「アンガーマネジメント」という言葉がビジネスの世界で話題になっています。その言葉からは怒りをマネジメントするという意味が読み取れますが、なぜそれがビジネスに有用なのか、そして具体的にはどのようにすればいいのかがわからないという人も多いのではないでしょうか。そこで、ここではアンガーマネジメントがビジネスで求められる理由とメリット、そして具体的な方法について解説します。

1.「アンガーマネジメント」とは 

アンガーマネジメントとは、怒りを上手にコントロールすることを言います。1970年代にアメリカでDVや軽犯罪者の矯正プログラムとして誕生したのが始まりですが、今では企業研修で取り入れられるなど一般化されてきています。

怒りの感情は誰しも感じた経験があるでしょう。しかし、それを職場でそのまま発散してしまうのは問題です。不機嫌な態度を取ったり周りに八つ当たりをしたりするなどといった行為は、特に職場においては不適切なものと言えます。そうしたことが起きないよう、怒りの感情はうまくコントロールする必要があります。怒りという感情は必ずしも悪ではありませんが、きちんとコントロールできないと周りに迷惑をかけるだけでなく自分にも不利益を及ぼすことがあるのです。
 

2.なぜビジネスの面から注目されるのか

「アンガーマネジメントは怒りという感情のコントロールなのだから個人の問題であるはずだ、それなのになぜビジネスにおいて語られるのか」と思う人もいるかもしれません。アンガーマネジメントがビジネスの面で注目されるようになった背景には、働く環境の変化があります。

働き方改革など人々の働く環境が見直される中で、パワハラやセクハラ、職場での嫌がらせといった問題が浮き彫りになり、その問題の解決が社会の中で求められています。職場で嫌がらせや暴力行為を受けたために精神疾患となったり、あるいは人間関係によるストレスから離職を選ぶ人も後を絶たないなど、看過できない問題となっているためです。逆に言えば、こうした問題を解決して職場の雰囲気が良くなれば、離職の抑止や生産性向上につながることが期待されます。

職場において怒りをコントロールできないということは、パワハラをはじめとする職場の問題を起こす原因となります。したがって、職場環境の改善にはアンガーマネジメントが欠かせないのです。
 

3.個人がアンガーマネジメントを身に付けるメリット

アンガーマネジメントは職場環境の改善に役立つのはもちろんですが、ビジネスパーソン個人にも様々なメリットがあります。

まず一つは、自身の精神の安定につながるということです。怒りを感じるというのは、実は本人にとっても大きなストレスとなるものです。アンガーマネジメントを身に付けると、イライラが頻発したり継続したりするのを抑えられるようになります。そうすると落ち着いて話ができるようになり、また人の話もきちんと聞くことができるようになるので、言葉でのコミュニケーションがスムーズになります。自分と違う存在も柔軟に受け入れ、ちょっとしたことでイライラしなくなるのでストレスも大幅に軽減されるでしょう。

精神が安定していれば集中力も上がります。職場の人間関係が良好になれば仕事のモチベーションも上がるでしょう。その結果生産性の向上につながり、個人にとっても会社にとっても大きなメリットをもたらします。
 

4.「怒り」のメカニズム

アンガーマネジメントを身に付けるには、まず怒りはどのようにして生まれるのか、そのメカニズムを知ることが重要です。

怒りは何もないところから生まれるわけではなく、実はその前段階があります。日々仕事や生活をする中で、人は様々なネガティブな感情を経験します。例えば、悲しい、悔しい、あるいは不安などといった感情です。心理学においてこれらは「第一次感情」と呼ばれています。こうした感情を持つのは決して悪いことではなく、あくまでごく自然な反応です。

これらの感情が積もり積もって許容範囲を超えたときに起きるのが怒りです。心理学では「第二次感情」と呼んでいます。もしも怒りを発散せずに抑えてしまうと、ストレスが溜まって心の病を引き起こしてしまうこともあります。つまり、怒りは防衛反応の一種とも言えるのです。その怒りをコントロールするためには、まず「第一次感情」に気付くことが大切です。
 

