オフィスで会話する二人。

企業にとって社員の成長はとても大切なことですが、そのための手段として「1on1」と呼ばれるミーティングを取り入れる企業が増えてきています。日本では大手企業のヤフーが導入したことにより注目を集めました。そこで今回は1on1ミーティングの目的、メリットや注意点について解説し、さらに1on1ミーティングの効率的な進め方や目的別の質問例にも触れていきます。

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1.1on1ミーティングはなんのために実施するのか?

  • 部下の成長を支援・促進するため
  • 部下の率直な話を引き出すことが大切
  • 部下の仕事に対する意欲を認め、企業に対する定着率を上げる

1on1とは、上司と部下が1対1で行う面談のことをいいます。所要時間は15分~30分くらいで、定期的に行うのが望ましいです。

上司と部下の面談というと、人事面談を想起する人も多いでしょう。ですが1on1ミーティングは、それとは目的が異なります。人事面談の目的は社員の評価ですが、1on1ミーティングの主な目的はあくまで部下の成長を支援・促進することにあるのです。人事面談となるとお互いに緊張し、構えてしまって上司が一方的に話す形になりがちですが、1on1ミーティングでは部下の率直な話を引き出すことが大切になります。従って、比較的フランクな雰囲気の中で上司も胸襟を開いて話し合うことが重要です。

また、部下の仕事に対する意欲を高め、企業に対する定着率を上げていくというのも1on1ミーティングの大事な目的です。1on1ミーティングでは失敗経験も含め部下が上司に率直な話をすることができ、それに対し上司から適切なアドバイスを受けることもあります。それを通じて部下は様々な気付きを得て成長し、パフォーマンスを向上させていくわけです。そうなると仕事がおもしろくなり、周囲との関係も良好になってこの職場で長く働こうという意欲が生まれます。

いずれ部下が昇進して上司となったときには、自身の部下に対して同じように1on1ミーティングを通して成長を後押しすることができ、その結果企業の持続的な成長にもつながっていくでしょう。
 

2.1on1ミーティングで期待できるメリットと注意点

1on1ミーティングには、社内のコミュニケーションを円滑にできるというメリットがあります。しかし、ただ話をするだけではあまり大きな効果は見込めません。ここでは1on1ミーティングで期待できるメリットや、効果的に行うための注意点について解説していきます。

2-1.メリット

  • 社内のコミュニケーションを円滑にできる
  • 上司と部下の関係性が改善できる
  • 上司のマネジメントスキルが磨かれる
  • 部下の悩みが解決することで業務の改善に繋がる
  • 人事評価にも役立つ

1on1ミーティングのメリットは、気軽な話し合いの場を設けることで、社内のコミュニケーションを円滑にできる点にあります。部下にとって上司というのは頼れる存在であるとともに、ときに煙たい存在でもあります。そんなことから、上司に対し苦手意識を持っている部下も少なくないでしょう。ただそれは、じっくり話し合う機会がなかったために生じた誤解であるかもしれません。1対1で話し合う場を定期的に設けることでそうした誤解が解け、関係性が改善できるケースは少なくありません。

また、1on1ミーティングは業務のフィードバックの場でもあります。短いスパンで行えば、上司は部下の悩みをタイムリーにキャッチできるため、マネジメントスキルが磨かれるでしょう。部下にとっては、こまめに進捗状況を報告することで悩みや問題を溜め込むことがなくなり、業務の改善に繋がります。

1on1ミーティングで定期的に部下の仕事ぶりを確認することは、適切な人事評価にも役立ちます。上司とのコミュニケーションが不足した状態では、部下は「上司は自分の仕事を見てくれない、きちんと評価してくれない」という不満を抱きがちですが、1on1を定期的に行っていればそうした不満もなく、人事評価にも納得できるでしょう。

2-2.注意点

  • 実施目的を明確に持ち、1on1を行うことが重要
  • 一方的な会話にならないように注意しなくてはならない
  • 週に1回、30分程度等、一度きりではなく、定期的に行うことに意味がある

1on1ミーティングは、ただ話をするだけの場ではありません。目的はあくまで「部下の成長のため」であることを明確にして臨むべきです。こうした目的意識がないと、単なる時間の浪費にもなりかねません。そうすると部下には必要性が感じられず、目的のない単なるお話し会には参加したくない、忙しいのに時間の無駄だと思われてしまいます。1on1は部下にとっても有意義なものだと感じられるようなものにすることが大切です。

