採用におけるKPI設定のポイントとは?何をKPIとするのが適切?

採用活動を管理し効率良く進めるためにKPIを設定したいと考えているものの、どの数字を見るべきかがよくわからない人も多いのではないでしょうか。適切に設定するためには、まずはKPIとはどのようなものなのかを正確に把握する必要があります。そこで、ここでは、KPIとは何かから説明したうえで、採用活動に際して設定すべきKPIのポイントについて詳しく説明します。

1.「KPI」についておさらい!設定のポイントとは?

KPIとは「Key Performance Indicator」の略で、日本語では「重要業績評価指標」と訳されます。これは、ビジネス上の目標を達成するにあたってどこまでできているかを数値で評価する指標のことです。最終的な結果ではなく、そこに至るまでのプロセスを評価するためのものです。最終目標を評価する指標は別にあり、そちらはKGI(Key Goal Indicator)といいます。KPIを設定することで、最終目標に到達するまでの進捗具合がつかみやすく、進展していないようであればどこかに問題点があることがわかり、改善点の発見にもつながります。

ただし、KPIはどのような目標に対しても設定できるものではありません。KPIを設定する際には、以下のポイントに注意する必要があります。

  • 具体性がある

  • 数値として表せ、計測可能なものである

  • 目標が達成可能である

KPI自体が抽象的なものでは、どのような行動が必要かが分かりません。数値で表せないものや、そもそも達成できないような過大な目標に対して設定することも無意味です。

2.採用活動においてよくあるKPI

企業が社員を新たに採用する際に設定できるKPIには、以下のようなものがあります。

  • サイトの求人閲覧数と応募率

  • 書類選考数とその通過率

  • 一次面接数とその通過率(二次面接以降も同様)

  • 内定率と内定承諾率

設定する際には、これまでに実施した採用活動を振り返り、プロセスごとの結果を数値化してみましょう。その数値をもとにすることで、より適切なKPIの設定が可能になります。

仮に、過去の採用活動プロセスにおいて書類選考を実施したのが20人で、10人が通過したとしましょう。すると、書類選考通過率は50%です。10人がそのまま面接に進み、最終的に4人が面接で合格したなら40%となり、その4人に内定を出したものの最終的に2人が承諾したなら、内定承諾率は50%です。この過去の結果を参考にすれば、それぞれのステップで設定すべきKIPが見えてきます。なお、上記は採用活動におけるKPIの設定ですが、採用後には以下のようなポイントで設定可能です。

  • 採用予定人員数に対する達成度

  • 採用する際にかかった1人あたりのコスト

  • 採用した人材の職場定着率

3.KPIのメリット

採用活動を実施するにあたってKPIを設定することは、企業にとってさまざまなメリットがあります。ここでは、採用活動にKPIを活用する具体的なメリットを紹介します。

3-1. 採用活動が効率化する

新たに社員を採用したいと考えても、基準となるもの・道標となるものがわからなければムダが多く非効率な採用活動とならざるを得ません。KPIを設定すれば、各プロセスにおいて何をどれだけ達成すれば良いかを把握することが可能です。これにより、限られたリソースをうまく活用して最終ゴールに向かって効率良く計画的に進められるようになります。採用チームで共有すればメンバーが共通する明確な目標に向かって一体感を持って業務に取り組める点も、KPIを取り入れる大きなメリットです。

3-2. 課題発見と改善ができる

KPIを設定しても、必ずしも目標を達成できるとは限りません。そのようなときも、どのタイミング・どのポイントにおいてどの程度達成できなかったのかが分かれば、速やかに改善すべき点が把握できます。これが、KPIを設定せず漫然と採用活動を進め、目標を達成できなかったとしたらどうでしょうか。どこにどのような問題があったのかが分からず、次回も同じ過ちを繰り返す恐れがあります。これでは、採用に際して無駄なコストと時間ばかりがかかってしまうことになるでしょう。

4.採用における適切なKPIとは?

企業によって、採用活動を実施する際に重視するポイントは異なるものです。たとえば、質の高い人材の採用のみを考え良い人がいなければ採用しないケースもあれば、たくさんの応募者に来てもらい多めに採用したいと考えるケースもあるでしょう。このような採用の目的の違いによって、適切なKPIの設定も変わります。ここでは、応募者の質を重視する場合と量を重視する場合とに分けて適切なKPIを紹介します。

4-1.応募者の「質」を重視する場合

応募者の質にこだわって採用活動をするのであれば、次の2つのポイントでKPIを設定すると良いでしょう。

  • 面接設定率

  • 内定承諾率

人材の質にこだわる場合、かりにたくさんの応募があっても書類選考の時点でかなりの人数を落として絞り込んでいるでしょう。厳しい書類選考を通過した応募者は優秀な人材であるため、ほぼ全員に面接に来てもらいたいものです。そのため、面接設定率のKPIが必要になります。また、内定を出したとしても必ずしも全員に承諾してもらえるとは限りません。質の高い応募者であれば、ほかの会社からも内定を受けている可能性が高いです。内定を出した応募者には必ず承諾してもらえるよう、努める必要があります。

4-2. 応募者の「量」を重視する場合

マンパワーが足りず、質もある程度重視しつつ多くの人を採用したいケースでは、以下の2つのポイントでKPIを設定すると良いでしょう。

  • 面接設定率

  • 面接人数からみた入社率

量を求める場合、書類選考を通過して面接を受ける人の率を高くする必要があります。とはいえ、あまりにも多いと個々への連絡や面接日程の調整が大変になり、現場の負担が増大するでしょう。設定する際、面接設定率をあまり高くしすぎないようにすることも大切です。

書類通過者をたくさん出すケースでは、即戦力になれる優れたスキルや知識を持った人材もいれば、ほとんど業界や職種経験がない人も面接にくるでしょう。量が必要なため、適性を見抜いてどれだけたくさんの応募者に内定を出せるかが重要になります。また、内定を出しても辞退者が多ければ意味がありません。内定承諾を決意させるため、うまくマネジメントする必要もあります。これらを測るのが、面接を実施した応募者に対する実際に入社した人数の割合です。応募者に「この会社で働きたい」と思わせるような育成型の面接ができたかどうかの指標となります。

自社の採用活動の目的から考えよう

採用活動において適切にKPIを設定してプロセスを管理すれば、進捗状況を客観的に把握したり改善点を見つけたりすることが可能です。とはいえ、「このKPIをこの数値で設定すれば確実に成功する」といった法則は存在しません。「どのような目的のためにどのような人材を何人採用したいのか」によって、KPIの内容は変わります。自社の採用目的や採用予定人数などに合わせ、どう設定するかを根本から考えることが必要です。