医療業界の転職について徹底解説!医療業界の現状・労働状況ともに紹介

日本では国民皆保険制度からもわかる通り、大半の人が質の高い医療サービスを受けることができる環境にあります。しかし、超高齢化社会の影響などもあり、医療現場では人手不足など様々な問題が生じてきています。そうした状況の医療業界ではいったいどのような人材が求められているのでしょうか。今回は医療業界の転職について、医療業界の現状や労働状況などを踏まえながらご紹介していきます。 
 

1.医療業界の現状 

日本の医療機関の経営状況は全体として厳しい状態にあります。まず超高齢化社会が進行しつつある状況下で、制度的にも医療費の抑制が進められています。こうした傾向を反映し、日本の病院の約4割は赤字経営であると言われています。さらに増え続ける高齢者数に対し、医師や看護師などの現場で患者と接する医療従事者の数が足りず、需要と供給のバランスが望ましい状態ではありません。こうした状況から一人一人の医療従事者が過重労働を強いられ、その厳しい労働環境により離職者が増えるという悪循環が生じています。 

こうした状況を打破するために、国も医学部定員の増加などの施策を講じて医療従事者と患者の需給バランスの解消を図っています。計画通りに事が進めば、2033年頃には医師の週労働時間を55時間程度に抑えても、ちょうど需給バランスの取れた状況を生み出すことができると厚生労働省は試算しています。しかし、そうした施策を持ってしても、現在の医療業界の人材不足がすぐに解消されるわけではありません。外科や救急科など専門的な技能が求められる分野ではそう容易に採用数を増やすことができず、当面はこうした苦しい医療業界の状況は続くだろうと予想されています。 
 

2.医療業界の労働状況とは? 

医療現場に従事する職種は業務中の事故やトラブルが人の命に関わってくるため、その採用基準は総じて高いものとなります。もちろん、医師や看護師などの求人はそもそも免許や資格を有していなければ応募資格さえありませんが、逆に有資格者という事実だけで簡単に採用されるものでもありません。前述のように、医療従事者には高い採用基準が設けられているため、明らかな人手不足の事態が発生していても一朝一夕にはそれを解消できないというのが現実です。 

そして、医療事務は医療従事者とは異なり、直接的に患者の治療やケアに関わることはありませんが、その業務は一般的な事務的から受付や会計、患者の案内といったコミュニケーション力が求められるものまでかなり広範囲にわたるのが特徴です。特に診療報酬請求を入力する毎月のレセプト業務は正確性と共に相当な分量のデータを処理することが求められるため、医療事務にとってかなり手間のかかる業務とされています。医療事務は女性が多く誰もが働きやすい職場のように想像されることもありますが、実際には配属される科によって長時間残業や休日が取りづらい勤務形態を余儀なくされることも多いと言われています。医療事務における資格に関しては医師などとは異なり民間資格に過ぎないため、転職市場で期待できるほど優位になるとは限らないのが現状のようです。 

また、予防医療の分野が発展し、そうした方面に関わる医療従事者が増える傾向にあり、同時に関連した医療機器への需要もやはり増加しています。このように、予防医療の担い手としての医療従事者や医療機器へのニーズが新たに生まれているため、それに応じて求人数も増加傾向にあるとされています。 
 

3.医療業界の転職市場について 

医療業界の転職市場については求人として増えてはいるものの、かつてほどの人材不足はなく今は人材不足が解消されて普通の求人数になっています。製薬業界にも関連するMR(医療情報担当者)の求人は比較的落ち着いている傾向にあります。その一方で、医療機器の需要は将来的にも明らかに増加の見通しとなっており、医療機器の製造や販売に関わる企業からの採用ニーズはかなり高まっています。転職市場は枯渇状態にあると言っていい状況にあり、能力や将来性を見込んで未経験でも採用しようとする企業もさらに増えるだろうという見方が有力です。そのため、未経験から医療業界へ転職したいと考えている人であれば、医療機器関連を中心に積極的に求人をリサーチすると良い転職チャンスに恵まれると期待できます。 
 