また、こうした1対1の話し合いに慣れていない上司の場合、つい一方的に話してしまうケースもあるようです。1on1では上司と部下が対等の立場で話ができないと意味がありません。部下が話しやすい雰囲気を作って自分の考えを率直に伝えられるようにし、上司はそれに対して一緒に考える、というスタンスが必要です。

さらに1on1ミーティングは1回限りではなく、定期的に行ってこそ意味があるもの、というのも覚えておきたいところです。頻度は週に1回、30分程度が良いでしょう。あるいは隔週にして時間を1時間取ることでじっくり話し合う、という方法もあります。
 

3.1on1ミーティングの効率的な進め方

  • 実施目的を明確にしておく
  • アジェンダを用意してあらかじめ話し合いの方向性を決めておく
  • 日時や場所など、上司の都合だけで決めずに部下の都合も必ず聞く
  • 内容を振り返れるように面談記録を残す

1on1ミーティングを効率的に進めるためには、まず実施目的を明確にしておくことが大切です。最初のうちはアジェンダを用意してあらかじめ話し合いの方向性を決めておくようにすると、スムーズに運ぶでしょう。

実施する日時は、上司の都合だけで決めずに部下の都合も必ず聞いておきましょう。お互いのスケジュールをすり合わせるのも、信頼関係を築くうえで大切なことです。場所に関しても上司と部下で話し合って決めるのがおすすめです。必ずしも会議室にこだわる必要はなく、話題の内容によっては飲食店や公園のベンチで行うのも雰囲気が変わって良いかもしれません。

なお、1on1ミーティングは継続的に行って成長の度合を確かめることが必要です。後で内容を振り返れるよう、面談記録を残しておきましょう。メモや文書ソフトに残しておくのも良いですが、一元管理できるクラウドツールを使えば過去の記録を容易に検索できるので便利です。
 

4.1on1ミーティングの目的に合わせた質問例

1on1ミーティングでは、目的に合わせて質問の仕方を変える必要があります。目的として代表的なものにコミュニケーションを増やしたい、仕事の悩みを解決してあげたい、キャリアパスについてフォローしたいといったものがありますが、それぞれどういった質問をするのが効果的なのでしょうか。具体的な質問例を見ていきましょう。

4-1.部下とのコミュニケーションを増やしたい場合

上司と部下の意思疎通は業務をスムーズに行うために大切なものですが、日頃のコミュニケーションが足りないとお互い何を考えているのかわからず、大事な場面でうまくコミュニケーションが取れずに悩んでしまうケースも多く見受けられるものです。こうした場合はまず一旦業務から離れ、プライベートな雑談をしてみるのがおすすめです。

質問の例としては「週末何をしていたか?」「趣味として取り組んでいることは?」「最近食べて美味しいと思ったものは?」といったものがあります。自分から話すのが苦手そうな部下であれば、まず上司の方から自分の話をしてみるのも良いでしょう。

4-2.仕事の悩みを解決してあげたい場合

仕事の悩みがあってもそれが緊急性の低いものであれば、上司には相談しにくいと思う部下も少なくありません。そういう悩みこそ、1on1で聞くべき内容です。たとえ急ぎではなくても、仕事をするうえで大事なことは多くあります。それをうまく引き出すのです。

質問の例としては「今チャンレンジしたいことはあるか?」「働き方についてなにか悩みはあるか?」「上司に対する要望はあるか?」などがあります。いきなりアドバイスをするのではなく、まず部下自身に考えさせるようにするのがポイントです。

4-3.今後のキャリアパスについてフォローしたい場合

自分の将来的なキャリアについて不安を抱いている社員は多いものです。もし「今の会社では希望するキャリアパスが叶わない」と判断されれば、退職を考えるようになるかもしれません。そうなる前に1on1ミーティングの中で、できれば3カ月に1度ぐらいはキャリアについての話をしておきたいところです。

「今の業務で最もやりがいを感じていることは?」「自分自身の強みはなんだと思うか?」「今後どのような業務を希望するか?」といった質問をしてみると良いでしょう。目の前の業務についてだけではなく、中長期の視点でヒアリングをするのがポイントです。
 

1on1ミーティングの正しいやり方を習得し効率的な面談を

1on1ミーティングはまず目的をしっかり設定し、部下にとって話しやすい環境で行うことが大切です。そうすれば様々なメリットが期待できるでしょう。部下の成長を促すのはもちろんですが、上司にとってもマネジメントスキルを向上させる絶好の機会となります。正しい1on1ミーティングのやり方をマスターして、ぜひ上司と部下が効率よく面談できる会社を目指しましょう。

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