5 ways to improve equity in the workplace (JP)

ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)は、世界中の企業にとって重要なテーマになっています。全ての人が、性別やセクシュアリティ、障がいの有無、国籍や人種、宗教や政治によって差別されることなく、一人一人が自分らしく働ける環境を会社が作ることはとても大切なことです。そして近年、このダイバーシティ&インクルージョンに会社が積極的に取り組むことはビジネスにとっても有益であることが研究によってわかっています。

ウォール・ストリート・ジャーナル紙の最近の調査によると、S&P500の企業のうち、最もダイバーシティが進んでいる20社は、ダイバーシティに取り組んでいない企業よりも5年から10年の期間で、約4%以上平均営業利益率が上回っています。マッキンゼーによる別の調査でも、ジェンダー・ダイバーシティにおいて進んでいる上位25%の企業は、平均以上の収益性を達成する確率が高い(21%)という結果が出ました。ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)は、ビジネスのゴール達成という目的のためにも取り組むべきテーマなのです。

ただ現状はそれほど進んでいるとは言えません。米国のS&P500企業でも、女性の役員が50%以上の企業は10社に満たず、女性経営の企業は5%未満、女性の役員数は2020年の平均でわずか18%です。しかし、この数年間で進歩がなかったわけではありません。2020年、S&P500社の取締役会は413名の役員を新たに任命し、そのうち59%が女性またはマイノリティで、小さいながらも重要な一歩を踏み出しました。

この記事では、ダイバーシティ&インクルージョンに取り組みたいと考えている企業の方、マネージャーの方向けに、女性の活躍を推進するためにできることをご紹介します。
 

1. スポンサーシップ制度の導入

メンター制度とは組織内の経験の浅い社員に助言や指導を与えることですが、スポンサーシップ制度は、単に親身になってキャリアのアドバイスをするだけではありません。グラントソントン・インターナショナル社の社外取締役アリザ・ノックス氏は、スポンサーシップとは、社員のキャリアに投資し、自分の影響力やネットワークを使って、注目度の高い仕事や意思決定者に引き合わせることだと説明します。「スポンサーシップとはその社員を昇進させるために育成を行い、その社員の推薦までを担当するのです。女性の管理職が増えれば、彼女らが将来スポンサーとなって、新たな女性リーダーの育成を担う可能性も考えられます。」
 

2. 「求める人物像」を再検討する

企業の採用をサポートするリクルーティング企業もまた、企業の多様性向上の一翼を担う存在です。ペイジ・グループの東南アジア地域代表のジョン・ゴールドスタインはこう話します。「多くのクライアントは私たち人材会社に相談する際に、求める人物像というものを持っていますが、そもそもその求める人物像というのが男性よりであることも多いのです。私や私の同僚、また同業の人材紹介会社にとって最も重要なのは、現状に疑問を投げかけることです。私たちは、クライアントに女性の候補者も検討するように勧めています。これにはクライアントが反発するかもしれないというリスクもありますが、正しいことだと考えています。」
 

3. 次世代のロールモデルになる

職場でのダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の推進は、現在働いている世代だけの問題ではありません。駐シンガポール・ブルネイオランダ王国大使のマルグリット・ヴォンノ氏は、次世代のリーダーを育成し、彼らがより良い、公平なリーダーになるよう促すことも重要だと考えています。

ヴォンノ氏は、子供の頃から尊敬する父親から多くの励ましを受けてきたと話します。現在、娘を持つ大人になった彼女は、父への恩返しの意味も込めてロールモデルとなることを目指しています。娘はすでに「私の夢はお母さんになって、飛行機に乗って仕事すること」と言っています。仕事をしながら良い母親になれることを娘がすでに知っていることに私は嬉しく思っています。」
 

4. D&Iの考え方に共感できる人を採用する

女性リーダーが職場で女性をサポートするのは一つの方法ですが、男性はどうでしょうか?もし、彼らがダイバーシティ&インクルージョンについて同じ考え方を持っていなかったらどうでしょう?

ブルー・バード社の社長取締役ノニ・プルノモ氏は、女性が自分で選択できる柔軟性と自信を与えること(つまり、母親になるか、フルタイムの仕事をするか、あるいはその両方をするか)に加えて、職場の平等について同じ考え方を持つ男性を採用することが重要だと考えています。「特に男性を新しく採用する際には、まず「キャリアに力を入れている妻を持つことについて、どのようにお考えですか」と尋ねます。また、彼女の収入が自分より多い場合はどうするのかについて聞くこともあります。このようなことを知ることは重要です。なぜなら、ダイバーシティ&インクルージョンを本当の意味で進めるには文化を変える必要があるからです。つまり、ダイバーシティについて企業の価値観に共感する人を採用しなければならないのです。彼らの個人的な見解が、企業の見解と一致することは非常に重要です。
 

5. 子育て支援の制度や施設の設置

日本では、母親になることとキャリアの両立が難しく、どちらかを選択すると、もう一方を妥協しなければならないと感じている女性が多くいます。政府も、働きたくても保育園に入れられないために働けない女性たちを減らすことを目標に、待機児童解消の取り組みを行っていますが、企業としても育児とキャリアを両立できるようにするための制度を積極的に取り入れることが求められています。企業がそういった姿勢を見せることで、社員の考え方も変わり、女性社員のモチベーションアップにもつながるでしょう。