中途採用面接の場でストレス耐性を見抜く質問とは?圧迫面接にはリスクあり

圧迫面接にはリスクあり 採用にはコストも手間隙もかかるものですから、せっかく採用した人にはできるだけ長く勤めてもらいたいところでしょう。そのためにはある程度ストレス耐性のある人を採用することが大切です。では、応募者のストレス耐性を確認するにはどのようにしたらよいのでしょうか。ここではストレス耐性とは何か、そして面接でどのような質問をすればそれを確認できるのかについて紹介します。

1. 「ストレス耐性」を確認する必要性

人材を採用するに当たって、その人の能力や性格と同じくらい重視すべきなのが「ストレス耐性」です。ストレス社会とも言われている時代において、このストレスに負けないメンタル、あるいはストレスとうまく付き合うことができる能力というのは非常に重要なものです。もしもそうした能力が低ければ、ストレスによって心身を壊してしまい、早期に離職するということにもなりかねません。そのため、応募者のストレス耐性については面接時によく確認しておきたいところです。

ストレス耐性の低い人にはもう一つ問題点があります。仮に早期離職をせず職場にとどまったとしても、よいパフォーマンスを発揮できないばかりか周りの足を引っ張ってしまう可能性もあるのです。ストレス耐性の低い人は打たれ弱く人間関係から逃げてしまいがちなので、周囲と協力しながら仕事を最後までやり遂げるということができないからです。

ただ、ストレス耐性の弱い人がすべてだめかというとそうとは限りません。性格的には責任感が強く完璧主義であるという特徴を持っており、それは長所として評価することもできるからです。

2. ストレス耐性には5つのタイプがある

一口にストレス耐性といってもパターンは一つではありません。ストレス耐性には5つのタイプがあります。応募者のストレス耐性を見るときには一つの視点ではなく、この5つを意識しながら総合的に判断していきたいものです。ではそれぞれのタイプについて解説します。

  1. 「感知能力」。これは文字通りストレスを感知する力のことです。同じ出来事に遭遇してもストレスを感じる人もいれば感じない人もいますし、感じる人の中でも感じ方の大きさには違いがあります。感知能力の高い人は些細なことでも強くストレスを感じてしまうためストレス耐性は低く、反対に感知能力の低い人、いわば鈍感な人はストレス耐性が高いといえるでしょう。

  2. 「回避能力」。これはストレスの元となるストレッサーに対していかに柔軟に対応できるかを示すものです。回避能力の高い人は多少のことは気にせず、これは仕事だからと割り切って前に進める人なのでストレス耐性が高いといえます。感知能力が元々の性格に影響されるのに対し、回避能力は心身の状態に影響されるといわれています。

  3. 「処理能力」。これはストレッサーそのものをなくす、あるいは少なくすることができる能力のことです。たとえば仕事量が多すぎるのがストレスの原因であれば上司に交渉して仕事量を減らす努力をする、といった具合です。

  4. 「転換能力」はいわばポジティブシンキングの能力といえるでしょう。何かストレスを感じるような状況に突き当たったときに、ただ落ち込んだりするのではなく「いい経験になった」「勉強になった」等前向きな考え方ができる能力のことです。

  5. 「経験」はこれまでにどれだけのストレスを経験してきたか、「容量」はどのくらいのストレスに耐えられるかという心理的なキャパシティを表します。

3.面接でストレス耐性を見抜く質問例

では面接の場で応募者のストレス耐性を見抜くにはどのような質問をしたらよいのでしょうか。以下にその具体例を挙げていきます。

3-1. 「今までで最も大きかった挫折は?どう乗り越えましたか?」

この質問では、ストレスの処理能力や転換能力を確認することができます。大きな挫折というのはストレッサーの中でも特に強いものといえますが、そうしたストレッサーに対してどう対処したかを聞くことで、ストレスへの向き合い方を知ることができるのです。その出来事に対してどのような対処をしたかによって処理能力を知ることができますし、挫折は辛い体験ではあるけれど、ただ暗く落ち込んでしまうのではなくそこから何かを学び取り、自分にとって成長の糧を得ることのできる貴重な体験であったと捉えられたかどうかで転換能力を見ることができます。

3-2. 「どんな時に強いストレスを感じますか?」

ストレスに対してきちんと向き合い、解決することができているかどうかがこの質問に対する答えからわかります。ストレスを感じるのは人間としてあたりまえのことであり、ストレスを感じない人はいないという前提で質問をすると、相手の素直な気持ちを引き出すことができるでしょう。それでも「自分はストレスを感じない」と答えるようであれば、その人は自分がストレスを感じていることにも気づかず、知らぬ間にストレスをためてしまい、やがて心労から倒れてしまう可能性も秘めています。むしろストレスを感じることがあると認め、そのうえでどのように対処しているか答えられる人のほうがストレス耐性は高いといえます。

3-3. 「ストレスの解消方法は?」

これはストレスを解消する適切な手段を持っているかどうかを知るための質問です。ストレスは気にしない、ポジティブにとらえるといったことも有効ですが、ストレスを感じてしまったときにうまく解消するということもまた大切です。そうすることによってストレスを蓄積させ、心身にダメージを与えるといったことを避けることができます。したがってその内容は何でもかまいません。仲間と騒ぐか一人で趣味に没頭するか、このあたりはそれぞれの人の性格によるでしょう。ただし酒・タバコなど健康を害するものや、依存性のあるギャンブルなどは別の問題に発展する恐れがあるので要注意です。

4.圧迫面接はリスク!辞退につながる理由とは?

ストレス耐性を見るなら面接の場でストレスを与える圧迫面接を行えば早いのでは、と思う人もいるかもしれませんが、これはおすすめできません。そのような面接を行えば企業のイメージを悪くし、せっかく内定を出しても辞退されてしまう恐れがあります。さらに、場合によっては企業の悪評が広まることもありえます。面接の場でわざわざこのようなリスクをとる必要はないでしょう。

また、圧迫を加えることで応募者が警戒してしまい、素の回答が引き出せなくなる可能性もあります。これでは何のために面接を行っているのかわかりません。

ストレス耐性を確認して長く活躍してくれる人材を

長く働いてもらうことはもちろん、職場の中で協調性を持ってベストなパフォーマンスをしてもらうためにも、ストレス耐性の高い人を選ぶのは重要です。採用の場ではここで紹介した6つのタイプを意識しつつ、総合的に判断することをおすすめします。その上で求める能力に応じ、何を見極めたいかをはっきりさせた上で質問の内容を考えるとよいでしょう。