パソコンを前に座るプロフェッショナルな女性。

消える事務職の謎

「一般事務職が消える」、近年このフレーズを何度となく耳にするようになりました。
少子高齢化により労働力が減少する中、ここ数年は空前の売り手市場が続いています。
事実、有効求人倍率が高水準を記録するのは40年以上ぶりで、景気の回復とともに雇用状況も大幅改善していることは明らかです。
数値から見る限り、今や求職者にとって希望の職に就くことはさほど難しくはないように思えるのは当然でしょう。
しかしながら実態を詳細に調べてみると、圧倒的な数を誇る求人案件の中、どうしても見つけにくくなっているのが、いわゆる一般職の求人です。
たとえば結婚や出産を機に、営業職などハードな職種ではなく、家庭と両立しやすい一般事務職への就業を希望する女性は少なくありません。
ところがいざ仕事探しを始めようとすると、需給バランスを考える以前に、肝心の一般事務職求人が激減している事実を突きつけられます。
事務の仕事が消えつつある、これは今、紛れもなく日本社会で起こっている事実なのです。

事務職に取って代わったRPA

企業求人から一般事務職のポストを奪ったのは、RPA(Robotic Process Automation)だと考えられます。
現在、働き方改革を強く推進する起爆剤として企業から熱い注目を浴びているRPAですが、ロボットによる仕事の自動化が業務の在り方を大きく変えつつあります。
RPAは定型作業をソフトウェアが代行するシステムですが、あらかじめルールを定めてプラグラムを走らせることで、人の作業なしに正確な業務をスピーディに完了させることが可能です。
表計算ソフトウェアによるデータ集計や分析、見積書の作成や発注業務まで、従来人が時間をかけて行っていた作業はほぼすべてRPAにより自動化できる段階に到達しています。
業務自体は定型化しているものの、都度複雑な判断作業が入るため、工数が増え人件費がかかっていたオフィス作業がスピーディに処理できるとなれば、企業にとって大きなプラスです。
当然ロボットとはいえRPAはツールですから、使いこなすにはコマンド(指令)を出す人間が必要です。
AIのように独自に判断して行動するシステムもありますが、一般企業に導入が進められているのは、あくまでもあらかじめプログラミング言語によるコーディングを必要とするシステムです。
自社内にはそんなものを取り扱えるエンジニアはいない、そう躊躇する経営者が多かった当初とは異なり、現在多くの企業が次々に導入を始めている理由は2つあります。
1つはRPAのシステム自体が素人にも扱いやすいよう大幅に改善されたこと、そしてもう1つは、経験値ゼロからスキルを磨き、基本的な定型業務はRPA化できる人材が増えたことです。
こうしたRPAエンジニアに成長した人材の多くは、もともと一般事務職として働いていた女性たちです。
一般事務職が消えるというリスクにいち早く反応し、早い段階でRPAの習得に努力した人が今、企業のRPA化をけん引する立場に成長したといえるでしょう。
ただし、こうした企業の変化においては、日本は後れをとっているといわざるを得ません。
アジア太平洋地域では早い段階から製造や金融、小売など多岐分野でRPAの試験運用を開始し、すでに完了しています。
現在さまざまな規模で実用化が進められており、世界的に見れば事務職はすでに自動化されアジア太平洋地域に集合化されているのが実情です。
とあるオーストラリアの企業では、すでに数年前にこうしたRPAの活用により請求書の処理コストを40%削減し、ミスを99%なくしたことを実績として挙げています
自社内にRPAを導入したバックオフィスを持つのではなく、海外拠点に集約させ、アウトソーシング部隊として独立させる動きも活発です。
現地拠点で各国の企業とパートナーシップを築き、バックオフィス機能を集約することで大きなコストメリットを得るビジネスモデルも浸透しました。
日本では大手企業がグループ内で同様の展開を試みる事例なども増えていますが、大多数は世界各国の取り組みに遅れる形となっています。
要因としては言語の壁などの課題も絡んでおり、多くの日本企業はまだ独自戦略でソリューションを模索している最中といえるでしょう。
こうした背景もあり、現在多くの企業が一般的な事務の人材より、多様なスキルを持つ人材を求めています。
一般事務職からの脱却を目指すなら、ITに関する専門知識のみならず、語学スキルほか複合スキルの習得に注力すべき時代といえます。

