勤めている会社を辞めるときには退職交渉をしなくてはいけません。しかし、退職交渉をするにはいくつか気を付けなくてはいけないポイントがあります。間違った交渉の方法をしてしまうと円満退職ができなかったり、そもそも、退職の話が進められなかったりという可能性もあるのです。そのような事態にならないように、本記事で紹介する退職交渉における進め方のポイントやマナーを理解して、円満な退職を目指しましょう。
 

退職交渉の行い方

まず、退職交渉について、いつ頃報告すべきか、また、誰に報告すべきかに関して解説していきます。

時期はいつ頃行うべきか

一般的には、退職交渉をおこなうのは退職希望日の1カ月~1カ月半前頃からが適切であるといわれています。そのくらいの期間があれば、仕事の引き継ぎをおこなうのも無理はないと考えられていることが多いようです。退職をする前に仕事の引き継ぎ作業をするのは社会人のマナーなので、しっかりと引き継ぎができるくらいの、余裕を持った日数を考えるようにしましょう。それと同時に、会社の就業規則を確認するのも忘れてはいけません。

就業規則の中に、退職に関する規定が記載されていることもあります。記載されている場合は、それに従うようにしてください。就業規則に反する申し出をした場合、申し出が認められない場合もあるのです。そうなると、勤めている会社に迷惑がかかるだけでなく、転職先の会社に対しても入社日の相談が必要になったり、その他のトラブルが発生したりする可能性もあるので、事前の確認は必須になります。

誰にまずは報告すべきか

退職の意思を報告する場合は、必ず直属の上司に相談するようにしましょう。直属の上司以上の役職者にいきなり話を持ち掛けたり、同僚や部下に先に話したりしてしまうのはマナー上、あまり良くありません。話がこじれてしまう可能性も考えられます。退職の意思が固まったら、なるべく早い段階で時間を取ってもらえるように相談し、会議室など、落ち着いた場所で話をするのがベターです。なお、このような話はメールではなく、対面で行うほうが印象も良いでしょう。なかなか会えない場合や切り出しにくい場合は、まずメールで報告をしてから、改めて直接話せる機会を作ってもらえるように頼んでみると良いかもしれません。
 

退職交渉のポイント

退職交渉のポイントは4つあります。円満な退職交渉ができるように、それぞれのポイントを押さえておきましょう。

退職理由は前向きな事情にする

業務内容に関することや給料に関することなど、後ろ向きな理由を述べてしまうと、それらの改善を条件に引き止めされてしまう可能性が高くなります。そのため、前向きな理由を伝えるほうが良いでしょう。また、キャリアアップなどの前向きな理由は好印象を持ってもらいやすいため、円満な退職にも繋がりやすいです。

退職理由に会社への不満は言わない

感情を主とした会社への不満を退職理由として伝えてしまうと、印象も悪くなってしまうので退職日まで良い関係のまま過ごすことができなくなる可能性があります。また、不満の改善をするから残ってほしいといわれてしまう場合もあるでしょう。

転職先の社名は言わない

転職先が決まっている場合でも、具体的な社名は伝えないほうが無難です。転職先の社名を伝えてしまうと退職交渉をする際に、その会社のネガティブな部分を話されて、モチベーションが下がってしまう恐れもあります。ほかにも、退職を阻むために、転職先の会社へ何らかの働きかけをおこない、転職を妨害されてしまう可能性もあるので気を付けなくてはいけません。聞かれても濁して答えておくと良いでしょう。

引き止めにくい退職理由にする

退職理由は家庭の事情など、会社側が引き止めるために改善できないような個人的なものか、キャリアアップやキャリア変更など、キャリアに関する理由を述べるのも効果的です。会社としては残ってほしいがゆえに引き止めをしてくるケースも多いので、引き止めをされることを想定して、どのような理由を伝えるかを考えるようにしましょう。
 

