法律により正社員は解雇されにくい

情勢により境遇が一変するのは会社組織です。
不景気のあおりを受けて社員を解雇せざるを得なくなることもあります。
しかし法律上、正社員の解雇は簡単にはできません。
現在の労働基準法や労働契約法などは労働者の保護に重きを置いています。
これは労働者にとって解雇は非常に重い処置であり、簡単に行われてしまうことを避けるためです。
なお、解雇の中には一般的な理由で行われる普通解雇、会社に損害を与えたとして制裁的に粉割れる懲戒解雇、赤字の補填として実施される整理解雇の3種類があります。
普通解雇と懲戒解雇は労働者側に理由があるものの、不景気時の解雇にあたる整理解雇は会社都合で実施されるため、ほかの2つより認められる基準が厳しいです。
そのため、よほど赤字が大きくない限り解雇は行われません。

内定段階での解雇にも制限がある

入社前の内定段階で解雇を言い渡す、いわゆる内定取り消しに関しても法的に制限がかけられています。
これは内定も「始期付解約権留保付労働契約」という労働契約の一種と見なされているからです。
内定者の健康状態が悪く就業しても働けない、または履歴書に重大な経歴詐称があったなどの理由があれば内定取り消しは認められます。
しかし、不景気であることが理由である場合、少なくとも「人員整理が必要」「解雇を避けるための努力を最大限行った」「解雇対象者を合理的に選んでいる」「手続きが妥当」といった条件を満たしていなくてはなりません。
不適切に内定取り消しを行っている企業は厚生労働大臣によりその企業名を公表されます。
また、内定者が裁判を起こし取り消しが無効となった裁判も存在します。

解雇する場合には予告が必要

もし現社員を解雇する場合、その方に対し30日前までに予告しなくてはなりません。
解雇予告は口頭でも成立するものの、後々のトラブルを避けるために解雇通知書を渡すことが推奨されています。
また、最低30日分の平均賃金を支払う場合は予告を行わずに解雇することが可能です。
自然災害で事業継続が困難、または社員自身に理由があるといった場合は解雇予告が不要ですが、行う前に労働基準監査署長の認定を受ける必要があります。

事務職は解雇されやすい

事務職は専門性が低く、個人のスキルがあまり求められません。
また人気が高く、仮に新しく募集したとしても比較的早くにほかの人員が見つかりやすいです。
そのため不景気のときは事務所の社員が解雇対象になりやすい傾向があります。
一方で、専門技能を持つ技術職は事務職よりは解雇されません。
なお、事務職であったとしても正社員なら正当な手続きによって解雇を行わなくてはなりません。

医療や介護は解雇されにくい

専門職の中でも医師や看護師、または薬剤師などは解雇されにくいです。
これはそもそも医療業界が慢性的な人手不足であり、また高齢化で需要が高まっていることが理由として挙げられます。
介護職員も需要の高まりや人手不足などから解雇があまり行われません。
特に介護業界は人手不足が著しく、未経験者であっても従業員を欲する経営者が非常に多いため、経験者は保護されやすいです。

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