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企業が採用を行うときに、ぜひ知っておきたいことの一つに「障がい者雇用」があります。すでに取り組んでいる企業も少なくありませんが、これからというところではどのように取り組んでいけば良いのかわからず、何かと不安があるかもしれません。そこで、ここでは障がい者雇用の現状や政府の取り組み、そして企業ができることなどについて解説します。
障がいには、大きく分けて身体障がい・知的障がい・精神障がいの3種類があります。それぞれについて解説します。
身体障がいは、視覚障がいや聴覚・言語障がい、あるいは肢体不自由など身体機能の障がいを指し、先天的か後天的かは問いません。身体障害者福祉法ではその範囲を明確に定めており、さらに障がいの重さによって7つの等級に分けています。法的に身体障がい者と認められるのは、都道府県知事から身体障害者手帳を交付されている18歳以上の人です。
知的障がいは、発達期である18歳までに知的機能の遅れが生じており、社会生活などへの適応が困難な状態を言います。IQ(知能指数)を基準に判断されており、IQ70未満が一つの目安です。知的障がいであってもIQ50~69の軽度の場合は日常生活にはほぼ問題がなく、高度な思考は苦手でも周囲のサポートを得て仕事に従事することは可能であると言われています。
精神障がいは、精神疾患のために意識や感情、行動などに障がいが出るもので、統合失調症や気分障がい、てんかんやパニック障がいといったものから自閉症やADHDなどの発達障がいまでを含む広範なものです。障害者雇用促進法では精神障害者福祉手帳を交付されている人、医師の診断がある人を雇用の対象と定めています。
障がい者雇用を定めた最初の法律は1960年に制定された身体障害者雇用促進法で、1976年には身体障がい者の雇用が事業主に対して義務付けられました。1987年には障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)に変わって知的障がい者も適用対象となり、2006年には精神障がい者も対象になっています。
厚生労働省が2017年に発表したデータによると、民間企業における2016年の障がい者雇用数は47.4万人(身体障がい者32.8万人、知的障がい者10.5万人、精神障がい者4.2万人)となっており、実雇用率が1.92%、法定雇用率を達成している企業は48.8%に及んでいます。特に2004年以降の13年間は連続して過去最高を更新し続けており、障がい者雇用率は増加の一途をたどっている状況です。
ハローワークでの障がい者の職業紹介状況(就職件数)も2009年から2019年の10年間で約2.3倍に増加しており、中でも精神障がい者の職業紹介数は約4.5倍と大きく伸びています。2013年に障害者雇用促進法が改正されて企業に対する障がい者雇用の促進が強化されたこと、また障がい者雇用に対する社会的な認知の広がりなどがその背景となっています。
政府は障がい者雇用にどのように取り組んでいるのでしょうか。ここでは、2つの制度について解説します。
障がい者雇用促進法では、法定雇用率を設けています。これは43.5人以上の従業員を抱える企業に対し、一定割合以上の障がい者を雇用することを義務付けるものです。法定雇用率は障がい者雇用が義務化された1976年には1.5%とされていましたが、その後段階的に引き上げられてきており、2021年3月の段階で民間企業では2.3%となっています。例えば、従業員43.5人の会社ならば1人以上の障がい者を雇用しなくてはならない、ということです。
法定雇用率を達成していない企業に対しては、ハローワークからの指導が入ります。その内容は雇用状況の報告と翌年1月から2年間の雇い入れ計画の作成、および計画の実施報告です。計画が進んでいない場合は1年目の12月に勧告が入り、2年経っても改善が見られない場合は9カ月間の特別指導を経て企業名が公表されます。
常用労働者が100人を超えている企業が法定雇用率を達成していない場合、不足人数1人につき50,000円の障がい者雇用納付金が徴収されます。徴収された納付金は、障がい者雇用調整金・報奨金の財源となります。
障がい者雇用調整金・報奨金は法定雇用率を達成している企業に支給されるものです。調整金は常用労働者が100人を超えている企業、報奨金は100人以下の企業が対象です。法定雇用率を超えて障がい者を雇用している場合、1人超過するごとに調整金は27,000円、報奨金は21,000円が支給されます。
