職務記述書の書き方をわかりやすく解説!具体例を参考にしよう

優秀な人材を獲得したい企業が人材募集をするときに懸念される採用ミスマッチは、職務記述書の作成が効果的な対策となります。今回の記事では、職務記述書とは何かという基本的なことから、作成のメリット、作成の手順、注意点などを解説していきます。どうすれば、優秀な人材を獲得できるのかと悩んでいる経営者や人事担当者は参考にしてください。

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1.職務記述書(ジョブディスクリプション)とは

職務記述書とは、企業内に存在する職種や職位ごとに、担当する業務の内容、範囲、難易度、必要な資格やスキル、権限などを詳細にまとめた書類のことです。日本語に訳さず「job description(ジョブディスクリプション)」と呼ばれることもあります。日本企業においては、従業員の能力に合わせて転属や出世をしていくので、職務を限定して採用することが少ないため、職務記述書に馴染みがないという人もいるでしょう。外国企業や外資系企業の場合は、担当する職務を最初に決めて雇用契約を結ぶので、職務記述書を採用や人事評価の際に使う一般的な書類として扱います。

日本企業のように職務を決めない採用はメンバーシップ型雇用、外国企業や外資系企業のように職務を決める採用はジョブ型雇用と言います。グローバル化の推進やリモートワークなどの新しい働き方が普及してきたことで、日本企業の中にもジョブ型雇用への切り替えを試みる企業が増えています。そうなれば、職務記述書も必要となりますから、あらためて職務記述書の導入を試みる企業も少なくありません。
 

2.職務記述書を導入するメリット

  • 採用ミスマッチが起こりにくい
  • 生産性の向上
  • 人材育成が出来る

職務記述書を導入するメリットは、まず職種・職位ごとに定められた業務内容や必要とされる資格・スキル・経験を明確にすることができるので採用ミスマッチが起こりにくいことが挙げられます。職務記述書を導入しておき、採用時に欲しい人物像を求人の際に提示できれば、自分の能力や経験ならば出来るという人だけが応募するようになるでしょう。採用ミスマッチが起きなければ、早期退職で採用コストが無駄になることはありませんし、能力不足の人を教育する必要もなくなります。

続いてのメリットは、生産性の向上です。職務記述書を利用して求人を出せば、教育の必要がない即戦力が集まります。また、職務内容・職務範囲が明確であれば、指示がなくても自分でやるべきことがわかりますから、入社直後から全力で働くことができます。そうしたことで、生産性は向上し企業の業績も上がるでしょう。

他には、人材育成が出来るというのもメリットです。職務記述書の内容に、協調性・柔軟性・論理性など職種・職位に必要な資質を盛り込んでおけば、従業員がそれぞれの抱くキャリアプランに応じてどのような人物になれば良いのかがわかるようになります。そこで自主的に思考力を鍛えたり、同僚や部下と積極的にコミュニケーションを取ったりして成長をしていくことができれば、将来を担う優秀な人材となってくれるでしょう。

企業が職務記述書を導入してジョブ型雇用を行うことになれば、採用した人材は定められた職務だけに集中していくことになります。その結果、特定の職務において優れた成果を出すスペシャリストを育成しやすくなるというのもメリットです。複数の職務をこなせるゼネラリストも企業にとっては必要な人材ですが、確実に成果を出せるスペシャリストの存在が重要な役割を果たすこともあります。優秀なスペシャリストを何人も育てることができれば、競合企業との差別化を図りやすくなり、競争に勝てるようになるでしょう。

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3.職務記述書に記載する内容は?具体例を紹介!

職務記述書に記載する内容は、主に職務の目的、職務の内容と範囲、ポジション、必要なスキル・経験・資格、目標、その他といったものです。

  1. 職務の目的とは、企業が目指す目的に沿った形で、何を目的に職務を行えば良いのかを明示することです。例えば、看護師ならば「病気や怪我など健康について問題を抱える人のために、診療の補助や療養上の世話を通じて、医療的・精神的なケアを行う」と書けば、患者や介護施設利用者のために力を尽くすことが目的であることがわかります。状況によって目的が変わるものについては、具体的に書くことで目的を明確にしましょう。例えば営業職の場合、「自社の商品・サービスの利便性や価値を伝え付加価値のある提案を行うことで、顧客に商品・サービスの理解をしてもらう」と書けば、顧客の理解を得るために努力すれば良いということがわかります。
     
  2. 職務内容と範囲は、従業員や求人の応募者に仕事の内容を理解してもらうために必要な情報です。例えば営業職の場合、既存の顧客に対するアフタフォローや新規顧客獲得のための営業活動(メールや電話などを用いたセールス)、提案、商品の発注など、営業活動に必要だと考えられる職務を記載しておきます。営業職の場合、部下の教育や製造部門との連携なども含まれるので、どこまでの範囲を担当すれば良いのかを詳しく書いておかなければなりません。
     
  3. ポジションは、企業でどのような立場になるのかを知るための情報です。営業・総務など所属部署と人事部長や課長などの職位・役職を合わせて書いておきます。
     
  4. 次に必要なスキル・経験・資格ですが、使える言語、普通自動車免許、簿記などを書く項目です。試験の点数や等級が一定以上でなければ役に立たないときには、そのことも記載しておきましょう。経験も一定の年数が必要ならば、実務経験何年以上と書けばわかりやすいです。
     
