企業に必須なキャリア開発!メリットや導入の具体的な方法を解説

「人材トレンド2023」レポート(以下、レポートという)によると、多くの従業員がキャリアアップに意欲的な姿勢を見せていますが、企業は対応が遅れているというデータが確認できます。これでは、やる気のある人材が転職を検討するのもやむを得ません。
優秀な人材の獲得や定着を目指すなら、キャリア開発は必要不可欠です。本記事では、キャリア開発の概要やメリット、導入のための具体的な方法などについて解説していきます。

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1.そもそもキャリア開発とはなにか

キャリアというのは、ビジネスの世界において経歴や職歴、実績などの意味として使われています。キャリア開発は企業が従業員それぞれに対し、スキルや能力を伸ばすために中長期的な計画を立案、検討、実施することです。キャリアパスやキャリアアップという用語と混同されがちですが、この三者はいずれも意味合いが若干異なっています。

まず、キャリアアップは従業員が自分でスキルや経験を積み重ね、役職に就いたり仕事の質を向上させたりすることです。一方、キャリアパスは従業員が目指す役職に到達するため、必要なスキルや経験を得る手順を指しています。つまり、キャリアパスとはキャリアアップの道筋と言えるでしょう。そして、キャリア開発というのは、従業員が目指すキャリアアップを達成するため、それをフォローする企業側の施策を指しています。要は、従業員がキャリアアップを目指し、企業はそれを実現するためのキャリアパスを検討し、具体的な方策を立ててサポートするという流れになります。

2.キャリア開発の重要度が高まっている理由

なぜ今、キャリア開発の重要度が高まっているのでしょうか。
その要因はいくつかありますが、ひとつには終身雇用制度や年功序列制度が衰退したことが挙げられます。国内企業では、一昔前にはずっと同じ会社で定年まで働き、徐々に昇進を目指すという働き方が一般的でした。しかし、国内の大手企業の業績が安定していた当時とは異なり、現代はグローバル化によって企業競争が活発になり、大手企業でも倒産のリスクがゼロではなくなっています。同じ職場で長く働いて昇進を目指すという考えが通用しづらくなったことで、従業員の中で転職に有利なキャリアアップを目指すという意識が高まっています。
実際、レポートでは、10人に8人は過去1年以内に新しい仕事に就き、3人に1人が転職活動中であるなど、同じ企業で長く働くという意識は時代遅れになりつつあり、むしろ転職を繰り返す「ジョブホッピング」が増加傾向です。

さらに、IT技術が発達したことで、従業員に求められるスキルが多様化していることも影響しています。これまでは、多くの従業員に画一的な教育を施していましたが、今後は幅広い分野において専門的な知識を持つ人材が求められるため、企業は従業員の希望を考慮しつつ、AIや自動化技術に対応できるような個別の能力開発をしなければなりません。そのためには、企業による積極的なキャリア開発が必要です。
 

3.企業がキャリア開発に取り組むことで期待できるメリット

キャリア開発は、従業員のキャリアアップに役立つだけでなく、企業にとっても多くのメリットがある施策です。以下に、企業がキャリア開発に取り組んだときにどのようなメリットが期待できるのかについて解説していきます。

3-1.社員のモチベーション向上

社員のモチベーション向上は、企業の生産性を高めるための重要なファクターの一つです。レポート43ページでは、10人に5人がキャリアアップによってモチベーションを得ているという結果が出ています。モチベーションを高め続けていくためには通常の昇進サイクルでは時間がかかりすぎる、と感じた結果、ジョブホッピングが増加しているのです。これは、現職の勤続年数が2年以下と答えた人が全体の34%となっていることからも明らかです。

しかし、キャリア開発に積極的に取り組むことで、こうした企業にとってのマイナスの動きを抑制できます。キャリア開発は、従業員一人ひとりにヒアリングを行い、話し合った内容を基にして進められます。従業員の立場からすれば、悩みや不安を打ち明ける機会が増えるので精神的に安定します。そして、企業が自分の成長のために投資していることも伝わり、忠誠心や企業に対する愛着が向上することから、モチベーションの向上にもつながるでしょう。その結果、仕事に対する意欲や取り組み方が変化し、組織全体の活性化に繋がります。

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3-2.優秀な人材の獲得と定着

キャリアアップを目指す人材が増加している以上、キャリア開発に力を入れている企業の評判は、必然的に高くなります。年数をかけてキャリアを重ねる企業頼りの人材ではなく、企業のキャリア開発を活用して自力で成長を目指す、意欲的な人材が興味を示すでしょう。特に、新たなキャリア構築を目指して転職活動をしている求職者には、強力なアピールポイントとなり得ます

