デジタルカメラが登場したとき、コダックはそれが自社にとって脅威となるとは考えもしなかった。この決断は、今ではビジネスの歴史における大失敗の一つとして考えられています。1975年には、コダックのエンジニアがすでにデジタルカメラを開発していたのにもかかわらず、コダックはフィルムカメラに専念することに決めた。この後コダックがどうなったかはご存知の通りである。この出来事から、変化する市場に適応できない状態になることを「コダック・モーメント」と呼ぶようになった。以下に現代のリーダーがこのコダックモーメントを避けるために覚えておきたい6つの教訓を紹介したい。

1. 新しい状況にすぐさま適応する

世界経済においては競争が苛烈だ。今やインターネット通信とラップトップを持った二人の若手実業家がどこからともなく現れて、あなたを廃業に追い込んでしまうような時代なのだ。コダックには最初の失敗から挽回するのに少なくとも10年間という時間が与えられていたが、現代のリーダーたちにそんな贅沢は許されない。企業は迅速に行動できるように心がけなくてはならないのである。だが一体どうすればいいのだろうか。

2. 学習を止めない

まずは、社員が学習を決して止めない環境を作るのが大事となる。そのための手立てももちろん存在する。学習のための講義やワークショップ、トレーニングの機会を提供するのである。CourseraやStanford Online CoursesやAcademic Earthといったウェブサイトでは、世界のトップ大学が提供する講義を無料で視聴することができる。このように、学習のための環境づくりに必要なリソースはいくらでも揃えられる。だが、手段があってもやる気がなくては意味がない。あなたの従業員たちは新しい方法を試したり未知なる道を行くというモチベーションを持っているだろうか。言うは易く行うは難しということわざもある。私たちはすでに自分の知っていることにこだわるという傾向がある。新しいことを学ぶのはとても大変な作業なのだ。そうしたからといって望んだ成果が得られるかも現時点ではわからないのに、どうしてそんな面倒なことをしなくてはならないのかと思うこともあるだろう。

3. 失敗を恐れない

それでも、失敗なしに人は学ぶことはできない。もし従業員がいつでも成果を生み出すことを求められていると、彼らは安全な道を常に選ぼうとするだろう。だからこそ、たとえ常に好ましい結果にならないとしても、新しいことを試しやすい雰囲気を作ることが重要となる。これまでとは違った方法を試すのに適した空気をあなたの会社で生み出すにはどうしたらいいかを考えてみよう。

4. 謙虚さと人の話を聞く姿勢を身に付ける

こんな話がある。とある会社のITエンジニアのチームは新しいチップを開発したのだが、そのことをマネージャーには伝えていなかった。もしマネージャーがそのことを知ったら、絶対に承認しないということを彼らは知っていたからである。このような状況は避けなくてはならない。他人から何かを学ぼうという姿勢を見せない限り、誰からも話しかけられなくなってしまうだろう。だからこそ、他人の話に関心を抱き、新しいアイデアにオープンであることが大事となる。新しいアイデアを育むための土壌を会社の中にも築き上げよう。

5. 多様性(ダイバーシティ)を大事に

調査によれば、企業が多様であればあるほど新しい環境にもすぐさま適応して成功する可能性が高いという。ここでいう多様性とは社内の従業員の文化的バックグラウンドのことだけではなく、男女間のバランスや様々な働き方のことも指している。例えば、ITエンジニアとマーケティングマネージャーとではそれぞれ違った見方で世界を見ているはずで、問題へのアプローチ方法も当然異なったものとなるだろう。そこで、こうした多種多様なアプローチが互いに邪魔し合わないように調整をする能力も欠かせなくなってくる。

6. チームはオーケストラと思え

これが現代のリーダーに課せられたタスクである。映画『スティーブ・ジョブズ』のジョブズはこんな台詞を言う。チームのメンバーは優れた演奏家たちだ。大事なのは、彼らをまとめてオーケストラにしなければならないということだ。演奏家たちにはそれぞれ好きなように独創性を発揮させてもよい。ただしそれはあくまで指揮者自身が演奏したい音楽の一部となることを前提としていなければならないのだ。ここまでのことを踏まえて、こう自分に問いただそう。自分を、企業を、従業員を変革するタイミングはいつなのか、と。

もっと詳しく知りたい場合は
ここで紹介したアドバイスの多くは、マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院の元教授であるエドガー・H・シャイン氏の見識に基づいているので、同氏の著作等を参照されたい。