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人材採用の競争は年々厳しくなっています。人手不足に悩んでいる企業は多いのではないでしょうか。派遣社員なら、企業が求めるスキルを持った人材を、状況に応じて迅速に採用できるというメリットがあります。ただし効果を十分に得るには、人材派遣の仕組みについて理解することが重要です。本記事では、正社員と派遣社員の違いや、企業が派遣社員を採用するメリット、採用する際に注意すべきポイントについて解説していきます。
まずは、正社員と派遣社員の違いについて整理しましょう。正社員と派遣社員の違いは、大きく3つ挙げられます。1つめの違いは、雇用主です。正社員の雇用主は就業先の企業であるのに対し、派遣社員の雇用主は実際に働く企業ではなく、派遣会社です。派遣社員の場合、有給の管理や社会保険に関する手続きなども、派遣会社が行います。
2つめの違いは、雇用期間です。正社員は基本的に期間の定めのない無期雇用ですが、派遣社員は働ける期間が3カ月、6カ月など事前に定められている有期雇用です。契約の更新を行うことで継続して働くことができるものの、同じ職場で働ける期間は最長3年までと法律により定められています。3つめの違いは、働き方です。正社員は基本的にフルタイム勤務ですが、派遣社員は週3日勤務でお昼まで、週5日勤務で夕方までなど、希望に合わせた働き方が選べます。
このように、正社員と派遣社員は様々な点で違いがあるため、「待遇に関しても大きな差があるのでは?」と考える人も多いかもしれません。しかし、2020年4月から導入された「同一労働同一賃金」の制度により、職務内容が同じであれば、賃金および福利厚生などの待遇面で、不合理な差をつけることは禁止とされました。正社員と派遣社員で格差が発生する場合、企業は合理的な説明をする義務があります。
関連記事:派遣社員とは?正社員との違いやそれぞれのメリット・デメリットなども解説
企業が正社員ではなく派遣社員を採用するメリットには、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。その代表例として、「コストの削減」「業務の効率化」「専門性の高い人材の確保」の3点について解説していきます。
派遣社員を採用するメリットとして、コストの削減が挙げられます。企業が自社で正社員を採用しようとした場合、求人広告、書類選考、面接などの採用コストがかかります。時間と労力をかけて採用に向けて動き出しても、採用に至らないケースも少なくないでしょう。人材派遣であれば、派遣会社がリクルーティングするため、採用にかける時間や労力といったコストを削減できます。
削減できるコストはそれだけではありません。雇用保険や健康保険などの各種保険関連の手続きや、給与計算なども派遣会社が対応するため、労務コストの削減にも繋がります。また、業界、業種によっては繁忙期・閑散期があるケースも多いでしょう。繁忙期に合わせて常に一定の人数を抱えてしまうと人材過多になることが懸念されます。しかし、契約期間の決まっている人材派遣であれば、必要なときに必要な人材を確保しやすいため、コストが最適化されるというメリットがあります。
業務の効率化が進められることも、派遣社員を採用することで得られるメリットのひとつです。来客への対応や備品管理など、正社員以外が行っても問題がない業務を派遣社員に任せることで、正社員はコア業務に集中できるでしょう。適材適所の作業分担ができれば、作業の効率化が実現できます。
また、既存の業務を派遣社員に任せるには、仕事のマニュアル化が必要です。マニュアル化する過程で改めて業務の必要性を見つめ直し、業務の無駄を洗い出すことにも繋がるため、結果的に業務改善のきっかけにもなるでしょう。マニュアル化によって、その業務を担う担当者しか仕事内容が分からない、といった属人化の防止にも繋がります。派遣社員を採用することで、既存の業務のあり方を多角的に評価でき、正社員自身も自分の仕事に専念できるため生産性の向上が期待できます。
派遣社員を採用する3つめのメリットは、専門性の高い人材の確保が叶うことです。派遣会社には、業務に必要な能力や経験を持った人材が揃っています。正社員であれば自社で育て上げるための時間とコストがかかりますが、派遣社員であればそうした教育コストをかけずに、即戦力になる人材を手早く確保できるのが強みです。人事、経理、法務、エンジニア、デザイナーといった、一般的に専門性の高いスキルが求められる人材も、派遣社員であれば探しやすいでしょう。
派遣社員が優秀で継続的に勤務してもらいたい、社員として残ってもらいたいと思う場合もあるかもしれません。その場合は、派遣社員本人と派遣会社の同意があれば、正社員として採用できるケースもあります。最初から正社員として採用するのではなく、仕事ぶりを見てから判断できるのが派遣社員ならではのメリットと言えるでしょう。
派遣社員の採用には様々なメリットがあると解説しましたが、注意点もあります。一般的に多く見られるのが、派遣社員は帰属意識が希薄になりやすい点です。派遣社員は決められた期間で働くため、雇用期間が終われば新たな派遣先へと変わることが基本の勤務スタイルです。長く勤め続けることが少ないため、組織に所属している一員であるという意識が生まれにくいという背景があります。企業側はできるだけ正社員と平等に扱い、派遣社員が孤立しない環境作りを行う必要があるでしょう。
また、派遣社員は元々業務に必要なスキルを持ち合わせているとはいえ、教育コストが全くかからないわけではありません。会社ごとにルールや業務範囲が異なるのが一般的なため、仕事に慣れるための指導や説明は必須です。スキルがあるから、マニュアルがあるからと任せきりにしたり指導の手間を省いたりせず、派遣社員が不安なく業務できているかチェックすることも重要でしょう。
加えて、派遣社員に対し、契約した内容以外の仕事を依頼できないことにも留意しておく必要があります。派遣社員を採用する際には、業務で確実に行う仕事だけでなく、もしかしたら必要になるかもしれない仕事まで考慮したうえで契約を結ぶのが理想でしょう。双方承諾した上で契約を結ぶため、仕事内容以外の労働条件や派遣期間に関しても、一度契約で定めたものは企業側の意向だけでは変更できません。契約内容を変更したい場合は派遣会社と相談し、派遣社員本人の同意も得る必要があります。
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派遣社員を採用する際には、いくつか事前に決めておくべきことがあります。最初に決めておくことが、どのような条件で働いて欲しいかです。業務の内容、勤務先の事業所、派遣期日、支払う賃金などを決めておきましょう。また、派遣法によって、指揮命令者、苦情担当者などを契約書に記載することが定められているため、派遣社員への指示は誰が行うのか、問題発生時の相談窓口などもあらかじめ明確にしておきます。
契約に必要な事項が決まったら、次は実際に働くことを想定した準備を行います。派遣社員が業務で使用する入館証、IDカード、制服、各種マニュアルなどの物品もあらかじめ整理しておきましょう。業務で使用するofficeや社内SNS、クラウドツールといったITツールやアカウントの準備も必要です。
事前準備として最も重要なことと言えるのが、どの派遣会社に依頼するのかでしょう。企業が派遣会社に対して特定の労働者を指定したり、事前に面接したりといった行為を行うことは原則許されていません。したがって、良い人材が派遣されるかどうかは派遣会社次第とも言えます。これまでの実績や拠点、派遣会社の特色など、様々な観点から派遣会社の選定を行う必要があるでしょう。
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人材派遣を利用することによって、コスト削減、業務の効率化、専門性の高い人材の確保など、多くのメリットが期待できます。帰属意識が希薄になりやすい、契約した仕事以外は任せることができないといった派遣社員ならではの注意点もいくつかありますが、内容を把握しておけば対策は可能です。人材不足の解消や効率的な仕事環境の構築を目指すために、人材派遣サービスを上手く活用しましょう。
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