障がい者雇用納付金は障がい者を雇用しない企業に対する罰金のように見える人もいるかもしれませんが、そうではありません。障がい者を雇用するためには経済的な負担が必要になることを考慮し、雇用していない企業との間での負担の差を調整するためのものです。また、罰金ではありませんから、納付したからといって障がい者雇用の義務がなくなることはありません。
障がい者雇用を行うと、企業側もさまざまなメリットを享受できます。まず、障がい者を雇用することで行政からの各種の助成や支援が利用できることが挙げられるでしょう。労働力の確保に加えて支援が受けられれば、経営の大きな助けとなるのではないでしょうか。次に、SDGsに貢献できることも企業が受けられるメリットの一つです。障がい者雇用は、人や国の不平等をなくす、働きがいと経済成長を両立するといったSDGsの目標達成に貢献できる活動です。業務効率の向上が期待できるというメリットもまた挙げられます。障がい者が働きやすい環境を整える合理的配慮を通して、従来の業務フローを見直すことになり、結果的に業務の効率化につながるということです。
障がい者雇用を行った企業が受けられる助成金としては、「トライアル雇用助成金」「キャリアアップ助成金」「特定求職者雇用開発助成金」などが挙げられます。トライアル雇用助成金は、職業紹介事業者やハローワークから紹介された障がい者について、一定期間雇用した場合に企業が受けられる助成金です。「障がい者トライアルコース」と「障がい者短時間トライアルコース」の2種類が選択でき、企業の希望に応じた雇い方ができます。障がい者雇用に不安を感じている場合は、トライアル雇用助成金から始めてみるとよいでしょう。キャリアアップ助成金には「障がい者正社員コース」があり、条件を満たせば年間33万~120万円の助成金が受けられます。特定求職者雇用開発助成金は、何らかの事情で就職が難しい求職者を雇用した企業に対して支給される助成金です。トライアル雇用助成金との併用が可能で、障がい者の状況や労働時間、企業規模などに応じて30万~240万円の助成金が支給されます。
障がい者雇用を検討している企業は、障がい者が働くときに抱えやすい問題を把握したうえで、事前に対策を講じておくとよいでしょう。起きやすいトラブルとして、上司や同僚とのコミュニケーションがうまく取れないことが挙げられます。発達障害の人は、相手の気持ちを汲み取ったり、暗黙の了解を察したりするのが苦手な場合があります。一般常識から外れた言動によってコミュニケーション上のトラブルに発展するケースがあるため、企業側は障がい者の立場に立って対応を考えなくてはなりません。仕事を続けるうちに症状が悪化することも障がい者が抱えやすい問題の一つです。精神障害を抱えている人の場合、就職当初は問題なく仕事をこなせていたのに、時間が経つにつれて状態が不安定になっていくことがあります。また、うまく仕事を進められないこと自体が問題になるケースも起こり得ます。複数のタスクを並行してこなすのが難しく、周りにも相談できずにいる可能性があるため、わかりやすい仕組みを構築しておくことが重要です。
障がい者を雇用するに当たっては、障がい者が働きやすい環境づくりが欠かせません。そのために企業ができることをご紹介します。
障がい者雇用を進めるためには、障がい者を受け入れる現場の理解が必要です。従業員の中には障がい者雇用とはどういうことか、よく理解していない人もいるでしょう。身近に障がい者がいないため、どのように接したら良いかわからないという人もいるかもしれません。そこで、まず理解を促すために障がい者雇用に関する研修を行うことが重要です。研修を通じて障がい者雇用とはどういった目的でなされるものなのか、また障がいにはどんな種類があり、どのような症状が起こるのかについての知識を従業員に提供します。
また、障がい者雇用を推進するためには強力なリーダーシップも必要です。まず、トップをはじめとする経営陣が障がい者雇用に対する理解を深め、率先して前向きに取り組んでいくことで職場の理解も深まり、受け入れ体制を整えることにつながるでしょう。
障がい者を受け入れるに当たっては、ハード面の整備も必要です。例えば、車椅子ユーザーを雇用するのであればスロープや車椅子用トイレを設置する、不自由ながらも歩行ができる人であれば段差をなくし、ケーブルを床下に隠して歩きやすい環境を整えるなど、社内のバリアフリー化に取り組む必要があります。視覚障がい者には拡大読書機や点字ディスプレイ、読み上げソフトなどがあれば作業の助けとなるでしょう。
