外資系企業では退職金がもらえない」そんな話を聞いたことがありませんか。退職金が出ないと聞くと老後が不安になる人も多いでしょう。それが理由で外資系企業への就職や転職をためらってしまう人もいるかもしれません。実際、退職金が出ないのは本当なのでしょうか。この記事では、日系企業と比べて外資系企業が損な部分が多いのかについて解説します。

外資系企業に退職金制度がないのなぜ?

実はほとんどの外資系企業には日本で普及している退職金制度がありません。定年時に支給される退職一時金や退職年金はもちろんのこと、中途退職や会社都合のリストラに伴う退職金もないことが多いです。日本の退職金は会社に長年貢献してきた社員に対する慰労金という側面が強いのが特徴です。しかし、外資系企業にはそもそも終身雇用という概念がなく、キャリアアップのために次々と勤める会社を変えるのはごく当たり前のことと受け止められています。そのため、在職期間の長さよりも本人の実力が重要視される世界と言えるでしょう。退職金制度がない代わりに、外資系企業では報酬そのものが高めに設定されている傾向があります。また、退職金の代わりに企業型確定拠出年金制度を導入している企業も多いです。

企業型確定拠出年金制度と退職金の違い

企業型確定拠出年金制度とは会社や個人、または共同で積み立てをし、資金調達をする制度です。運用の結果次第で定年時に受け取れる一時金や年金の金額が変わってくるのが特徴と言えます。従業員自身が掛金を上乗せすることも可能で、共同で掛金を出すことをマッチング拠出と呼びます。ただし、企業の掛金を超えた金額を従業員が拠出することはできません。他の企業年金制度を併用しているかどうかで掛金の上限額が異なる点にも注意が必要です。厚生年金基金や確定給付企業年金などを利用している場合は月額2万7500円が掛金の上限になり、併用がなければ上限は月額5万5000円です。

日本でも企業型確定拠出年金制度を導入する会社が増えています。2018年に厚生労働省が発表した「企業年金制度の現状等について」によると、企業型確定拠出年金制度に加入する労働者数は591万人を突破しました。企業型確定拠出年金では掛金が個人口座に積み立てられるので、会社が倒産しても全額が保全されます。また、転職したときにそのまま資産の移動ができるのも見逃せないメリットです。

一方、従来式の退職金制度は資金調達の責任を会社が担う仕組みです。退職金の算出方法にはいくつかのパターンがあり、基本的に退職時の基本給や勤続年数、退職理由や退職時の役職などが考慮されて金額が決まります。ですが、勤続年数が短いと支給対象にならない場合も少なくありませんし、社内でお金を積み立てていた会社が倒産すると退職金がもらえない可能性もあります。

退職金で考えると日系企業の方が得なのか?

厚生労働省が公表した「平成30年就労条件総合調査結果の概況」によると、退職金制度があると答えた企業の割合は80.5%にのぼります。しかし、退職金制度は企業の義務ではなく、就業規則に定めがあればそれに従って支給されるものですから、そもそも退職金制度がない企業には退職金を支給する義務はありません。退職金の金額や支給条件は企業によって異なり、勤続年数が長いからといって必ずもらえるとは限らない点は知っておいた方が良いでしょう。

例えば、ある会社に7年間勤めている人が退職する場合を考えてみましょう。退職金の支給条件が「勤続年数3年以上」と定められている企業なら支給の対象になります。しかし、「最低勤続年数10年以上」としている企業なら退職金は支給されません。

2019年に日本経済団体連合会が公表した「2018年9月度退職金・年金に関する実態調査結果」によると、新卒入社して標準的な昇進をした人の標準者退職金は2,000万円前後でした。このデータの81.0%は従業員500人以上の企業ですから、大企業では通常2,000万円ほどの退職金が支給されていると言えます。一方、東京都産業労働局が公表した「中小企業の賃金・退職金事情」(平成30年版)によると、中小企業のモデル退職金は1,000万円程度です。企業に退職金制度があっても社会情勢や公的制度が変わるなどして企業が業績不振に陥ると、就業規則に定めた金額が払えない状況になることがあります。就業規則を変更して退職金の金額を下げた場合でも、合理的な理由がない限り雇用契約を結んだ従業員に対して一方的に適用することはできません。しかし、「ない袖は振れない」のが現実ですから、退職金がある日系企業が得とは一概に言えないのが実情です。

外資系企業の方が収入が高いのはなぜ?

国税庁が平成30年に公表した「平成29年分民間給与実態統計調査結果」によると、日本の給与平均は432万円です。雇用形態による格差が大きく、正規雇用の男性で574.5万円と最も高額です。一方、外資系企業の年収は800万円が相場と言われています。その差は200万円以上ですが、外資系企業の方が収入が高いことにはいくつかの理由があります。

まずは成果主義であることが大きな要因です。日本企業の多くが採用している年功序列の給与形態ではなく、個人の成果に応じて報酬が支払われます。そのため、年齢や性別、経歴に関係なく高額の報酬をもらえるチャンスがあります。また、退職金制度がないのも影響しています。日系企業が退職金用に積み立てている資金を毎月の給与に上乗せしていると考えればわかりやすいでしょう。そのため、受け取った報酬を毎月使い切ってしまうと老後資金が不足する恐れが出てきます。高額の報酬をどう使うのか、どう貯めて増やすのかはすべて従業員の裁量次第です。老後資金についても自分自身で計画を立てて準備していく必要があるでしょう。

日本企業と違って外資系企業には、退職金制度だけでなく福利厚生もないのが一般的です。その分、実力のある人材には高い報酬を支給しています。福利厚生がなくても、自分の得た収入で十分まかなうことができるはずだというスタンスです。日系企業では福利厚生で社員旅行を実施するケースが少なくありませんが、外資系企業なら家族との旅行などプライベートなことに時間とお金を使うことができるため、十分にプライベートを充実させられます。

企業型確定拠出年金制度を導入している外資系企業なら、退職金に相当するお金を得ることも可能です。積み立てた資金は基本的に60歳まで引き出せないため、老後資金を作るのにうってつけです。運用結果によって得られる金額が変わってくるので一概には言えませんが、月額3万円を利率1%で35年ほど運用した場合なら1,500万円程度を受け取れる可能性があります。

外資系企業は退職金の代わりに報酬が充実している

外資系企業には退職金制度や手厚い福利厚生はありません。しかし、その分報酬が充実しています。年収が100万円違えば35年で3,500万円もの差が生じる計算になりますから、外資系企業は自分の実力で勝負したい人や思い通りに自分のお金を運用したい人に向いています。実力がある人なら、日系企業よりも外資系企業の方がはるかに高い生涯年収を得られるでしょう。

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