「医療業界の職種」と聞いて多くの人が思い浮かべるのは、風邪を引いたりけがをしたりしたときにお世話になる医師や看護師ではないでしょうか。しかし実際には、彼らのように身近で認知度が高い職種以外にも、医療業界に携わっている職種は数多くあるのです。この記事では、医療業界で活躍するさまざまな職種を紹介するとともに、医療業界に転職する際のポイントを紹介します。

1.医療業界の職種

医療業界の職種といえば医師や看護師、それから彼らをサポートする医療事務や医療秘書を思い浮かべる人が多いでしょう。しかし、病院やクリニックで患者と接する人だけが医療に関わる仕事をしているわけではありません。病気を治すために必要な薬剤を作る製薬業界や、MRIやペースメーカーなどの医療機器を開発する医療機器業界も医療業界に含まれます。

1-1.医療機関

医療業界の職種としてもっとも一般的なのが、病院やクリニックなどの医療機関に所属して業務を行う仕事です。代表的なものには医師、看護師、助産師、救急救命士などがあります。これらの病気やけがを抱える人の治療を担う仕事以外にも、医療機関で活躍する仕事にはさまざまな種類があります。たとえば、医療機器を操作して治療をサポートするのが臨床検査技師や診察放射線技師です。この他にも、患者の治療や機能回復をサポートする器具を作成する歯科技工士や義肢装具士、患者のリハビリを指導する理学療法士や作業療法士、精神的な不調を抱えた人にカウンセリングを行う精神保健福祉士なども医療機関で活躍する仕事です。

また、医療業界の仕事には介護や福祉に関わる仕事も含まれます。介護福祉の仕事には、介護サービスを提供する介護福祉士やヘルパー、要介護者のケアプランを考えるケアマネージャー、要介護者とその家族の相談を受ける生活相談員などがあります。医療機関で活躍する職種には、国家資格を必要とするものが多いのが特徴です。医師、薬剤師、看護師、助産師、保健師、管理栄養士、臨床工学技士、歯科衛生士、理学療法士、作業療法士、義肢装具士、歯科技工士、臨床検査技師、診療放射線技師、救急救命士、言語聴覚士、視能訓練士、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士は国家資格が必要な職種です。

一方で、医療機関で働く職種のなかには国家資格が必要ないものもあります。看護助手、歯科助手、医療事務/受付、医療秘書、医療事務作業補助者、検診センター受付、ホームヘルパー、ケアワーカー、ケアマネージャー、生活相談員は国家資格がなくても就ける仕事です。これらの国家資格が必要ない仕事は、国家資格必須の仕事とくらべて軽んじられる傾向があります。しかし、国家資格が必要ない職種も医療の現場に欠かせない存在です。たとえば、医療事務や医療秘書は煩雑な事務手続きを一手に担ってくれますし、ヘルパーやケアワーカーは介護福祉士と協力しながら高齢化が進む社会を支えてくれています。

1-2.製薬業界

医療業界の職種の二つ目が製薬業界です。製薬業界の仕事には、医薬品の研究・開発職や生産業務、それからMRやPMSなどがあります。製薬業界の研究職は、薬が病気に作用する仕組みを研究したり、薬の安全性や有効性を検証したりするのが主な仕事です。研究職が作成したデータをもとに医薬品を開発するのが開発職です。製薬業界の研究・開発職として活躍するには、医薬品に関する豊富な知識と専門性が必要とされます。これらの職を志すなら、学生時代から化合物や化学合成など製薬に関する学習を積み上げて、知識と専門性を身に付けておくと良いでしょう。

研究・開発で安全性や効果が認められた医薬品は、次に生産の工程に進みます。生産工程では、工場内の機械が正常に稼働するようにメンテナンスする工務管理や、患者に提供される前の医薬品が品質基準をクリアしているかチェックする品質管理を徹底して行います。

製薬業界で完成した医薬品情報を医療機関に提供し、患者のもとに医薬品を届ける手助けをしているのがMRと呼ばれる人たちです。MR(Medical Representative)とは医薬情報担当者のことを指します。MRの主な仕事は、医療機関に足を運び自社が開発した医薬品の品質や有効性などの情報を提供することです。MRは情報の提供を通じて自社製品を医療機関で使ってもらうように働きかけるため、製薬業界における営業職ととらえることもできます。また、実際に医薬品を使用する医療機関からの意見を集めるのもMRの仕事です。現場からの生の声を集めることで、医療の現場に貢献できる医薬品の開発につなげます。

