、システムやアプリ、Webサイトなどでユーザーが直接見たり触れたりすることができる部分の開発です。例えば、テキストエリアやチェックボックス、ボタンなどのユーザーインターフェースがフロントエンドであり、フロントエンド開発ではこれらの実装を行います。ユーザーが扱う部分ですので、見やすい画面になっているか、自動入力などの機能性が充実しているか、操作性がスムーズでストレスが溜まらないかなど、ユーザー目線で考えながら開発しなければなりません。フロントエンド開発では、主にHTMLやCSS、JavaScriptなどを使用します。これらの言語はフレームワーク、ライブラリを使用することも多いため、複数の言語やフレームワーク等を使いこなせるだけの知識やノウハウが問われます。

2-2.バックエンド開発

バックエンドは、Webサイトでユーザーからは見えないサーバー側の部分です。バックエンドではインフラやデータベースとの連携、演算処理などを行い、ECサイトの受注処理や在庫確認、進捗状況の管理などで利用されます。ユーザーが操作を行うフロントエンドとバックエンドは表裏一体なので、相互の連携が安定した運用には必要不可欠です。しかし、バックエンド開発で使用するプログラミング言語はJavaやPHP、Python、Perl、C++、Rubyなどでフロントエンド開発とは全く異なりますので、両方の開発を担当できるエンジニアはなかなかいません。フルスタックエンジニアが1人でフロントエンドとバックエンドの両方を担当すれば効率的に作業を進められる上、伝達ミスも起こらないので企業側にとってはメリットが大きいです。

2-3.モバイルアプリ開発

モバイルアプリ開発は、老若男女を問わず、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末の利用者が増えた現状ではかなり需要が高い業務です。幅広い層によるモバイルアプリの利用に伴い、必要とされるアプリケーションの種類や数も大幅に増加しました。しかし、モバイルアプリ開発は性能だけでなく、さまざまな端末を持つユーザーに配慮して、画面サイズやストレージ容量なども考えて開発をしなければなりません。

加えて、OSによって求められる言語も異なってきます。iOS用はSwift、Android用はJavaやKotlinを使用して開発されることが多いですが、さらにWebサイトと連携して動作するWebアプリまであります。Webアプリは JavaScriptやPython、PHPなどのOS連携のアプリとは異なる言語を使うため、1人でWebとモバイル端末両方の開発をするのは困難です。しかし、両方の開発に精通しているフルスタックエンジニアならば、親和性の高いアプリを開発することも不可能ではありません。

2-4.インフラ関連業務

インフラ関連業務とは、サーバーの設計や運用、ネットワークの構築、障害発生時の復旧作業など、多岐にわたるインフラの構築や保守を行う業務です。サーバーの設計はLinuxやWindows Serverを使うことが多く、コマンドを使った操作ができるレベルのスキルや、L3スイッチ、ルーターなどのネットワーク機器に関する知識が求められます。幅広い知識やスキル、柔軟な対応力が必要ですが、フルスタックエンジニアがインフラ関連業務に携われば、広い視野で障害の原因を確認して復旧作業を行えます。その結果、万が一障害が発生しても短時間で復旧でき、企業の信頼性にもつながるでしょう。

3.フルスタックエンジニアの年収は?

フルスタックエンジニアは専門性の高いエンジニアとは異なり、さまざまなITエンジニアの作業領域を網羅している技術者です。1人で数人分の仕事を担うことができる一方で、特定の業種を指すものではないので、エンジニアごとの平均年収のような具体的な資料がありません。参考までに、一般的なITエンジニアの平均年収が約500万円、専門性の高い業種になると500万円台半ばから600万円程度です。フルスタックエンジニアは、複数の専門的なスキルを持ち合わせているため、上記より高い年収が設定されていると考えられます。実際、フルスタックエンジニアを指定している求人情報は年収500~1000万円前後で、スキルや経験によっては、年収1000万円を超える求人もあります。以上から、フルスタックエンジニアは一般的なエンジニアよりもかなり高い年収になっていると考えられるでしょう。

4.フルスタックエンジニアに求められるスキルは?

フルスタックエンジニアは幅広い業務に関わりますので、求められるスキルの種類も多いです。まず、フロントエンド開発ではプログラミングのスキルに加え、開発で使用する言語を最低限1つは確実に使いこなせる必要があります。複数のプログラミング言語を操れると業務の幅が広がり、エンジニアとしての需要も高まるでしょう。バックエンド開発では、代表的なミドルウェアの知識が必要不可欠です。また、WindowsやLinuxなどのOSに関するスキルも身につけましょう。日本でも、企業のシステムがオンプレミスからクラウドに移行する傾向がありますので、今後はクラウドサービスに関するスキルも必要です。Amazon Web ServiceやMicrosoft Azure、Google Cloud Platformなどの代表的なパブリッククラウドサービスについては理解を深めておきましょう。

5.フルスタックエンジニアとして転職するのに有利な資格は?

フルスタックエンジニアは需要が高いですが、自分がそう名乗っても、採用する側から見れば求めるスキルや知識を有しているのか判断がつきにくいです。そこで、転職する際に客観的に自分のスキルを示す方法として、これまでの実績のアピールに加え、フルスタックエンジニアに有利な資格を取得しておくことをおすすめします。フルスタックエンジニアに必須の資格はありませんが、経済産業省(情報処理推進機構)が主催する3つの国家資格があれば、採用側の判断材料となるでしょう。

具体的には、IT技術と経営に関するスキルが証明できるITストラテジスト試験、ITに関する専門知識や分析力を試験して、開発における指導力やニーズに応じた設計ができる力を示せるシステムアーキテクト試験、システム開発の最高責任者として必要とされるスキルを証明できるプロジェクトマネージャー試験がおすすめです。ただし、いずれも国家資格なので合格率は低く、最難関資格のITストラテジスト試験は合格率がわずか10%台です。

6.フルスタックエンジニアのキャリアパス

フルスタックエンジニアのキャリアパスは、大きく分けて二つあります。一つは、ITコンサルタントやITアーキテクトなどのITのスペシャリストとして働くスペシャリスト系のキャリアパスで、豊富な知識や経験を活かしてクライアントの要望を形にするべく、現場の第一線で活躍するものです。もう一つは、CTO(最高技術責任者)やプロジェクトマネージャーなどのマネジメント系のキャリアパスで、経営的視点と幅広い知識やスキルを活かして、管理サイドからエンジニアを指揮します。

フルスタックエンジニアとして転職するなら

このように、フルスタックエンジニアとして転職を希望するなら、十分なスキルや知識、実績を身につけるための努力は必要ですが、やりがいのある転職先を見つけやすくなります。マイケル・ペイジでは、実力主義の企業からフルスタックエンジニアの求人が多く集まっていますので、こまめに求人を探してみてはいかがでしょうか。

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