雇用保険被保険者証とは

雇用保険被保険者証は、一定の労働条件のもとで働いていれば交付され、退職や転職の際には必須となるものです。とはいえ、普段はあまり目にする機会がないため、どういうものなのかよく知らない人も多いのではないでしょうか。そこで、ここでは、雇用保険被保険者証の概要や必要性から気になる疑問点まで詳しく解説します。
 

1.雇用保険被保険者証とは

一定の条件を満たす労働者(社員・従業員)は、雇用保険に加入する必要があります。雇用保険とは、労働者が失業したときに給付を受け取れたり再就職のためのさまざまな支援が受けられたりする制度です。一般に失業手当と呼ばれるものは、失業した際に雇用保険制度によって支払われる基本手当を指します。雇用保険被保険者証とは、この雇用保険に加入していることを証明するものです。雇用者側がハローワークに届け出を行い、発行されます。労働者本人が手続きするわけではなく、退職するまで会社が管理していることも多いため、雇用保険被保険者証を見たことがない人は少なくありません。

雇用保険被保険者証にはそれぞれ特定の番号が割り振られていて、これを雇用保険番号と呼ぶこともよくあります。雇用保険被保険者証が必要になるのは、主に次のようなときです。

・離職し失業手当の申請手続きをするとき
・転職や再就職で雇用保険に再加入するとき(ただし、加入条件を満たしていることが必要)
・ハローワークで教育訓練給付金需給を申請するとき

転職や再就職した際に雇用保険被保険者証が要るのは、前職で使用していた雇用保険を新しい会社で引き継ぐのに雇用保険番号が必要なためです。

なお、雇用保険被保険者証と名称が似ているものに「雇用保険被保険者離職票(離職票)」があります。これは会社を退職し、失業状態であることを証明するために発行されるものです。被保険者証と間違わないよう注意しましょう。
 

2.雇用保険被保険者証をもらえるタイミング

先に述べたとおり、雇用保険被保険者証は、従業員を雇用した際に会社がハローワークで加入手続きを行います。手続きが完了し手元に届くまでの期間は1カ月程度です。発行後は、本人に渡してうっかり紛失してしまうことを防ぐために、会社で管理しているケースがよくあります。ただし、雇用保険被保険者証は正式には労働者本人が所有すべきものなので、会社側は単に「預かっている」状態です。会社を退職する際には本人に返却されます。

もし、退職したのに渡されていなかったり手元に見当たらなかったりする場合は、会社が返却を忘れてそのまま保管している可能性があります。電話して確認してみましょう。
 

3.雇用保険被保険者証を紛失したときの解決策

入社時や退職に雇用保険被保険者証を会社から渡されていたとしても、紛失してしまうこともあります。大切なものなので、紛失に気付いたときは速やかに再交付しましょう。再交付の手続きは、お近くのハローワークで行います。ハローワークにある「雇用保険被保険者証再交付申請書」に必要事項を記入して、窓口で提出します。混雑具合などにもよりますが、最短で即日発行されます。

再交付手続きには以下のものが必要です。
・本人確認・住所確認ができるもの(運転免許証、国民健康保険被保険者証、雇用保険受給資格者証、住民票の写し、印鑑証明書など)
・印鑑

再交付する際には、申請書に最後に被保険者として雇用されていた会社の情報を記入する必要があります。事前に「事業所の正式名称」「所在地」「電話番号」を確認し、メモして持っていきましょう。雇用保険番号も必要ですが、これはわからない人もいるでしょう。その場合は、ハローワークの職員にその旨を告げて対応してもらいます。
 

4.雇用保険被保険者証がないときはどうする?

紛失したのではなく、雇用保険被保険者証を会社から渡された覚えがなく確認しても「ない」と言われた場合、そもそも雇用保険に加入していない可能性があります。雇用保険は、従業員の意思に関係なく加入する義務があります。しかし、それには一定の条件を満たす必要があるため、雇用されるすべての人が加入できるわけではありません。雇用保険の加入条件は主に次の2つです。

・1週間の所定労働時間が20時間以上あること
・31日以上引き続いて雇用される見込みがあること

もし、上記の法律上の加入要件を満たしていなかったときは、そもそも雇用保険に加入していなかったことになります。転職して加入上条件を満たす労働条件で雇用されれば、雇用保険に加入して雇用保険被保険者証が初めて発行されることになります。
 

5.その他気になる質問集!

雇用保険被保険者証に関するよくある疑問点について解説します。まず、「有効期限はあるのか」という疑問についてです。基本的に、雇用保険番号はずっと引き継いで使います。転職を繰り返していても、加入条件を満たした状態で雇用されているのであれば有効であり、期限はありません。ただし、退職後に再就職せず7年経過してしまうと、交付された雇用保険番号は抹消されます。抹消後に加入条件を満たす労働条件で再就職した場合は、新しい番号の雇用保険被保険者証が発行されます。

次に、「雇用保険被保険者証には何が書いてあるのか」と疑問に思っている方もいるでしょう。これは、雇用している事業者の情報(事業者番号や事業者名称)と加入者の情報(被保険者番号や本人の名前、生年月日など)などが記載されています。念のため、受け取ったときに表記に誤りがないか確認しておきましょう。仮に、失業手当を申請したときに間違いがあることが発覚すると、手続きが円滑に進まなくなり大変です。

「再発行したいがハローワークに行く時間がない」人もいるでしょう。窓口まで出向かなくても、電子申請を利用したり郵送で申請したりすることも可能です。郵送申請の場合は、ハローワークのサイトからダウンロードして印刷した申請書と本人確認書類の写しのほか、切手を貼った返信用封筒も必要です。時間もかかるため、注意しましょう。
 

雇用保険被保険者証は大切に管理しよう!

雇用保険被保険者証の概要や発行方法などについて説明しました。ふだんあまり目にすることはありませんが、転職したときには必ず要る大切なものです。どのようなものなのか、よく理解しておきましょう。「マイケル・ペイジ」では、「外資系企業」を含む転職求人を数多く扱い、転職するにあたって知っておくべき役立つアドバイスも行っています。転職を検討している人は、ぜひ登録してみてください。

 

誤情報の発信についてのお詫びと訂正(2021年9月22日)

※こちらの記事で、再交付の手続きに関しまして「現在または最後に被保険者だったときに雇用されていた事業所を管轄しているハローワークで」とご案内しておりましたが、「最寄りのハローワーク」で手続き可能となっております。誤情報の発信についてお詫び申し上げます。

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