営業目標を超えて: ヘルスケア部門人材紹介リーダーが語る、成功するキャリアの秘訣

Ed Marsden

マイケル・ペイジ・ジャパンのエキスパートマネージャー、エド・マースデンが、英語教師からヘルスケア人材採用リーダーに転身した経緯と、ビジネスとしての関係を超えた信頼関係を築くことがいかに重要であるかについて語ってくれました。

エド・マースデンが日本で2年間の英語教師の経験を経て人材採用の世界に足を踏み入れた時、彼は多くの人と同じように、人材採用の仕事は営業目標を達成することに焦点を当てた職業だと思っていました。

8年が経ち、マイケル・ペイジ・ジャパンのヘルスケアチームのエキスパートマネージャーとして働く今、彼の視点は完全に変わりました。

「人材採用とは、単に履歴書を渡すだけの仕事ではありません。今の時代であれば、AIでもできます。ですが、私たちは職務経歴書を超えて、候補者が人生を変える可能性のある機会や将来に対して期待を抱かせることに責任があります。」と彼は語ります。

数字から人へ:視点の転換

人材採用の世界に入る前は、採用をどのように考えていましたか?また、現在はどうですか?

「最初の頃は人材採用の仕事は人の入れ替えが激しく冷たい業界だと思っていました。しかし、それが間違いだとすぐに気づきました。短期的な成果を追うよりも、信頼と関係性を築くことが大切だと学びました。」

「半ば強引なアプローチで契約を締結できたとしても、それは長期的な結果にはつながりません。私が知っている優秀な採用担当者は、候補者とクライアント(雇用主)の両方にとっての成長を視野に入れ、真のWin-Winを作り出すことに優れています。」

「候補者とクライアントの双方にとって何が最適かを理解することで、より良い人材紹介ができるだけでなく、長期的な関係と信頼を築くこともできます。」

人材採用が営業目標の達成以上のものであると初めて気づいたのはいつですか?

「私がこの業界に入ったばかりの頃、ある候補者に出会いました。その方は当時、転職活動にあまり積極的ではありませんでしたが、6ヶ月後に私が紹介した企業に入社することになりました。この経験を通じて、候補者との関係を継続して築くことの大切さを実感しました。

人材業界は「人」が中心です。そして、人々の生活や優先事項は常に変化しています。本当に価値のある関係は、短い時間では築けません。時間をかけて信頼を積み重ねていくことが、成功につながるのです。」

ヘルスケアの人材採用に従事することで、人材業界についてどのような視点の変化がありましたか?

「ヘルスケア業界が社会に与える影響を見聞きすることは、私の採用業務により深い意味を与えます。クライアントが日頃から取り組んでいる、病気の診断や治療における成果を知るたびに自分が社会の一部に大きく貢献していると実感します。」

「自分自身は医師ではありませんが、生命に関わる薬を開発している製薬会社に適切な医療専門職を結びつけることは、社会福祉に貢献しているという実感を与えてくれます。」

「この視点は業界を問わず適用されると思います。自動車、IT、半導体など、私たちは世界に大きく影響を与えるとされるフォーチュン500企業と仕事をしています。自分の仕事が社会に良い影響を与えていると実感すると大きな意味を感じられますし、候補者とも深い繋がりを築けます。クライアントが成し遂げている成果に心から感動すると、その熱意が自然と候補者にも伝わるのです。」

人をつなぐ、温かみのある関係づくり

採用担当者として毎日精力的に取り組む原動力は何ですか?

