シングルマザー・ひとり親の雇用の現状!必要な支援や制度とは?

子どもをひとりで育てている、ひとり親の人々は就職や転職で悩むことがあります。今は働く人を1人でも多くしていくことが大事になってくる時代です。実際に悩みや問題を解決していくために、ひとり親にはどんな「悩みや問題」があるのか、そして企業や事業主に「求められている支援」と、支援に取り組んだときに「役立つ制度」を解説します。
 

1.シングルマザー・ひとり親の就職・転職の難しさと必要な支援とは

「ひとり親の就職・転職の難しさ」とはなんでしょうか。それは「夜遅くまで働けない」「やむを得ない急な欠勤や早退」といった働き方になったとき「就職できない・転職先がない」から「働く先が限られる」ということ。実際に、シングルマザーで就職活動したときに「保育園の迎えのため残業はできない・体調不良になった場合は早退したい」ことを面接で伝えると絶対雇ってもらえなかった。という厳しい状況に直面した方もいます。限られた選択のなかで働いた場合、充分なお金が得られず逼迫した生活になる人も少なくはありません。

この問題を解決するために、国と地方団体はひとり親への就職における支援を企業や事業主に要請しています。そして、支援した企業や事業主には特別措置があります。それは「母子家庭の母及び父子家庭の父の就業の支援に関する特別措置法」という、ひとり親を雇用したときに助成金がでるというもの。企業や事業主がこうした特別措置を知っていくことは、ひとり親にも企業側にもそれぞれメリットがあります。今は働き方・生活が多様化していく時代です。人材の確保という未来を見据えたとき、ひとり親の就労状況を理解し、優先的に雇用するなどの支援が必要になってくるのではないでしょうか。
 

2.企業ができる取り組みは?シングルマザーに有用な制度

シングルマザーやひとり親が働くときに知っておくべき有用な制度はいくつかあります。知っているだけでも働き方が変わるかもしれません。ここでは、企業ができる支援として有用な制度を2つ紹介します。

2-1.短時間正社員制度

育児や介護などの生活と仕事を両立したい人のために、勤務する日数や時間を短くして働いてもらう制度です。フルタイム正社員と比較して1週間の労働時間は短くなります。たとえば9時~16時や10時~17時などの勤務になり余裕を持って保育園の送り迎えができるなど、生活と仕事のバランスが取りやすくなるのです。そして「時間賃率、賞与、退職金等」はフルタイム正社員と同一で算定されます。短時間になっても、賃金の計算方法などの待遇が変わることはありません。

ただ、この制度は採用時に適用されることは少ないです。多くの場合は正社員として勤務していた人が、生活の変化などで希望した場合に適用されます。

関連記事:ワークライフバランスとは?企業ができる取り組みとメリット

2-2.正社員登用制度

アルバイトやパート、契約社員などの非正規社員を正社員雇用に切り替える制度です。時間に制約があるなどの理由で正社員ではなく、時間の融通がききやすいパートで勤務しながら、将来的に時間に余裕ができた場合は正社員で働きたい!という人もいるでしょう。そうした場合、正社員登用制度のある勤務先かどうか確認しましょう。この制度がある勤務先であれば、最初はパート、そして時間に余裕ができたら正社員に転換するという働き方も視野に入れることができます。とはいえ正社員登用には企業によって登用する基準が異なるため、確認は必要です。

この制度を採用した場合、シングルマザーやひとり親は子供の成長に寄り添いながら働き方を柔軟に変えることが可能になる、そして企業側は間口を広げることにより優秀な人材を確保しやすくなる、といった双方へのメリットがあります。
 

3.シングルマザーの雇用において企業が活用できる助成金制度2つ

シングルマザー・ひとり親の積極的な雇用を促すため、雇用する企業には助成金が用意されています。企業側には役立つ助成金のことを知り、活用していくことが望まれています。ここでは、役立つ助成金を2つ紹介していきます。

3-1.特定就職困難者雇用開発助成金

一つ目は「特定就職困難者雇用開発助成金」です。どのような助成金なのか、概要、支給要件、支給額について説明します。

3-1-1.特定就職困難者雇用開発助成金の概要

シングルマザーやひとり親、高年齢の人や障害をもつ人など、それぞれの理由で就職が困難な人を減らすためにできた助成金です。対象になる人をハローワーク等の紹介で「継続」して雇用する労働者として雇い入れる事業主に対して支給されます。平成25年3月1日より、児童扶養手当受給中の父子家庭も対象になりました。

