DXに取り組む企業が増えていく中で、DX推進に欠かせない人材育成の必要が叫ばれています。そんな中で注目されているのが「リスキリング」です。最近では、大手運送会社がリスキリングによって大量のデジタル人材の育成を目指すといったニュースも見られました。リスキリングは、DX人材を目指す人にとっても重要なものです。そこで、ここではリスキリングの意味や、類似する概念であるアップスキリングとの違い、そして社内に導入する際のポイントについて解説します。
 

1.リスキリングとは?意味を知ろう!

リスキリング(Reskilling)とは再びスキルを身につける(re-skill)こと、すなわち職業能力の再開発・再教育という意味です。働く人にとって職業能力を向上させるというと、今従事している仕事に関する知識や能力を高めること、というイメージがあるかもしれません。しかし、仕事のデジタル化やAIの活用が進む中、職場環境も大きな変化を余儀なくされており、単に今持っているスキルを発展させるだけでは追い付くことができません。こうした時代の変化の中で、企業がスキルを既に持った人材を新たに採用することでニーズを補うのではなく、既存社員のスキルを磨き直すことでニーズを賄おうとするのがリスキリングの概念です。

類似した言葉に「リカレント教育」がありますが、こちらは働く中で勉強の必要や欲求を感じたら一旦仕事をやめて学び、知識を身につけて再び職に就く、というものです。すなわち「働く」と「学ぶ」を交互に行うサイクルを繰り返していくわけですが、リスキリングはこうしたいわゆる「学び直し」とは異なります。単に個人の関心や興味で学ぶのではなく、あくまで職業上新たな価値を創出するためにスキルを身につけるのがリスキリングの目的です。

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2.リスキリングが必要なのはどうして?

仕事のデジタル化や自動化の進展により省力化が進むと、その変化に対応できない人は職を失い、一方DXを推進するような高度な知識と技術を持った人材は不足する、といういわば仕事と人材のミスマッチともいえる状況が起こります。人材不足なのに失職者が出る、というのはおかしな状況ですし、人材不足によってDX推進が進まず企業の生き残りも図れないという事態も起こり得ます。リスキリングが注目されるようになったのには、こうした背景があるのです。

既存の社員に対しリスキリングを行うことによって、社員は新たなデジタルスキルを得て仕事を続けることができるようになりますし、会社としても人材不足が解消されてDXを推進できるようになります。つまり、リスキリングは、企業と社員双方の生き残り策ともいえます。中途採用を行うという方法もありますが、求める人材が全体に不足していることと、社内の業務を理解している人がDXを担当することには大きなメリットがあり、既存社員へのリスキリングが人材戦略として注目されているのです。
 

3.似たワードの「アップスキリング」とはどう違う?

リスキリングと似た言葉に「アップスキリング」というものがあります。これは文字通りスキルをアップするということです。ITの進化が急速に進む中、職場で必要なスキルもスピーディーなレベルアップが求められています。ITの進化は速まって行く一方ですから、せっかく身につけたスキルも役に立つ期間はどんどん短くなっています。新しい技術が登場すれば、それを身につけなくては仕事にならないということもあり、アップスキリングの重要性は増す一方です。

このように同じ職種の中で新たな技術を取り入れスキルを高めていくアップスキリングに対し、リスキリングは別の職種で必要なスキルを身につけていくものです。例えば、マーケティング担当者がAIの活用を学んで仕事に必要なデータ分析に活かせるようになるのは、同じ職種内でのスキルアップなのでアップスキリングですが、この担当者がもしプログラミングを学んでITエンジニアになるとしたら、それはリスキリングということになります。DXの場合は、このリスキリングとアップスキリングの両方が必要です。
 

4.リスキリングを導入するポイント!

では、実際に社内でリスキリングを導入する際にはどのような点に注意したらよいのか、そのポイントを解説します。

4-1.社員の理解を深めてモチベーションを高める

リスキリングはこれまでの業務とは違ったことを学ぶので、社員の中には抵抗を感じる人もいるかもしれません。特にベテラン社員の場合、これまでに身につけた職能や取り組んできた仕事、古いやり方などに固執したり、デジタル化の進展に拒絶感を持ったりして頑なに抵抗する人も少なくないでしょう。企業には幅広い年齢層の社員がおり、その考え方も様々ですからこうした人が一定数いるのは仕方のないことです。

とはいえ、そこで諦めるわけにはいきません。企業としてリスキリングを進めるのであれば、こうした人たちにもリスキリングの意味や重要性を理解してもらい、積極的に取り組んでもらうことが必要です。その際、リスキリングによって得られるメリットを強調するのが得策です。リスキリングを行うことで価値を生み出し続ける人材になれること、それにより仕事のやり方が新しく変わっても活躍し続ける可能性が開けることを知らせ、モチベーションを高めると良いでしょう。

4-2.必要なスキルや従業員の持つスキルを可視化する

リスキリングを行うに当たっては、従業員一人一人が現在有しているスキルと、これから必要になるスキルを可視化することが重要です。従業員にはそれぞれこれまでどんな仕事をやってきたか、どんなスキルを持っているかについて詳しい情報を提供してもらいます。こうすることで、今持っているスキルとこれから必要になるスキルのギャップが明らかになります。

日本企業の場合、特にこのスキルの可視化という作業は重要です。なぜなら日本企業には、自由な人事異動を行うために各ポジションに必要なスキルをあえて明示しないという文化があるからです。リスキリングに取り組むのであればそうした過去のやり方は捨て、社内にどんなスキルを持った人がいて、どの職種にはどんなスキルが必要なのかといったことを可視化したスキルマップやスキルデータベースを作成していく必要があります。

4-3.リスキリングプログラムを提供する

これから必要になる仕事と、それを行うために必要なスキルが明確になったら、そのスキルを身につけるためのリスキリングプログラムを提供します。これにより効果的な学習が可能となり、このことは企業にとっても従業員にとっても大きなメリットとなります。

リスキリングプログラムを社内で開発しようと考える企業も多いかもしれませんが、外部のコンテンツやプラットフォームを利用した方が費用も安く効率的です。クラウドサービスやビジネスアプリの提供元企業にはそれらの学習コンテンツがありますし、Eラーニングのプロバイダーではデジタルスキルを身につけるための汎用的な学習プログラムを提供しています。ITの急速な進歩に追いつくためには、こうしたプログラムを利用して効率よくリスキリングを進めていくのが得策です。

4-4.スキルを現場で活用する

リスキリングプログラムでスキルを身につけたら、それを現場で実践してみましょう。DXの推進等で新たに生まれる仕事をするために学んだスキルですから、仕事で実践してこそ真の実力になります。中には先にスキルを身につけてもらったものの、仕事の切り替えが追い付かずすぐに実践できないという場合もあるかもしれません。しかし、そもそも新しい仕事に対応するためにスキルを習得したのです。むしろ現場の仕事をどんどん新しいものに切り替え、新たなスキルを活用できる環境を整えていくことが重要です。

初めから本格的な実践という形ではなく、トライアルのような形でも構いません。リスキリングとDX推進はそれぞれの担当部署が連携して、同時進行で進めていくのが理想的です。
 

リスキリングを実施してDX時代に対応しよう!

DXを進めたいが社内に適切な人材がいない、というのであればリスキリングを実施しましょう。従業員はデジタル人材となって新たな活躍の可能性を見出し、企業はデジタル人材不足を解消して新時代に成長を続けていくことができます。リスキリングは、DX時代に対応するため企業と社員がともに成長していく一つの手段ともいえるでしょう。
 

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