「日本市場に新しく進出した企業や、さらなる成長を目指している企業と共に働き、その魅力的なストーリーを作り上げるサポートができることに、私は大きなやりがいを感じています。これこそが、私が人材採用の仕事に情熱を注ぐ原動力です。」

「採用コンサルタントとしての私たちの役割は、単に求人情報を伝えることではありません。企業のユニークなストーリーを候補者に共有し、その役職が彼らのキャリアをどう向上させ、さらには社会にどのような影響を与えられるのかを伝えることです。

このプロセスは、AIやLinkedInでは成し得ない、人間味あふれるアプローチを大切にしています。心を込めて候補者と向き合うことで、より深い価値を提供することを目指しています。」

「「成長の可能性」「社会へ与える影響」「キャリアの機会」の視点からストーリーを作り出し、候補者と共有することが私の原動力です。それらのストーリーを通して候補者はその仕事が持つ無限の可能性に心躍らせるときに、コンサルタントとして喜びを感じます。」

候補者との長期的な繋がりをどのように築いていますか?

「コロナ禍でオンライン面談が普及し、人材採用がより取引的になりつつあります。しかし、対面でのやり取りには、信頼を築き、深い理解を得るために欠かせない要素があります。そのため、私は可能な限り候補者やクライアントと直接会うことを大切にしています。

また、履歴書からは見えない候補者の魅力を知るために、趣味や日常生活について話を伺うよう心掛けています。こうした小さな会話や行動が、長期的な関係の土台となり、より深い信頼関係を築く鍵になると信じています。」

Ed Marsden

優れた採用担当者に必要な、予想外だと思われるスキルは何ですか?

「好奇心は、私たちの仕事において非常に重要な要素です。候補者が自分自身と向き合い、モチベーションを深く探求するために欠かせません。見方によっては、私たちの役割はキャリアに関するセラピストのような存在です。候補者が自己理解を深め、目標を明確にできるようガイドすることが私たちの使命です。」

「もう一つの重要なスキルは、反論や不満への対応力です。私たちはLAYERモデルを活用しています。Listen(聞く)、Acknowledge(認める)、Explore(探る)、Respond(返答する)のプロセスを通じて、候補者やクライアントの声に積極的に耳を傾け、共感し、最善の結果を見つけ出します。キャリアの異なる段階にいる人々と向き合う中で、時には複雑な感情や経験に触れることもありますが、それらを丁寧に受け止めることが、信頼関係の構築に繋がります。」

採用担当者としての成功をどのように測りますか?

「採用における成功は、単に人を配置することで測れるものではありません。一番大切なのは、私が紹介した候補者がその仕事を続け、成長しているかどうかです。ほとんどの候補者は試用期間中に離職することなく、大多数が1年以上同じ会社で活躍し、さらに上級職へ昇進したケースも多くあります。そうした成果を見るたびに、大きな充実感を感じます。」

「もう一つの成功の指標は、リピートビジネスの獲得です。候補者が次のキャリアを考える際に再び私たちを頼ってくれること、さらには友人や同僚に私たちを紹介してくれることは、私たちが価値あるサービスを提供できている証拠です。時には採用に至らなかった候補者からも、紹介を受けることがあります。こうした長期的な関係性や紹介が、私たちが候補者に信頼され、真の価値を提供していることを示していると確信しています。」

「真の成功とは、即時的な採用目標を達成することだけではなく、候補者やクライアントと長期的な信頼関係を築き、彼らのキャリアに継続的に貢献することだと思います。」

採用という職人技:人間の可能性を引き出す

採用が単なる営業職ではなく、職人技であると考える理由は何ですか?

「日本では職人技が非常に重視されていますが、私は採用もそれと同じだと考えています。単にスキルを習得して終わるのではなく、常に改善と学びを続ける姿勢が必要です。」

「伝統的な職人が技術を磨き続けるように、採用担当者も市場の変化や新しい技術に適応し続けることが求められます。しかし、それだけではありません。私たちは周囲からも学び続けています。シニアの同僚から専門的な知識を得る一方で、ジュニアのチームメンバーから新鮮な視点を学ぶなど、日々多くの洞察を得て挑戦しています。」

「どんな職人技でも、成長のためには改善への献身が不可欠です。候補者やクライアントと接するたびに、新たな発見を得てアプローチを改善し、自分の技を磨いています。この姿勢こそが、採用を単なる営業職と一線を画す重要な要素だと考えています。」

候補者の隠れた可能性をどのように見抜きますか?