マルチタスクに働ける人材への転換

一般事務が消えた理由は、RPAの台頭のほかにもあります。
企業経営から事務的な業務が消えることはないため、見方を変えれば求人は見つかるのですが、その多くが複合ポジションを指定しているのが現在の特徴です。
たとえばエグゼクティブアシスタントやオフィスマネージャーの両方を兼ねるような求人が多く、いわゆる従来型の事務職とは一線を画す求人となっているのが大きな変化でしょう。
エグゼクティブアシスタントというのは秘書的業務も含まれる事務職を指し、役員クラスや幹部クラスの業務を多角的にサポートするビジネスパートナーといえます。
オフィスマネージャーは外資系に多い表現ですが、企業や部署の運営に関する物品管理やアウトソーシングの管理などを取り仕切る役割です。
こうした複合したポストの求人案件は現在も少なくはないため、マルチタスクに耐え得る人材であれば求められる傾向にあります。
ただもし求職者側が従来のいわゆる一般事務の業務以外は受け付けないという姿勢であれば、おそらく空前の売り手市場である日本においても、理想の職場を探すことは困難でしょう。
これから社会に求められる人材像は、前述したロボットのような働き方をする人間ではありません。
いわゆる一般職とされていた従来型の事務職は、すでに過去の遺物と化したことを理解しなければならないでしょう。
企業が求めるのは、RPAのようなテクノロジーでは代替できない部分を担ってくれる人材です。
たとえば優れたコミュニケーションスキルを有する人材、柔軟性を持ち臨機応変に対応できる人材が求められています。
そのことを理解すれば、これから先も事務管理をメイン業務とした働き方は十分に可能です。
求職者側の都合で業務を限定せず、広く要望に応えられる人材であれば、転職市場から素早く抜け出すことは可能でしょう。

求められるバイリンガル人材の実態

ビジネスのグローバル化が加速し、バイリンガル人材の深刻な不足が叫ばれ始めてからすでに数年が経過しています。
国内では外資系企業が増加し、日本企業も海外進出が加速する中、どのようにして人材を確保すべきか採用担当者は頭を悩ませ続けているのが実情です。
当然、経営幹部層の求人であれば高いスペックが要求されるため、採用が理想的に進まないことは想定できます。
ただ、いかに優秀な幹部がいたとしても一人で業務を遂行できるわけもなく、それを支える部署やスタッフの十分な確保が必須であることはいうまでもありません。
そのため語学力が必須となり、この点に関してはたとえ新卒でもバイリンガルの採用ニーズは拡大し続けています。
また、これまでは大手企業やメーカー、外資系企業などが中心であったところ、企業の規模を問わずバイリンガル需要が増えていることも特筆できます。
ここ数年台頭してきたベンチャー企業にも需要は拡大し、バイリンガルに対するニーズが拡大する一方、供給側の数は一向に増えないことが問題を大きくしています。
こうした背景もあり、外国人や外国人留学生の採用に踏み切る企業も増えていますが、実際に企業が必要としているのは必ずしもネイティブではありません。
一定の語学力が身に付いていることは前提としても、求められるのは諸外国との文化の違いをきちんと理解し、外国人とも対等に業務を遂行できる精神力やストレス耐性です。
そのため語学が堪能でなくても主張すべき点は主張し、必要な要求のできる人材が求められます。
日本企業に勤める以上、日本市場や日本人の人脈にも通じているほうがより適任であることは間違いありませんので、事務職に語学をプラスすることで高い需要を勝ち取ることは十分に可能です。
時代を読み企業のニーズに応えられる求職者は、スピーディに複数の内定を勝ち取り、理想の職場を得ることができるでしょう。

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