知的障がいや発達障がいのある人には、業務に取り組みやすいようマニュアルや手順書を準備します。精神障がいのある人なら、適宜休憩が取れるスペースやカウンセリングルームがあると良いかもしれません。このように、障がいの種類によっても必要なものは違ってきますので、本人に対してヒアリングを行い、どのような支援が必要か聞き出すことも大切です。関連記事:ユニバーサルデザインで働きやすい職場へ!7原則と導入例
障がい者を現場のスタッフとしてどのような職務に割り当てるのが適正かもよく考えましょう。先にも述べたように障がいにも様々な種類がありますし、本人の適性もありますので任せられる仕事はある程度決まってきます。どの仕事を任せるか決めるためには、まず社内で行う業務を洗い出し、細かいプロセスに分けてみると良いでしょう。例えば、事務作業なら伝票整理やデータ入力、資料作成等細かく分けることが可能です。事務とひとくくりにするよりも、このように細かく分けた方が任せられる仕事を見つけやすくなります。
このようにして任せた業務があまり向いていないようなら、他の仕事を割り当ててみましょう。適任でないと思われた業務も、勤務時間や仕事量を調整すれば可能になることもあります。どんな業務が向いているかは事前にトライアル雇用をして見極める、というのも一つの方法です。
企業は障がい者を雇用した後でもいくつかの支援制度を利用できるので、うまく活用していくとよいでしょう。そうした障害者雇用の支援制度の一つが「障害者雇用支援人材ネットワーク事業」です。この制度を利用すると、障がい者への合理的配慮や企業内教育などに関して、障害者雇用管理サポーターが障害特性を考慮しながらアドバイスしてくれます。ネットワークシステムから条件に合うサポーターを探し、支援を依頼する仕組みです。「ジョブコーチ」もまた企業および障害者に助言をしてくれる制度で、「配置型」「訪問型」「企業在籍型」といった種類があります。就労当初は集中的に支援を行い、徐々に支援の頻度を減らしていくのが一般的な流れです。
障がい者雇用についての相談先には「障がい者就業・生活支援センター」「地域障がい者職業センター」「ハローワーク」などがあります。障がい者就業・生活支援センターは障がい者の生活や仕事に関して包括的に支援を行う機関です。全国に336拠点を構えており、企業からの障がい者雇用に関する相談も受け付けています。地域障がい者職業センターは、障がい者に対して職業指導や職場適応援助などを行っている機関です。全国の都道府県に設置されており、企業は障がい者の雇い入れや業務指導方法などについての助言を受けられます。ハローワークは障がい者の求人紹介などを行っている機関です。助成金の申請や障がい者雇用に関する相談などもできるので、気軽に利用してみるとよいでしょう。
障がい者雇用を検討しているときは企業事例が参考になります。あるIT企業ではハローワークの紹介で障がい者を雇用し、ジョブコーチ支援やトライアル雇用といった制度を活用しながら受け入れを進めていきました。入社から3カ月の間は定期面談を通して、業務が円滑に進んでいるか、職場でのコミュニケーションは取れているかといったことを確認しつつ、支援機関のサポートを受けながら細やかに職場への定着を図っていきました。化学製品の製造を行っている企業では、精神障がい者を3人雇っています。1人目を雇用したときは、まず1日限定の職場体験を行い、3カ月のトライアル雇用を経て正式に雇い入れました。この企業でも支援機関に頼り、職場での接し方や問題が発生したときの対処法などについて助言を受けています。その他、従業員数約300人のあるスーパーマーケットでは16人の障がい者を雇用しています。各店舗や本部において障がい者がどのような業務を担当できるのか検討し、安定的に活躍してもらえる体制を構築しています。
少子高齢化が急速に進む日本では、労働力の確保が難しくなってきています。障がい者雇用は、障がい者本人が能力を発揮して社会で活躍するというだけでなく、企業にとっても労働力確保につながります。環境整備や業務の見直し、従業員の理解促進といった準備を万全に行えば、障がい者を戦力として迎え入れることは可能です。障がい者雇用は企業と障がい者双方にとって有益なものと言えるでしょう。ダイバーシティ&インクルージョンについてもっと読む:
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