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近年ビジネスシーンで注目されている言葉のひとつに「インクルージョン」があります。インクルージョンという言葉は聞いたことがあっても、それが具体的に何を意味しているのかを知っている人は少ないかもしれません。この記事では、インクルージョンについて深い知識が身に付くとともに、一緒に使われることが多い「ダイバーシティ」との違い、導入のメリットやポイントをご紹介しています。
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インクルージョン(inclusion)という英語は直訳すると「中に含む」であり、現在は「多様な人々との共生」といった意味合いで使われています。近年のビジネス現場においてインクルージョンとは、性別や国籍、障がいの有無、性的指向などを問わず、組織の中で社員が互いに個性や違いを尊重し合っている状態を指します。このような状態を作ることで、企業内の誰もが仕事に参加し、貢献する平等なチャンスが与えられることになり、個々の良さを活かせる職場を作り上げることができます。インクルージョンはビジネスの現場だけでなく、教育の現場でも推進されています。
インクルージョンという考え方は、1980年代のヨーロッパにおける福祉政策上の概念として誕生しました。それ以前のフランスをはじめとするヨーロッパ各地では、施設に入っている児童や性的マイノリティなどの弱者に対する「社会的排除(exclusion – インクルージョンの対語)」が顕著な時代でした。そのような時代背景の中、1980年代に入ると不安定な就労状況や長期の失業などにより社会保障を受けられない貧困層が数多く現れ、ヨーロッパ各国ではこれを問題視するようになります。そこで登場したのが、インクルージョンという概念です。これまでの「社会的排除」のように弱い立場の人たちを切り離すのではなく、国や地域という大きな枠組みの中で受け入れる(中に含む)ことにより、支援しながら彼らの持っている能力を期待するという考え方に方向転換したのです。
その後インクルージョンの概念は教育やビジネスの場にも広がり、2000年以降になると日本でも採用され始めます。インクルージョン教育の現場においては、従来のように障がいを持った子供と健常児を区別して授業を行うことはしません。障がいも「ひとつの個性である」と考え、他の子たちと同じ学級で授業を行います。ビジネス現場においても同様に、性別や年齢、人種、障がいの有無などに固執することなく、それぞれが持っている個性を尊重し、お互いが対等の立場で意見交換を行うことによって社内を活性化させていくという考え方です。
ビジネスの現場ではインクルージョンの他に「ダイバーシティ」という用語があります。ダイバーシティはインクルージョンと一緒に使うことが多い言葉です。違いは何なのでしょうか。
ダイバーシティ(diversity)は直訳すると「多様性」という意味で、「様々な違いが存在する状態」を示します。ビジネスの現場においては主に多様な人材を採用し活用することを指します。たとえば企業が社内の多様性を重視するために、外国人や障がい者を積極的に採用したり、女性の管理職を増やしたりする活動も、ダイバーシティの一環です。このようにダイバーシティとは、国籍や性別、年齢、宗教、人種にとらわれることなく、多種多様な人材が存在する状態を指します。
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このようにダイバーシティは「多種多様な人々がいる状態」を示すのに対して、インクルージョンはその概念を一歩進め、「多種多様な人々が社会や組織の一員として受け入れられ、自分の強みを活かせる」そういった状態を表します。
ビジネスの現場において、ダイバーシティは人種や性別などに固執することなく多様な人材を雇い入れる行動であり、主に「採用時」に重視される考え方となっています。しかしダイバーシティ経営によって多様な人材を採用しても、離職してしまう人が多く定着率が低いという問題が存在しました。これはダイバーシティという「採用活動」だけに注視してしまうのが原因です。せっかく採用したにもかかわらず、企業側の受け入れ体制が整っていなかったり研修不足などで他の従業員らによる区別や差別があったりしては、離職してしまっても不思議ではありません。これでは多様な人材を活かしきることはできず、他の企業などに流出する原因になってしまいます。
そこで、この問題をカバーするのがインクルージョンです。インクルージョンの考え方では、採用後もマイノリティの人たちが働きやすい環境を整え、職場に定着させることが重視されるのです。
ダイバーシティ&インクルージョンとは、これら2つが持っているメリットを最大限に活かすために作られた考え方です。先述したとおり、多種多様な人材を採用して彼らを企業の戦力として活用していくためには、ダイバーシティの考え方だけでは不十分です。なぜならダイバーシティは主に採用活動に注目した考え方であり、採用後の活用に関してはあまり重要視していないからです。ダイバーシティだけでは、新しく採用した人たちに対して働きやすい環境を提供することはできません。