5.まず自分の「怒り」のタイプを知る

自分の怒りのタイプを知っておくと、対応が容易になります。日本アンガーマネジメント協会では、怒りのタイプを以下の6つに分けています。自分は以下の6タイプのうちのどれに当たるのか、考えてみることがアンガーマネジメントへの第1歩です。

「公明正大タイプ」:正義感や道徳心が強く、そのためルール違反や人がずるいことをするのが許せません。

「博学多才タイプ」:向上心のある完璧主義者で、人にも厳しいため優柔不断や適当な行動が許せず、白黒はっきりつけたがります。

「威風堂々タイプ」:プライドの高い自信家ですが、人の目が気になり人から軽んじられることに耐えられません。

「外柔内剛タイプ」:一見ソフトに見えて実は頑固なタイプで、マイルールから人が外れることを嫌がります。

「用心堅固タイプ」:ネガティブ思考の慎重派で、ストレスをためやすいタイプです。

「天真爛漫タイプ」:文字通り天真爛漫な自由人なので、制限のある状況ではイライラしてしまいます。
 

6.アンガーマネジメントの具体的な方法

ここからは、アンガーマネジメントの具体的な方法を紹介します。特別な訓練など必要なく、すぐにできるものばかりなのでぜひ実践してみましょう。

6-1.怒りがわいたら6秒間数える

怒りが爆発しそうになったら、ぐっとこらえてまずは6秒数えてみましょう。深呼吸して体に意識を向け、6秒過ぎるのをじっと待ちます。すると不思議に心が落ち着くのを感じられたのではないでしょうか。

実は、人間の怒りのピークは長くても6秒間と言われています。それ以上はむしろ持続することが難しいのです。この「6秒ルール」、とても簡単なのでぜひ覚えて実際に行ってみてください。

6-2.自分の中の「するべき」を他人に押し付けすぎない

自分の中に「こうあるべき」という価値観が強くある場合、他人がそれに従わない動きをすると怒りを感じることがあります。ですが、価値観は人それぞれで、自分の「べき」と他人の「べき」は必ずしも一致しません。自分の「べき」にこだわるのは、価値観の押し付けです。そのことをきちんと理解できれば、人の価値観を尊重することができ、許容範囲が広がって価値観の相違に怒ることもなくなるでしょう。

6-3.怒りをスコアリングする

怒りを感じたら、その怒りに点数をつけてみましょう。怒りが全くなければ0点、今までの経験に照らして人生で一番強い怒りなら10点、というふうに、10点満点でスコアリングしてみます。この程度ならあの時の怒りに比べれば弱いから4点、今回の怒りはあの時より強いから7点、といった具合です。点数を付けるというのは客観的に評価する、すなわち自分を客観視するということになるので、冷静になって心に余裕を取り戻すことができます。

6-4.自分が変えられるものと変えられないものを区別する

自分の力で変えられないものにはエネルギーを注がない、というのも一つの方法です。例えば、電車が遅れて遅刻しそうなとき、イライラしたからといって遅延がなくなるわけではありません。雨が降ってイライラしても、雨が止むわけではありません。人の気持ちや自分の過去も変えることはできないのですから、考えても仕方がないのです。そういった「変えようのないもの」に意識を向けないようにするだけでも、イライラすることはずいぶん減ります。それよりも自分にできることにエネルギーを注いだ方が、エネルギーの使い道としてもずっと有効です。
 

アンガーマネジメントはビジネスで必要!ぜひ身に付けよう

アンガーマネジメントは感情の問題だけに個人的なことのようにも思えますが、仕事の生産性や職場の人間関係に及ぼす影響も大きいため、ビジネスの上でも重要なものです。無駄な怒りにエネルギー費やしても何も得るものはありません。ここで紹介した方法を取り入れ、自分の「怒り」とうまく付き合って生産的な思考で仕事に取り組んでいきましょう。

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