製薬業界の仕事にはPMSと呼ばれるものもあります。PMS(Post Marketing Surveillance)」は、日本語では製造販売後調査や市販後調査と表現される仕事です。PMSは販売されたあとの自社製品の使用状況を集め、有効性や安全性を確認する調査を行うのが仕事です。

製薬業界にはこの他にも、CRAやCRCと呼ばれる職種もあります。CRA(Clinical Research Associate)は臨床開発モニターのことを指します。CRAの主な仕事は、新薬の治験がルール通りに行われているかモニタリングすることです。これに加えて治験に関する症例データの収集や解析も行います。CRC(Clinical Research Coordinator)は治験コーディネーターのことで、治験が滞りなく行われるようにサポートするのが仕事です。

1-3.医療機器業界

医療業界の職種の三つ目は医療機器業界です。製薬業界と同様に医療機器業界も研究、開発、製造を経て製品を作り、それから営業やフォローを行うという流れで業務が進められます。医療機器業界の研究・開発職には医療に関する知識と専門性に加えて、電気工学の知識も必要とされます。なぜなら、医療の現場で使われる機器には電気工学技術が使われているものが多いからです。このような背景から、医療機器の研究・開発職に就いている人のなかには、医師や臨床工学技士以外にも電気工学の研究者も存在します。

製薬業界では、自社製品の情報を医療機関に提供するMRが営業職の役割を担っていました。医療機器業界では営業職のスタッフが医療機関に出向き、実際に医療機器を使用する医師や臨床検査技師に対して営業を行います。医療機器の営業職が扱う品物は、MRIのような大型の検査機器から注射器のような消耗品、人工関節のような生体適合材料まで多種多様です。医療機器業界にはこの他にも、専門知識を生かして営業の支援を行うアプリケーションスペシャリスト、医療機器の導入を提案する際にアドバイスを行うクリニカルスペシャリスト、医療機関を定期的に訪問して自社製品の点検や修理を行うサービスエンジニアなどの仕事があります。

医療機器業界の現状は、製造している機器の種類によって異なります。内視鏡やCTなどの診断系機器の分野で強みを持っているのは日本国内の企業です。カメラや電子機器メーカーなど異分野で活躍する企業の参入も活発に行われています。一方の治療系機器の分野では外資系メーカーの活躍が顕著です。その証拠に、治療系医療機器市場の4割は外資系メーカーの提供する輸入製品が占めています。この背景には、外資系企業と日本企業の資本力の差があるといわれています。治療系機器の研究開発には多額の費用が必要なため、資本力に長けた外資系メーカーのほうが有利なのです。

2.医療業界に転職するポイント

まず、医療機関で活躍する医師や看護師などの国家資格が必要な職種に転職するには、当然国家資格の取得が必須条件です。一口に国家資格といっても、その難易度は資格によって異なります。難易度が高くない資格であれば、仕事をしながら学習し取得を目指すことも可能です。憧れの職種がある人は、資格の難易度や取得方法を確認してみると良いでしょう。資格の取得が必須ではないものの、資格を持っていたほうが転職活動を有利に進められる職種もあります。たとえば医療事務なら医療事務資格試験に、MRならMR認定試験に合格しているほうが、仕事に必要な知識やスキルを持っていると判断され、転職が有利に進む可能性が高いです。

まったくの異業種から医療業界に転職する場合、今まで培ってきたスキルが武器になることもあります。たとえば前職でパソコンを駆使して仕事をしていた人は、パソコンスキルを医療事務や医療秘書への転職に生かせるでしょう。また、前職で高いコミュニケーションスキルを身に付けている人は、MRや医療機器営業でもその力を発揮できるはずです。異業種からの転職の際は、今まで自分が築いてきたキャリアを振り返り、転職に有利になるスキルはないか考えることが大切なのです。
 

医療業界は病院で働いている人だけではない

医療業界の職種と聞くと、ついつい身近な存在である医師や看護師を想像してしまいます。しかし医療業界は想像以上に広く、医療機関で働く職業に加えて、製薬業界や医療機器業界も医療業界に含まれます。直接病気やけがを抱える人と向き合う仕事だけでなく、製薬業界や医療機器業界も間接的に人の命に関わる仕事です。そのため、他の業界では味わえないやりがいを感じながら働くことができるのです。
 

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