一方でダイバーシティ&インクルージョンは、あらゆる多様性を受け入れるだけでなく、それぞれが活躍できる場も作るという考え方です。ダイバーシティだけでなくインクルージョンも同時に推進することで全員が個人を尊重することができ、社内で活発な意見交換が可能になります。これにより従業員のモチベーションは向上し、定着率もアップするのです。ちなみに日本で「ダイバーシティ」という言葉が使われるときは、実際には「ダイバーシティ&インクルージョン」の意味で使われることが多いです。
日本でインクルージョンが注目されるようになった背景には、近年の深刻な人手不足の問題があります。2007年以降、団塊の世代が次々と定年を迎えるのに伴い、日本では労働人口の不足が大きな問題となっています。このような深刻な状況下で、もしも女性や高齢者、障がい者なども企業で活躍できれば、人材不足を解消することができます。
また経済産業省がダイバーシティを推進していることも、インクルージョンが注目されている背景のひとつです。経済産業省は「日本経済の持続的な成長のためにダイバーシティ経営は必要不可欠である」と考えており、「新・ダイバーシティ経営企業100選」や「なでしこ銘柄」を選定するなど、ダイバーシティ経営を促進するための方策を数々打ち出しています。特に経営層に多様な視点が入ることで、企業の競争力が向上することが期待されているのです。
企業がインクルージョンを導入することにより、どのようなメリットがあるのでしょうか。
インクルージョンを導入することによって、職場が働きやすい場となるため、定着率が上がり離職率が低下するといったメリットが期待できます。なぜならインクルージョンによって多種多様な人が活躍できる場が提供され、さらに会社が個人としっかり向き合うことになるので、働いている人は「自分は会社から大切に扱われている」と自己肯定感が高まり、モチベーションがアップするからです。離職率が低下することによって人材は成長し続け、働き手不足の問題も解決します。
インクルージョンに取り組むことによって健全な企業イメージを構築できます。インクルージョンに積極的に取り組む姿勢は、CSR(企業の社会的責任)の一環にもなり、企業のイメージアップに大きく貢献するからです。企業の社会的評価が向上すれば、企業の成長拡大や人材不足の解決にもつながります。
インクルージョンを導入する際のポイントを紹介します。インクルージョンは決して「導入して終わり」であってはいけません。新しく採用した人たちにとって働きやすい環境を作るほか、今いる従業員たちの意識改革が必要になるなど、押さえておくべきポイントがあるのです。
多種多様な人材に活躍してもらうためには、彼らが働きやすい環境を整えることが必要不可欠です。出産を控えた女性、障がいを持った人、通院しながら働いている人、このような様々な人たちに柔軟に対応していかなければインクルージョンは実現しません。たとえば出産を控えた女性なら、育児休暇が必要になるでしょう。また車いすの従業員がいれば、社内のバリアフリー化は避けて通れません。このように社内の制度や設備を拡充することで、働きやすい環境を作ることができます。勤務体制についても、リモートワークや短時間勤務など多様な働き方を可能にすれば、多様な人材に対応しやすくなります。また労働時間や休暇制度を見直せば、体力に自信がない人でも働きやすいでしょう。先述した育休制度や教育プログラムを整えるのも、インクルージョンには良い取り組みです。
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インクルージョンのようにお互いを受け入れ、尊重する意識が社内に根付くようにするためには、社内研修などを通した従業員の意識改革が必須です。なぜならインクルージョンの制度を構築するだけでは、暗黙の区別や差別が生まれ、本当の意味でのインクルージョンを達成したとは言えないからです。そのためには研修を行い、各従業員にインクルージョンの必要性について理解を深めてもらわなければいけません。
ダイバーシティは採用時の男女比率などを数値化すれば評価がしやすいという傾向があります。ところがインクルージョンは社員の満足度やモチベーションなどの「心理的側面」が大部分を占めるため、数値で評価することが難しいです。このためインクルージョンを導入した際には、従業員満足度の調査を行ったりアンケートを実施したりすることで、客観的にインクルージョンの推進度合いを把握できるようにすることが大切です。
日本において労働人口の減少が問題視されている中、企業にとって多様な人材を採用して活用していくことはとても重要な課題です。定着率向上や企業イメージアップのためにも、インクルージョンには積極的に取り組みたいところです。インクルージョンを推進するには「導入して終わり」ではなく、多様性を活かせる環境づくりが大切です。
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