研究者がラボで顕微鏡を使ってサンプルを調べています。

「景気の影響を受けにくい業界に転職したい」と考える人にとって、医療機器メーカーは魅力ある業界の1つです。中でも、特に外資系企業は高給与というイメージがあり、転職先として検討する人もいるでしょう。

そこで本記事では、外資系医療機器メーカーの給与や動向など気になる実態について解説していきます。
 

1. 医療機器メーカーとは

1. 医療機器メーカーとは

医療機器メーカーとは、医療機器の開発や製造、販売を行う企業です。主な製品には、MRIや注射器、レーザー治療機器、ペースメーカーなどがあります。病院やクリニックなどの医療現場をはじめ、ドラッグストア、健康診断センターなど幅広い場所へ提供する医療機器を扱います。
 

2. 医療機器メーカーの業界動向

2. 医療機器メーカーの業界動向

ここでは、医療機器メーカーの業界動向を押さえるためのポイントを3つ紹介します。

2-1. 景気に左右されにくい

医療機器業界は、経済状況の影響を受けにくい業界だと言われます。景気が悪くなると、一般的に人々は娯楽や外食などの支出を控えて節約しますが、医療費は削減しにくい項目です。

怪我や病気になったときに、支出をおさえるために医療機関を受診しないという人は少ないでしょう。やむを得ず医療機関で治療を受けなければならない状況は、誰にでも訪れる可能性があります。そのため、医療機関への需要は一定に保たれています。

2-2. 新興国からの需要が拡大している

中国や東南アジア諸国などの新興国が発展するにつれて、医療機器の需要は増加の一途をたどっています。都市部への人口集中や生活水準の向上を受けて、医療サービスの品質向上やアクセス拡大が求められているのです。

病院や診療所が増設されると、使用する最新の医療機器も必要です。また、需要増加を受けて、国内や海外の医療機器メーカーが現地進出を図っています。これらのことから、外資系を含む医療機器業界全体の需要は拡大傾向にあるといえます。

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2-3. 外資系医療機器メーカーは守備範囲が広い

医療機器業界の売上ランキング上位には、多くの外資系企業が名を連ねています。理由として、多くの国内医療機器メーカーが特定の分野に特化しているのに対し、外資系医療機器メーカーは医療機関向けから一般家庭向けまで広範囲をカバーしている点が挙げられます。

また、一部の外資系企業は医薬品事業も手掛けるなど、多角的に事業を展開しています。日本の巨大な医療機器市場においても、幅広い事業領域という強みを生かして、外資系医療機器メーカーは大きな存在感を示しています。
 

3. 外資系医療機器メーカーの求人動向

3. 外資系医療機器メーカーの求人動向

経済変動の影響を受けにくく、海外でもニーズが高まっている医療機器メーカーを転職先として検討する人もいるでしょう。ここでは、外資系医療機器メーカーの求人動向について解説します。

3-1. 市場拡大傾向で求人数も豊富

少子高齢化や医療技術の向上といった影響を受けて、国内でも医療機器の需要が高まっています。また、治療のための通院や入院だけでなく、予防や緩和ケア、在宅医療のニーズも拡大している現状において、求められる医療機器の種類も多様化しています。

医療機器市場は成長期にあり、特に製造部門や営業部門で多くの人材が必要です。積極的に採用活動を行っている企業も多く、就職や転職に有利な環境が整備されています。

3-2. 意欲があれば未経験にもチャンスあり

医療機器の分野は細分化が進んでおり、外資系企業においてもスペシャリストを求める傾向が強くなっています。また、本社とのコミュニケーションも必要となるため、ビジネスレベルの語学力も重視されています。

ただ、実際には業界での経験や語学力を問わない求人も見つかります。同業界であっても前職での経験が役立たないケースもあるでしょう。

入社後3ヶ月〜半年程度の研修により専門知識を習得できる企業もあります。未経験でも意欲があれば採用される可能性があるため、仕事や知識に対する熱意が重要です。

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4. 外資系医療機器メーカーで活躍する職種・仕事内容

4. 外資系医療機器メーカーで活躍する職種・仕事内容

ここからは、外資系医療機器メーカーの主な職種とそれぞれの仕事内容について見ていきます。

4-1. 営業

営業職の主な仕事は、医療機器の販売や提案です。病院やクリニックなどの医療機関を訪問し、医師や医療スタッフのヒアリングを通じて課題や要望を把握します。その上で、自社製品の提案を行い、製品導入によるメリットについて説明します。

導入が決まったら、無理のないスケジュールでの製品導入を支援します。また、操作方法の指導や使い方に関するアドバイスなどのアフターフォローも大切な仕事です。営業としての提案力に加えて、医療機器に関する専門知識や医療現場に対する理解が必要です。

4-2. 研究開発(医療機器開発)

医療機器開発職は、医療現場で使用される医療機器の研究開発・設計を行う職種です。注射器などの小物から内視鏡などの精密機器まで、幅広い医療製品の構想・設計・製造をチームで進めます。

医療機器開発職の主な仕事は、クオリティマネジメントシステム(QMS)に則った開発記録や設計変更管理です。また、特許申請や販売承認取得の手続きなども担います。

医学や化学の知識だけでなく、人間工学的な知見など多面的な知識や経験を要します。難易度の高い仕事ですが、最先端医療に携われる希少価値の高いポジションです。

4-3. サービスエンジニア

サービスエンジニアは、自社の医療機器を導入している医療機関にて、保守や点検、メンテナンスを行う職種です。病院などに常駐する場合や要望が入ったタイミングで現場を訪問するケースなど、働き方は企業や部署により異なります。

