外資系企業の人事・労務の仕事とは

日本企業の場合、人事部は重要な部署なので、ある程度の規模があります。しかし外資系企業の場合、人事部門は小規模であることが多いです。なぜなら外資系企業の人事・労務の仕事は、採用、教育・研修が主になるからです。

社員を評価するのは誰か

外資系企業では社員を評価するのは人事部ではなく、直属の上司の役割です。採用、給料にかかわる評価、解雇までの権限を直属の上司が握っています。海外の映画やドラマで上司が開く食事会やパーティーに行く場面をよく見ると思いますが、上司に気に入ってもらえるようにそのような場所に足を運び、アピールする人も少なくありません。昇給・昇進を検討するときに、このような事も対象になるかもしれないからです。日本企業は年功序列なので、問題さえ起こさなければ自然と昇給・昇進していきます。対して外資系企業は年に1回、上司やマネージャーとのミーティングで昇給が決まります。自分がなにも交渉しなければ提示された給料のままですが、「私はこれだけ会社に貢献しています!」ということを交渉し、説得します。この際、上司やマネージャーに気に入られていれば、昇給・昇進の可能性が高くなるのです。

チーム内でのコミュニケーションが重要

外資系企業は、「ある日突然リストラされる」「人材の入れ替わりが激しい」「上司とソリが合わない場合、転職するしかない」など転職が多いのも特徴です。そのせいか、個人の能力がどれだけ優れているかというより、誰が抜けても既存の仕事がまっとうできるチームワークがあるかということが重要視されています。

さらに、自分の意見もしっかり主張し、一つのプロジェクトを同じチームの仲間たちと協力しながら、成功に向けて進めていく「コミュニケーション能力」が求められています。個人の売り上げよりも、チームワークによって所属する部署全体の売り上げが伸びた方が、会社の利益が大きくなることは言うまでもありません。

英語能力が高ければ、外資系企業で働けると思っている方もいらっしゃると思いますが、チームに働きかけて成果を収める積極性や、さまざまな人種の人とでも共に働ける協調性、リーダーシップが求められているのです。

外資系企業で働くうえで大切なこととは

外資系企業は成果主義・個人主義だと思っていた人も多いのではないでしょうか。上記で述べたように、社員を評価するのは人事部ではなく直属の上司であること、また、目標達成という成果は非常に重要ですが、その成果だけで評価されるのではなく、全体最適を目指すというチームワークも日本企業と同じように重要視されています。家族や個人の時間を尊重しているので、仕事終わりに飲みに行くなどのプライベートの交流は日本企業と比べると希薄です。ですがチームビルディングという、複数のメンバーが同じゴールに向けて一丸となって進む手法が外資系企業では注目されています。