「私は現在の役職やキャリアにおける主な成果に焦点を当てています。『最も誇りに思っている成果は何ですか?』『上司はあなたのどこを評価していると思いますか?』『あなたの成果は同僚とどう違いますか?』といった質問を通して、候補者の強みや他の人とは違う際立ったポイントを見つけ出すよう努めています。」

「また、候補者の職場文化を理解することも非常に重要です。特に日本の伝統的な企業では、実力よりも勤続年数が昇進に影響する場合があります。昇進が必ずしも候補者の実力に基づいていないこともあり、長く在籍していることが評価基準になることも珍しくありません。」

「こうした企業や国の文化を理解することで、候補者が別の環境でより高く評価され、成長できる可能性を見極めることができます。時には、勤続年数ではなく潜在的な能力に基づいて成長できる場を見つける手助けをすることで、候補者の可能性を最大限に引き出すことができるのです。」

Ed Marsden

転機となる重要なストーリー

採用がなぜ重要であるかを表すストーリーを教えてください。

「ある大手米系医療機器企業が、重要なマネジメント職の適任者を見つけるのに約1年苦戦していました。そのポジションには、英語と日本語のスキル、交渉力、技術力が求められるうえ、米国本社と日本法人の間で円滑なコミュニケーションを取り、組織改革を推進できる人材が必要だったのです。」

「当時、これらのスキルを持つ人材は市場にほとんどいませんでした。そんな中で出会ったのが、早期退職後2年ほど職場を離れていた日本人候補者です。彼女はほとんどの条件を満たしていましたが、履歴書の空白期間を理由に、人事部門は即座に不採用と判断しました。」

「私は採用担当者と直接話し、履歴書には表れない彼女のスキルや可能性を伝え、面接の機会を得られるよう説得しました。その結果、彼女は採用され、あれから6年が経った今もその企業で活躍しています。この経験を通じて感じるのは、私たち採用担当者の役割は単に人を紹介することではなく、クライアントと候補者の可能性を最大限に引き出すことだということです。」

挑戦的ではあったものの、良い結果を生んだ採用の事例を教えて下さい。

「印象に残っているのは、日本でのシニアポジションの採用案件です。こうした役職は通常、限られたエージェンシーとしか共有されないため、非常に大きな挑戦でした。私は複数のシニアレベルの候補者と面談を重ね、その中の一人をいくつかの採用担当者に紹介しましたが、当時は適任のポジションがありませんでした。」

「それから6ヶ月後、彼女にぴったりのポジションが見つかり、HRビジネスパートナーに面会を依頼しました。すでに信頼関係が築かれていたこともあり、私は彼女が最適な候補者であると自信を持って伝えました。」

「さらに、電話だけでなく対面でしっかりと準備を進めたことが功を奏し、HRチームは候補者を検討することに同意しました。その結果、彼女は見事に採用され、その役職で大きな成果を上げました。その後、会社の本社に招かれ、さらに大きなグローバル製薬会社へとキャリアを広げていきました。」

「この経験から学んだのは、候補者を信じて粘り強く取り組むことの重要性です。最適なマッチングに時間がかかることもありますが、関係を維持し、諦めずに取り組むことで、候補者やクライアントにとって最高の結果を生み出すことができるのです。」

候補者が見逃しているかもしれない自分の可能性をどのように見つけますか?

「多くの候補者は、自身の過去の経験や業界の固定観念にとらわれがちです。『これが自分に合う唯一の役職だ』とか、『この会社は自分の経歴に興味を持たないだろう』といった思い込みを抱えていることがよくあります。」

「そこで、適切な質問を通じて会話を深め、候補者の視野を広げることを大切にしています。これにより、候補者自身が気づいていなかった可能性やスキルに目を向けられるようになります。例えば、以前製薬業界に限定して職を探していた候補者に医療機器分野を提案したところ、それが非常に良い結果をもたらしたことがありました。このように、候補者の枠を広げるサポートをすることで、彼らが新たなキャリアの可能性を発見し、自信を持って次の一歩を踏み出せるようになるのです。」

他の人が見逃した潜在能力をどのように見抜きましたか?