  5. 目標は、職務ごとに出さなければならない成果目標のことです。営業ならば、単月売上◯◯万円、年間売上〇〇◯万円というように書けば良いでしょう。成果を評価する方法や基準なども併せて書いておくことで、目標が曖昧にならずに済みます。
     
  6. その他の項目は、労働条件や企業情報などです。労働条件ならば、正社員で本社勤務、給与は月給〇〇万円以上などを記載します。企業情報は、企業名、事業内容、企業理念などを記載しておけば、求人を出すときに活用できます。

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4. 職務記述書を準備する方法

職務記述書を準備するとき、初めてのことであれば何から手をつければ良いのかわからないでしょう。そこで職務記述書の書き方をステップごとに解説していきます。

4-1.1.求めている人物像をはっきりさせる

職務記述書の書き方で、最初にするべきことは求めている人物像の決定です。職務記述書は、企業の方針に沿う内容にしなければならないので、まずは経営陣や人事部に人事方針を確認しましょう。例えばしがらみに囚われず行動できる人や積極的に行動する人が企業の求める人材だったとします。それを反映して、どのような特性を持った人物を求めるのかを明確にしましょう。加えて、ここでは必要としているポジションやスキルなどの決定をするので、営業部長が必要だ、英語に堪能な人材が欲しい、と言ったことも決めておきましょう。そうして求める人物像が出来上がったら、経営陣もしくは人事部との認識の齟齬を防ぐべく、内容を確認してもらいます。

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4-2.2.現場にヒアリングする

求める人物像を決定したら、次に現場にヒアリングを行います。職務マネージャーから、対象となる職務の目的、職務内容と範囲、必要なスキルや経験などを聞き出しましょう。特定の部署だけで必要となるスキルなども、職務記述書に盛り込むべきであれば盛り込みます。さらに、同じ業務を行っている従業員からもヒアリングをして、現場の意見を反映させると良いでしょう。余裕があれば、部下になる従業員と話す機会も設けます。

なお、現在の担当者の能力が低く、企業の求めるレベルの職務内容が実施されていないこともあります。ヒアリングで集めた情報を整理する際には、その点も考慮して本来企業が求めるレベルの職務内容は何かを明らかにしておきましょう。もし、ヒアリングだけでは情報が不足しているときには、職務内容に関するアンケートを職務マネージャーなど調査対象者に記入してもらうことで、情報の掘り下げができます。

4-3.3.項目を決定して作成する

求める人物像とヒアリングの内容から、職務記述書に記載する項目を決定し作成をします。職務記述書の作成で重要な点は、わかりやすく簡潔に書くことです。職務記述書に業界特有の専門用語を用いると、その内容で求人を出すときに未経験の人が応募する気がなくなります。わかりやすくというのは、誰でわかるやさしい言葉を使うことです。例えば、不動産業界で売買契約を売契と略しますが、初見の人だと意味がわからない可能性があるので売買契約と略さずに書きましょう。簡潔に書くことについては、他の項目で触れる部分などは削って構いません。不要な修飾語も使わないようにしましょう。さらに誤字脱字がないか、校正作業も行います。

職務記述書を作成したら、現場に確認をします。ヒアリングの対象となった職務マネージャーや同じ業務を担当する従業員、部下になるメンバーに内容を見てもらいます。さらに、作成から月日が建てば、経営方針・人事方針の変更や組織の改革によって、職務記述書の内容が適切ではなくなることもあります。職務記述書の内容を定期的に見直して、アップデートする機会を設けた方が良いです。
 

5.職務記述書を作成するときに注意したいこと

  • スペシャリストの育成に向いている
  • 業務に関する文言に注意する
  • 複数の視点からの見直しがおすすめ

職務記述書を作成する際には、複数の職務をこなすゼネラリストの育成には向かないことに注意しなければいけません。職務記述書の導入は、特定の職務に従事するスペシャリストの育成方法です。ゼネラリストも企業に必要な人材ですから、職務記述書を導入した場合には、それに対応できるゼネラリストの育成方法を見直す必要があります。

他には、職務記述書に記載している職務内容だけをやるとなれば、記載されていないことは一切やらない風潮が生まれる可能性あるでしょう。業務の柔軟性がなくなって部署を超えた連携ができなくなったり、新しい事業に挑戦することがなくなったりします。その結果、生産性が低下し企業の業績が落ち込みます。柔軟性をもたせられるように、職務内容には「共同で作業ができる」などの文言を入れておきましょう。

職務記述書の内容が適切でなければ、採用や人材育成の役に立ないことにも注意したいことです。複数の視点からのチェックや体的な見直しが必要になります。一度作成すれば終わりではないので、担当者の負担は軽いものではなく運用の難易度はやや高いと言えるでしょう。担当者の人数を増やすなど、負担を軽くして運用の難易度を下げましょう。
 

自社に合った職務記述書を作成しよう!

職務記述書で職務の目的、内容・範囲などを明確にしておけば、採用ミスマッチを防ぐことができますし、従業員は効率的に働けるようになり生産性が向上しスペシャリストも育成できます。また、職務記述書を通じて企業の求める人物像を提示すれば、従業員の成長を促せるでしょう。これから、ジョブ型雇用への切り替えを検討しているのであれば、自社の状況やニーズに合った職務記述書を作成して優秀な人材の獲得・育成をしましょう。

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