4.他職種・異業種から医療業界への転職のポイント 

医療業界では実際の仕事の場面で専門的な知識や技能が必要とされるのはもちろんですが、経験者だけに絞って採用を行っていてはなかなか採用計画の人員を満たせないケースが出ているのが実状です。こうした状況下にあるため、医療業界の企業は未経験まで採用の門戸を広げたり、書類選考の通過基準を低くしたりして、より広範囲な人材から企業にふさわしい人物を見極めようとしています。こうしたことから、他業種・異職種から医療業界に転職する場合は未経験・無資格であっても自分の活かせる能力や経験を最大限にアピールし、誠実にありのままを伝えるようにすることが重要となります。パソコンスキルや接客経験などは医療業界においてもそのまま役立てることができる重要な能力・経験です。「未経験です」で済ませるのではなく、そのまま医療業界で使えそうな自身のスキルを洗い出して、面接時に確実にアピールできるように準備しましょう。 

医療事務を目指す場合、医療従事者のような資格は必要とされませんが、多くの未経験者が一斉に応募するであろう状況を考えると医療事務資格を取得しておくことも選考で優位に立つポイントになるでしょう。医療事務資格があることで他の人と差別化を図ることができる上、どの職場の医療事務でも業務に共通点は多いため、就職後資格で得た知識を実際に役立てることができます。 

また、時として医療業界でのキャリアを柔軟に捉えることも大切です。例えば、病院事務職という職種があり、これは基本的に受付や会計などの業務をこなしますが、大規模な病院になると総務や人事といった一般企業同様の部署があり、そこに活躍の場を見出せます。ただ漫然と事務処理を行うのではなく、医療事務の専門知識を深め、ゼネラリストとしての広い知見も養いながら医療機関における企画や広報で役立つスキルを磨くというキャリアパスも考えられます。事務という枠に留まらず、病院の運営に関わり、その問題点を解決するという視点で業務に励んでいくという道もあります。大規模な医療機関における管理職を目指すのであれば、そうした職務経験は十分将来に生きてくるでしょう。 
 

5.医療業界がおすすめな人の特徴は? 

医療業界がおすすめな人の特徴として、まずは「人と関わることが好きな人」という点が挙げられます。これはいろんな人とのお喋りが好きといった個性とは少し異なり、仕事を通じて誠意を持って相手と関わり合うことができる人が医療業界に向いています。患者と主に接する場合、こちらの相手を思う真摯な気持ちが伝わるのが一番大切なことです。よく喋るかどうかに関わらず、相手と良い信頼関係を築くことができるコミュニケーション能力が求められます。 

次に、「常に責任感を持って業務に取り組める人」が医療業界に向いています。直接、間接を問わず、医療業界での仕事は患者の命や健康に大いに関わってくるものです。軽い気持ちで起きた仕事上のミスが後悔してもしきれないような状況につながる可能性もあります。責任感はもちろんどんな仕事でも大切な要素ですが、医療業界での業務は自分以外の他人の大切なものを背負っているという性質からも、より一層重要視されていると言えるでしょう。最悪の事態を回避するためにも、どんな小さな仕事でも責任を持って取り組む心構えが大切です。 

そして、「協調性がある」ということも大切な特徴です。医療業界においては一人にどんな特別な能力があったとしても、他の複数のスタッフと連携しながら業務をこなしていく場合がほとんどです。患者の命に直結するような状況であれば、特に協調性というのは絶対に欠けてはならない要素です。このようにチームワークを大切にした上で、自分の良さを発揮できる人物が医療業界では求められています。また、患者と触れ合う中でも我が道を押し通すというスタンスではなく、相手の意図を汲み取りながらコミュニケーションを図っていく姿勢が求められます。 
 

幅広い視点からキャリアプランを考えて転職を決めよう 

医療業界についての転職を巡る状況について理解できたでしょうか。医療業界は景気の影響が少なく、人の暮らしと切り離せない分野であり、今後も安定した業界だとされています。社会からのニーズも高く、当分は人材不足の状況が続くと予想され、未経験者も含めて転職者にはチャンスの多い業界です。業界について知識を深め、広い視野を持って医療業界への転職活動を進めていくことが大切となります。 
 

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