ITマネジメントとは?必要な機能・人材に求められるスキルを紹介

デジタルトランスフォーメーションが進む現代においてITマネジメントという言葉はとても重要なキーワードです。しかし、ITマネジメントには何が必要とされているのか、その答えを知らない人は意外に多いのではないでしょうか。この記事では、ITマネジメントの内容や必要とされる機能、またITマネジメント人材に求められる要素について紹介していきます。 

1. ITマネジメントとは 

2018年経済産業省によって発行されたDXレポートによると、既存システムの複雑化やブラックボックス化といった問題を解決できなければ、企業はデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現できず、2025年以降の日本において年間最大12兆円の経済損失が生じるといわれています。このような事態を回避するためには効率的なIT経営が求められます。IT経営とは高度なIT活用によって経営改革を推進し、企業の生産性を向上させ競争力を強化していくこと。そしてIT経営実現のために必要なものがITマネジメントです。ITマネジメント力とは、企業の経営戦略にマッチしたIT環境を構築し、さらにそれを長いスパンで継続していく能力・組織力のことをいいます。 

2. ITマネジメントに必要な機能 

では、実際にITマネジメントを行うためにはどのような機能が必要とされているのでしょうか。ここではITマネジメントに必要な機能について、PDCA機能・共通機能の大きく2つに分けて具体的に紹介していきます。 

2-1. PDCA機能

PDCAサイクルは業務改善を実行するために多くの企業で活用されている手法で、IT戦略においてもこのPDCAは重要視されています。IT戦略のPDCA機能は各企業の事業戦略にマッチしたIT戦略を計画(Plan)し、それを実行(Do)する。そして実行されたIT戦略により目標が達成されたかどうかの評価(Check)をおこなうことにより、更なる飛躍を実現するためにIT戦略の見直し(Act)を行う。この一連のPDCAサイクルを構成する機能のことをいいます。 

これをさらに細分化すると6つの機能に分けることができます。まず、Planの段階で必要とされるのが事業戦略とIT戦略のマッチングです。どんなに高度なIT戦略を取り入れたとしても、それが目指すべき事業戦略に合っていなければ意味がありません。まずは第一段階として、企業の事業戦略を十分に反映したIT戦略を立てることが重要です。 

そしてDoの段階で必要とされる機能がシステム導入機能とシステム運用機能です。Planで立てたテーマに基づいて個別にシステムを構築し取り入れるとともに、導入したシステムを計画的なおかつ効率的に動かしていきます。さらに次のステップCheckの段階では戦略実行マネジメント機能が必要とされ、IT戦略が実現できているか複眼的にモニタをおこないます。最後に必要とされるのがIT戦略実行評価機能です。IT戦略の実行状況を分析・評価し、めざすべきIT戦略へフィードバックするというステップです。 

2-2. 共通機能 

IT戦略のPDCA各機能に共通して関わってくるのが共通機能です。この共通機能は企業そのものの規模やどの業種に属するかによって、担当部門や構造的な仕組みは様々ですが、基盤管理やリスクマネジメントなど組織にとって最低限必要とされる機能です。共通機能は大きく分類するとITインフラ管理機能、情報セキュリティ管理機能、事業継続機能、内部統制機能の4つに分類できます。 

ITインフラ管理機能はサーバーやネットワークの構築などIT基盤に関わる戦略を立て、導入および維持管理していく機能です。そして、せっかく構築したITインフラが外部からの攻撃などの被害に合わないように保護するのが情報セキュリティ管理機能で、万が一構築したITサービスがなんらかの原因でストップしてしまった場合の事業への損失を最小限におさえる機能が事業継続機能です。内部統制機能は、企業の業務の適正化を図るためにルール作りや業務プロセスを構築し、運営する機能になります。 

3.ITマネジメント人材に求められるもの 

では実際にITマネジメント人材に求められるものとはどのような力なのでしょうか。ここではITマネジメント人材に必要とされる3つの力について紹介していきます。 

3-1. ITの技術力 

まず、最初に求められるものとしてITの技術力があげられます。適切なIT戦略を立てる上で豊富なIT技術力は当然ながら必要不可欠なものです。企業内で使用されている既存システムへの適切な対応はもちろんのこと、リリースまでに時間を要する従来のウォーターフォール型の開発だけはなくアジャイル型の開発にも対応できる優れた技術力が求められます。小単位でのテストを繰り返し進めていくアジャイル型開発では、ウォーターフォール型開発と違って全体像を把握しづらいことから、より柔軟かつスピーディな対応力とコミュニケーション能力が必要とされます。 

3-2. ITビジネスや戦略に関する知識 

次に求められるものとしてあげられるのがITビジネスや戦略に関する知識です。ただ単純にひとつひとつのシステムエラーに対処するだけでは、デジタルトランスフォーメーションはいつまでたっても実現できません。効率的なIT運用をおこなうためには、経営陣と現場の声をすり合わせたうえでネックとなっているオペレーションを改善したり、経営戦略をよく理解したうえで経営戦略に見合ったIT戦略を立てて実行していくことが重要です。合理的に業務をおこない、自由な発想で問題解決をはかったり多面的な視野をもって対応していく応用力などが求められます。 

3-3. リーダーシップ 

最後に求められるものはリーダーシップです。デジタルトランスフォーメーションの実現には、多くの部門や人との協力が欠かせません。そのため、チームをまとめて引っ張っていくだけのリーダーシップ能力と目標の達成に向けてスケジュール管理などのマネジメント能力が必要とされます。またIT戦略は組織内のひとつの部門だけに限定されるものではなく、複数の部門と多面的に関わりあいながら遂行していくものですから、円滑に物事をすすめていくための交渉力や調整力などといった対人関係能力も求められます。 

これからの時代に欠かせないもの 

これからの時代を生き抜くためにますます重要となってくるITマネジメントについて、その基本的な内容や求められる人材について理解できたでしょうか。ITマネジメントはデジタルトランスフォーメーションを実現するために欠かすことのできない要素です。時代をひっぱっていくビジネスパーソンにはぜひ知っておいてもらいたいものです。