引留に合った場合(カウンターオファー)の対処法

引き止めされてしまった場合、どのように対応すれば良いのかについて、状況に応じた対処法を紹介していきます。

昇給や昇格・部署異動を持ち出される場合

会社への不満が退職の原因なのかと捉えられた場合、昇給や昇格・部署異動を持ち出されることもあります。しかし、そこで提示されたものを守ってもらえるかどうかは定かではないため、その言葉を鵜呑みにするのはやめておきましょう。また、その条件を守ってもらえたとしても、一時的な対応でしかないかもしれません。

次の人が採用するまでなど条件を付けられる場合

次の人の採用を待ってから退職となると、次の人が採用されない限り、その会社にとどまらなくてはいけないことになります。退職日がはっきり決まらず、先延ばしになってしまう可能性も考えられるでしょう。転職したいのであれば、希望の退職日まで余裕のあるスケジュールを組み、そのような申し出があれば丁重に断りながら退職したい意思をしっかりと示すことが大切です。


退職に向けて話が進まない場合

ここからは退職の意思を伝えたにもかかわらず、なかなか話が進まない場合の対策をいくつか紹介します。

強い意思を必ず持つこと

退職交渉は、スムーズにいかないことも多く、5・6回ほど話し合いがおこなわれることも考えられます。退職が決まるまでには、時間も忍耐力も必要になるので、あらかじめ覚悟しておくことが大切です。また、会社としても社員を失いたくないという思いから、さまざまな引き止め条件を提示して退職をやめさせようとすることもあります。引き止めされて会社に残っても、一度退職の意思を伝えたために、その人を見る目が変わることもあるので、居心地が悪くなるかもしれません。そのため、退職すると決めたら引き止めを断る勇気を持ちながら交渉していきましょう。

内容証明を人事部に提出する

内容証明は、差出人が作成した内容を日本郵便が証明するものです。退職予定日の2週間以上前に会社の人事部に内容証明で退職届を提出することで、自動的に退職できることが民法で定められています。しかし、このような方法は会社から見ても悪いイメージがついてしまうので、円満退職の方法としては向かないでしょう。円満に退職するためには、なるべく話し合いでまとめるようにしたほうが良いです。

退職代行を利用する

退職代行は労働者の代わりに会社に退職の意思を伝えるサービスです。自分ではうまく退職交渉ができない場合、退職代行を依頼する人もいます。しかし、この方法はアルバイトや非正規雇用者などは利用することが多いようですが、正社員ではあまり一般的ではありません。退職代行は専門の業者や弁護士がおこなっています。会社とのやり取りをしなくて良いというメリットがあるものの、依頼費用がかかるなどデメリットもあるので利用する場合は注意してください。
 

円満退職をするためのマナー

円満退職をするには、引き継ぎや有休消化に関してのマナーも大切です。ここからは、どのような点に気を付ければ良いのか解説します。

引き継ぎについて

引き継ぎは退職前の仕事として重要なものの1つです。退職した後の業務がスムーズに進められるようにするためにも、マニュアルやデータの作成だけでなく、後任者と共に作業をおこない、分からない点があったら伝えるようにすることも大切になります。実際の業務を一緒におこなうことで、後任者も安心して引き継ぐことができます。また、後任者が決まった後は取引先などに一緒に挨拶をして、取引先とのやり取りもスムーズにできるように調整しましょう。

有給消化について

有休が余っている場合は、最終出勤日以降に有休を使って休むことは一般的ですが、休む前には引き継ぎなど、退職に伴ってやらなければいけない業務を終えてから取得するように配慮することが大切です。また、有休の買取をして給与に上乗せしてくれる会社もあるので規定を確認しつつ、どちらが良いか考えると良いでしょう。
 

強い意志を持って計画的に

円満な退職交渉をするためには、引き止めにあう可能性も高く、時間と忍耐力が必要です。場合によってはスムーズにいかないこともあるかもしれませんが、諦めずに強い意志を持って話し合いましょう。円満な退職をするためにも、ここで紹介したポイントを押さえながら、引き継ぎや有休消化を計画的に進めてスムーズな転職を目指してみてください。

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