そして前述したとおり、キャリア開発は中長期的な成長計画を支援するものです。何も対応をしない企業には長く在籍するつもりがなくても、キャリア開発が整っている企業ならば、従業員にとって長く働くことのメリットが見いだせるでしょう。その結果、優秀で経験豊富な既存の従業員の定着率向上も期待できます。
レポートの44ページを見ても、自分の専門能力の開発に投資してくれる企業で働きたいと希望する求職者が14%に上っており、企業は人材開発能力の明確な定義を行い、できれば公表する必要があると述べられています。

3-3.適材適所の人員配置

キャリア開発では、単に従業員のキャリアアップをサポートするだけでなく、ヒアリングを通して従業員個別の強みや希望、潜在的な能力を発見することも多々あります。従業員自身も気づいていなかった適性を見つけることも多く、例えば営業では成績が低迷していた従業員が、IT分野のスキルを身につけたところ、集中力の高さや柔軟な思考で力を発揮できたというケースも見られます。
短期間で適切な人員配置を行うことは困難ですが、キャリア開発により、それぞれの従業員の思考や適性から中長期的な視点で人員配置を行うことができるでしょう。従業員の潜在的な能力を引き出す配置ができれば、従業員は成功体験を通してモチベーションや忠誠心が向上しますし、将来的には企業の成長も期待できます。

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4.キャリア開発を導入するための具体的な方法

  • キャリアデザイン研修を行う
  • キャリアパスを提示する
  • 適切な人事異動を行えるように制度を整備する

では、どのようにキャリア開発を導入すれば良いのでしょうか。従業員の中には、目先の仕事で手一杯になり、将来のキャリアに意識が及ばない人も少なくありません。そこで、まずは現状のスキルや知識、得意分野を整理して、具体的なキャリアイメージを描くキャリアデザイン研修を行いましょう。加えて、状況に応じて面談や面接で悩みを解決するアプローチも行い、自分自身が目指すキャリアをイメージできるようにしていきます。

次に、従業員の選択肢を増やすキャリアパスの提示も行いましょう。多くの従業員は、自分が担当したことがある仕事を中心にキャリアを考えがちです。しかし、企業内には多くの種類の仕事があり、同じ部署に在籍していては習得しえない知識や経験も様々。考えられるキャリアパスを広く提案し、従業員の選択肢を増やしていくことが大切です。

そして、従業員のキャリアプランが固まったら、適切な人事異動を行えるように制度を整備しておかなければなりません。例えば、異動を希望する部署に従業員自らがスキルや経験をアピールする「社内FA制度」、定期的な部署異動や担当業務の変更を行う「ジョブローテーション」などが該当します。
 

5.キャリア開発でありがちな失敗事例と対策

  • 企業主体ではなく、従業員主体で進める
  • 専門家によるキャリア相談窓口の開設やメンター制度の整備も検討する
  • 自社の魅力や目標達成への道筋を明確に伝える

キャリア開発は企業にとっても手探りで進めるケースが多く、失敗するケースも見られます。例えば、従業員が自発的に取り組みたいと考えるようなキャリアパスではなく、企業目線でキャリア開発を進めた結果、研修を重ねてもやる気が起きずに成長につながらないという失敗です。キャリア開発を進めるときは、あくまでも従業員主体で進めるという認識を忘れずにいましょう。

一方で、企業のフォロー不足で従業員が確たる将来像を描けず、自発的に動けない失敗も見られます。この場合の対策としては、キャリアコンサルタントの国家資格を持つ専門家によるキャリア相談窓口の開設や、上司以外の話しやすい先輩社員が相談にのるメンター制度の整備などが効果的でしょう。

他にも、キャリアプランの見直しを促した結果、自分が希望するキャリアや目標は転職しなければ実現できないと判断されることがあります。目標によっては企業が対応できないこともあるため、一定数の転職は仕方がないと言えますが、企業側が自社の魅力や目標達成への道筋を伝えきれていない可能性も捨てきれません。従業員との信頼関係を築いたり、仕事の価値や魅力について今一度見直し、社員に十分に伝えたりするように心がけましょう。

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従業員中心のキャリア開発で企業の成長を実現しよう

長く同じ会社に勤めることが美徳とされていた時代とは異なり、現代にはグローバル化やIT化の波が押し寄せており、何が起きるのかが予測できない状況です。そのため、キャリアアップを目指す従業員が増え、企業の柔軟な対応が迫られています。自社の希望を押し付けるのではなく、従業員の希望に沿ったキャリア開発を行うと、モチベーションアップや生産性の向上につながり、結果的に企業も大きなメリットが得られるでしょう。
 

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