近年、さまざまな国から進出してきた外資系企業が日本で増加傾向にあります。外資系企業の多くは、関東・関西の主要都市に拠点を構えていますが、特に、東京・港区が圧倒的に多くなっています。筆者は東京のシンボルである東京タワーが近くにあることも理由ではと思っているのですが、いったい、なぜ港区なのでしょうか?

外資系が多い所在地の特徴

外資系企業の所在地ランキングの1位は、港区です。続いて2位が千代田区、3位が中央区、4位が渋谷区、5位が横浜市といった形でランクインしています。大阪や神戸などの関西エリアもランクインしていますが、圧倒的に都内ないし首都圏にオフィスを構える企業が多いようです。

共通点として、どのエリアも、「商業地区であること」、「アクセスが良好であること」、「外国人の人気居住エリア」であり、これが外資系企業の所在地と関係していると考えられます。

また、まとまって借りられるオフィスビルが多く存在していることも理由となります。日本のビジネスの中心地である丸ノ内などのオフィス街では、まとまって借りられるスペースがなかったのに対し、港区にはアークヒルズなどを所有する森ビルをはじめ、大型の高層ビルが近年数多く建設されてきました。都内にある30階建て以上の高層ビルの約3割弱は港区に存在しているといわれるほどです。新しいビルが多く、新規開拓をする外資系企業にとって、もってこいのエリアだったといえるのが、港区だったのです。

1位の港区には、なぜ外資系が多いのか?

森ビルなどの高層ビルが軒を連ねる港区。羽田空港へのアクセスも良好で、区内には六本木をはじめ、虎ノ門、汐留、浜松町など外資系企業のイメージの強い地域が多くあります。では、なぜ港区に外資系企業が集まっているのでしょうか?

・立地がとても良い

外資系だけでなく、さまざまな企業の本社が集まる港区。港区アドレスだと会社のブランディングや信用度が上がるともいわれているほど、日本企業だけでなく外資系企業にとってもネームバリューの高いエリアです。

外資系企業には資本力の高い会社が多いため、賃料が高くても立地や環境の良い場所を選ぶ傾向があります。

・IT企業が多い

外資系企業といえば、金融、保険、ITの分野の企業が多いとされています。外資系企業の主要3区といわれている港区、千代田区、中央区のうち、港区が一番IT企業の多いエリアです。外資系のIT企業も、六本木などのエリアに集中している傾向にあります。

・外資系タウン「神谷町」、大使館の街「麻布」も、港区

その六本木と、霞ヶ関の間にある神谷町が、外資系タウンとしての地位を確立しつつあります。金融や保険関係は許認可申請などがひんぱんにあり、官公庁の近くが便利とされており、霞ヶ関周辺に集まる傾向があります。その霞ヶ関の隣駅が神谷町です。町名はすでに消えていますが、地下鉄の駅名として残っているのです。

この神谷町周辺に、オランダやロシアなど先進国の大使館が多く存在することも人気の理由なのかもしれません。

・各国の大使館の存在

港区は東京23区内でも3番めに外国人が多く、そして各国の大使館や事務所の数もとても多いエリアです。日本にある大使館の半数以上が港区に集まっています。大使館の存在は海外から赴任する人たちの安心にもつながりますし、合理的に情報交換の機会をもちたい外資系企業にとって近隣に各国大使館が多く存在することはメリットとなります。特に麻布周辺のエリアには大使館が集中して存在しており、港区では大使館巡りのスタンプラリーも実施されているほどです。


利便性・ステータス・効率性を重視するのが外資系企業

外資系企業が多い土地にはステータスのほか、外資らしく利便性や効率性などもあがりますが、そうした合理性は、意外なところにも現れていますし、今後の動向にも関係するでしょう。

・勤務地選びの重要性

外資系企業の派遣社員と勤務する場合は、交通費を支給されないケースもあり、勤務地選びがとても重要になってきます。正社員の場合は、会社選びをするときにはご自分の希望する雇用条件とマッチするかも忘れずに確認しましょう。

・これからの注目株は「豊洲」周辺

港区のほか、いま一番注目されているエリアが江東区です。豊洲周辺の「アジアヘッドクオーター地区」として指定されたということからも、ここ最近の伸び率が急上昇しているエリアです。ビルの建設も多く、これからの発展が期待されています。

これから先も首都圏集中の状態は変わらないことが予想されますが、物価の安さや居住環境の良さをアピールする地方自治体も増加しています。そのため誘致制度次第では、合理的な判断のもと、地方に拠点が分散していく可能性も考えられます。今後の動向にもぜひ注目していきましょう。

 

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