3-1-2.特定就職困難者雇用開発助成金の主な支給要件

助成金を受給するためには、課せられた要件をすべて満たすことが必要になります。その要件は大きくわけて2つ。

まず一つ目は「雇い入れる方法」です。雇い入れ時の紹介先として、ハローワーク(公共職業安定所)または、地方運輸局(船員として雇う場合)が該当します。そのほか、適正な運用を期すことのできる有料・無料職業紹介事業者等といった紹介先である場合、規定の届出等をしたときのみが該当します。

そして要件の二つ目は「雇用保険一般被保険者として雇い入れ、継続した雇用が確実であると認められる」こと。具体的には、対象者が65歳以上に達するまでの継続した雇用と、該当する雇用期間が2年以上であることをいいます。

とくに大事な要件は以上ですが、ほかにも雇用関係の助成金には共通の要件がいくつかあります。助成金を受け取る際は厚生労働省に問い合わせをしたり、「雇用関係助成金共通の要件」というパンフレットを確認しておきましょう。

3-1-3.特定就職困難者雇用開発助成金の支給額

助成金の支給額は「労働者」と「企業規模」に応じて支給額が変わります。
「短時間労働者以外」は中小企業が60万円、中小企業以外は50万円の支給。対象期間は1年で、2期にわたって半分ずつ(30万円×2期、もしくは25万円×2期)支給されます。
「短時間労働者」は、中小企業が40万円、中小企業以外は30万円の支給。こちらも対象期間は1年。支給も同じく2期にわたって半分ずつ(20万円×2期、もしくは15万円×2期)です。
※ここで指している短時間労働者とは、「1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の労働者」のことをいいます。

3-2.トライアル雇用助成金

続いては「トライアル雇用助成金」です。助成金の概要、支給要件、支給額について説明します。

3-2-1.トライアル雇用助成金の概要

ひとり親や、離職や転職を繰り返す人、55歳未満のフリーターや未就労の人等といった、対象者要件に当てはまる人を一定期間雇用した場合に支給される助成金です。主な目的は、助成金により企業や事業主へトライアル雇用を促し、仕事を求める人が就職できる機会を増やすことです。企業側は助成金により、業務が問題なく遂行できるか?という見極めのためのリスクを減らしたうえで、優秀な人材の確保のチャンスが増えることになります。

3-2-2.トライアル雇用助成金の主な支給要件

特定就職困難者雇用開発助成金と同じく、助成金を受給するためには、課せられた要件をすべて満たすことが必要です。その要件は大きくわけて以下の4つです。

1つ目は「1週間の所定労働時間が30時間を下回らないこと」通常の労働者と同程度の30時間が要件。ただ、日雇労働者・ホームレス・住所喪失不安定就労者の場合は20時間が要件になります。
2つ目は「一定期間、事業主都合で解雇をしたことがない事業主であること」事業主都合のなかには退職勧奨等も含みます。
3つ目は「雇い入れる方法」雇い入れ時の紹介先の要件は特定就職困難者雇用開発助成金と同じです。
4つ目は「原則3か月のトライアル雇用をすること」原則3か月ではありますが、事業主と対象労働者の間で合意があれば、1か月(31日以上)または2か月でも要件を満たします。

3-2-3.トライアル雇用助成金の支給額

助成金の支給額は基本的には月に4万円、最長で3か月です。ですが、対象者がひとり親の場合は月に5万円支給されます。また、若者雇用促進法に基づく認定事業主が35歳未満をトライアル雇用した場合も5万円が支給されます。
 

シングルマザーの雇用は課題も多い!助成金や制度の有効活用を

シングルマザーやひとり親は就職・転職における課題が多いことが現状です。ひとり親の人は生活に合った働き方を選択肢に増やせるよう、活かせる制度を知っていきましょう。そして企業や事業主には制度を知り、積極的に支援をすることが求められています。役立つ助成金や制度について知り、1人ひとりがそれぞれ活躍できる社会を実現していきましょう。

あわせて読みたい!女性のキャリアに関する記事

<出産・育休復帰>

【結婚・出産】女性に多いキャリアの悩み!考え方のポイントは?

育休復帰が不安!育休後の職場復帰の現状やキャリアについて解説
 

<女性管理職・女性リーダー>

女性が管理職になるメリットや求められるスキルとは

職場で女性リーダーが活躍するには?特徴や育成方法について
 

転職活動中の方は、こちらから

お問い合わせ

採用ご担当者様は、以下をご記入ください。

重要: メールアドレスおよびその他の個人情報をこのウェブサイトに送信することをもって、当該情報が弊社のプライバシーポリシーおよびウェブサイトの利用規約に従い収集、保持、使用および開示されることに同意するものとみなされます。