「あるサービス企業で、技術職の採用が課題となっていました。そのポジションには高度な経験が求められましたが、年齢制限が30代から40代に設定されていたため、適任者を見つけるのは困難でした。日本では、採用時に年齢を重視する傾向が根強く存在しますが、私はその慣習を打ち破りたいと考えました。」

「そこで、66歳の候補者に注目しました。年齢以外のすべての条件を満たしており、彼が最適な人材だと確信していました。市場データをもとに、適任者が非常に少ないことをクライアントに説明し、年齢よりも能力に焦点を当てるよう説得しました。その結果彼は採用され、期待以上の成果を上げています。このケースは、潜在能力に目を向けることの重要性を教えてくれました。」

採用業務は、候補者のキャリア以外でどのように人生に影響を与えましたか?

「以前、経済的にも職業的にも限界を感じていた候補者を新しい役職へと導いた経験があります。その結果、彼は大幅な昇給を得て『家族のために第二子を考える余裕ができた』と感謝の言葉をいただきました。」

「このような瞬間は、採用が単なる職務ではなく人々の人生を支え、予想もしない形でその生活を変える力があることを実感させてくれます。」

採用の未来:テクノロジーと人間の融合

AIや自動化の時代で、採用担当者の役割はどのように変わると思いますか?

「AIは履歴書のスクリーニングや事務作業の自動化において非常に役立つツールです。この技術のおかげで私たちは人間関係の構築により多くの時間を割けるようになります。」

「ただしAIでは対面のやり取りから得られる直感や共感を再現することはできません。これからは候補者とのつながりを深め、彼らの潜在能力を引き出し、キャリアの充実を支えることが採用担当者の役割としてより重要になるでしょう。」

採用担当者が、企業と候補者にもたらす真の価値とは何だと思いますか?

「それは『人に関わる課題を解決する』ことです。企業にとってはチームのギャップを埋めることが大きな成果につながります。一方、候補者にとっては、現在の状況と将来の目標とのギャップを埋めるサポートです。」

「私たちはその架け橋となり、両者の旅路を共に進みます。候補者がキャリアで成長し、数年後に『あなたに助けられたから今がある』と感謝の言葉をもらう瞬間、この仕事の真価を感じます。」

次世代の採用担当者にどのような影響を与えたいですか?

「7年前にヘルスケアチームに加わった時、メンバーは5人だけでした。しかし、現在は20名を超えるまでに成長し、世界中の拠点で最大のヘルスケアチームとなりました。来年は15人の新卒者が加わる予定で、次世代の採用担当者たちに良い影響を与えたいと考えています。」

「自分の仕事や市場を愛すること、そして候補者とクライアントの双方を大切にすることの重要性を伝えていきたいです。未来の採用担当者が、企業と人材をつなげる真の価値を理解し、信念を持って働けるよう導くことが私の目標です。」

Edについて

エドはイングランド東部の農業が盛んな小さな町で育ちましたが、活気に満ちた大都市のエネルギーに惹かれ、東京へ移り住みました。

日本に魅了された理由の一つは、音楽への情熱です。東京では複数のバンドでギターやピアノを演奏し、その才能を存分に発揮しています。また東京の活気あふれる環境、そして国内外のアーティストから日々刺激を受けて、創造性を追求しながらキャリアを築いています。

一方、活気あふれる東京だけではなく、穏やかな日本にも魅了されています。妻の故郷である栃木県や北関東でのハイキングを楽しみながら、素晴らしい郷土料理、美しい自然の風景、そして温かいおもてなしを満喫しています。こうした経験を通じて、彼は日本での生活、仕事、そして旅のすばらしさを日々実感しています。