営業職を兼務するケースもありますが、その場合は保守契約の締結や消耗品販売など一部業務のみを担います。サービスエンジニアは営業部門と連携する意識を持ち、修理先での医療機器のニーズなどを報告して、企業の売上増につなげていく必要があります。

人工呼吸器や麻酔器、MRIなど医療機器についての専門知識や技術力に加え、営業マインドも必要です。臨床工学技士の経験があると、採用で有利になる場合があります。また、多くの求人では要件として普通自動車免許の保持と出張対応の有無を挙げています。

4-4. 品質管理

品質管理は、医療機器の原材料の入手から製造、出荷に至るまで、全工程における安全性と有効性をチェックする仕事です。医療機器が国際規格に基づく高い品質を保持しているかを確認するために、安全性や機能性、有効性などを調査します。

具体的には、ISO13485やQMSとの適合性調査や、品質システム構築、部品検査、不具合対応などです。また、外注先監査を担う場合もあります。判断力や視野の広さなどが必要で、責任のあるポジションですが、医療への貢献度が高く、やりがいが感じられるでしょう。

なお、品質管理の仕事ではGMPのスキル経験や分析、理化学試験の能力が求められます。

4-6. 事務

人事や総務、経理などの事務職も、医療機器メーカーの運営を支える重要なポジションです。営業職や技術職の社員が業務に専念できるように、社内環境の整備や労務、資金に関する手続き、処理、サポートなどを行います。

直接的に企業の売上に関わることは少ないですが、企業という組織全体が順調に機能するためには大切な職種です。
 

5. 外資系医療機器メーカーの年収

5. 外資系医療機器メーカーの年収

外資系の医療機器メーカーの年収について見ていきます。職種によってはインセンティブが付いて、より高い年収が期待できる場合もあります。

5-1. 新卒でも年収500万円以上が多い

「外資系企業=年収が高い」というイメージを持たれやすく、医療機器メーカーも例外ではありません。実際に、外資系医療機器メーカーの報酬相場は他の業界に比べて高水準であり、多くの企業で給与体系が高額な傾向にあります。新卒入社時に年収500万円を上回るケースも多数見られます。

5-2. インセンティブが高い

外資系企業の場合インセンティブが高いことも特徴です。インセンティブとは、目標を達成するごとに給与にプラスされる報酬のことです。成績を上げれば上げるほど、給与も右肩上がりに高くなります。

固定給制とは違い、結果を出せば給与にダイレクトに反映されるため、モチベーションにもつながるでしょう。実力次第では、30代半ばで1,000万円を達成するのも夢ではありません。

一方で、売り上げが伸びなければ当然給与も上がらないため、厳しい環境ともいえます。「高報酬を目指して多少の過酷な業務や苦労も受け入れられる」という人には魅力のある世界と言えるでしょう。
 

6. 外資系医療機器メーカーに転職する際の注意点

6. 外資系医療機器メーカーに転職する際の注意点

外資系医療機器メーカーは将来性があり、高報酬も期待できますが、業界や職種の特性がデメリットとなる可能性もあります。ここでは、外資系医療機器メーカーに転職する際の注意点を紹介します。

6-1. 医療機関や医師の予定に合わせる必要がある

営業職やサービスエンジニアの仕事では、医療現場の特性上、多忙な医師に予定を合わせるために、業務時間外の対応が必要になることも考えられます。
医療機器にトラブルが発生すれば、夜間に駆けつけなければならないケースも出てくるでしょう。勤務時間や不安定になり、イレギュラーな対応が求められる可能性がある点は念頭に置いておく必要があります。

6-2. 医療機器に関する専門的知識の勉強が求められる

医療機器分野は高度な技術を要するため、専門知識の習得は容易ではありません。特に未経験で参入する場合は、業務時間外の自主的な学習を通して、専門性を身に着ける必要があります。

外資系企業ではノルマが設定されることもあり、目標を達成できれば高い報酬が期待でき、達成できなければ仕事を続けることが困難となる可能性もあります。こうした環境をモチベーションとして自主的に勉強に取り組むことで、成長や活躍につながるでしょう。

6-3. 新人教育に力を入れている会社を見極める

外資系医療機器メーカーの市場は成長段階にあり、多くの人材が必要なため、活発に採用活動を行っている企業が見られます。しかし、同時に仕事の難易度や高い専門性を目の前にして、離職する人が多いことも事実です。

外資系医療機器メーカーでは、入社後すぐの研修で厳しい定期テストを受けなければなりません。また、研修テストをクリアした後も、常に仕事で成果が求められるなど、実力主義に疲れてしまって離職に至るケースもあります。

ただ、外資系医療機器メーカーの中には離職率の低い企業も存在します。半年ほどかけて研修を含む新人教育を丁寧に行う会社など、長期的な視点を持って働ける職場を探してみると良いでしょう。
 

医療業界×実力主義に興味がある人におすすめ

医療業界×実力主義に興味がある人におすすめ

外資系医療機器メーカーへの転職について、様々な角度から解説してきましたが理解していただけたでしょうか。医療機器の市場は拡大を続けており、将来性が高く景気の影響も受けにくいという利点があります。外資系医療機器メーカーは成果報酬制を採用している企業も多く、成果を出すほど給与もアップする可能性があるため、高年収に興味がある人にもおすすめです。

マイケル・ペイジでは、外資系企業を中心にスペシャリスト求人を多く扱っています。医療機器メーカーを含む医療業界への転職に向けて、非公開求人の紹介や転職活動のアドバイスも提供可能です。以下の求人検索をご利用いただき、気になる案件についてお気軽にお問い合わせください。

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