【企業事例付き】パーパス経営とは?意味や注目される背景を解説

自社の存在意義を明確にするパーパス経営が注目されています。パーパス経営をする企業は存在していましたが、以前はそれほど多くありませんでした。しかし環境問題や経済の変動などの背景により、徐々にパーパス経営を重視する企業が増えてきています。ここでは、パーパス経営の意味や注目されるようになった背景などについて解説します。
 

1.企業に注目されているパーパス経営とは?

パーパス経営とは、企業の経営理念で自社の存在意義を明確化し、存在意義を軸にした経営を行うことを指します。もともとパーパス(purpose)は、日本語で「目的」「意図」「意思」などの意味がある英単語です。パーパスの日本語訳から、「存在意義」「志」といった考え方に変わっていきました。現在では多くの企業でパーパスを設定したり、パーパスに基づく経営計画を推進しています。また企業側はもちろんのこと、消費者側もパーパスを定めている企業を支持する人が増えてきています。社会的に価値の高い企業の商品やサービスを選ぶことで、間接的に社会貢献ができるからです。
 

2.なぜパーパス経営が注目されているのか?

海外のビジネスシーンを中心に、パーパスを重要視する考え方が広まりつつあります。では、なぜパーパス経営が企業から注目されるようになったのでしょうか。ここからは、パーパス経営が注目されるようになった背景を紹介します。

2-1.DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進

現代社会ではデジタル技術を活用し、事業を良い方向に導くDX(デジタルトランスフォーメーション)の波が広がっています。特にコロナ禍でリモートワークが始まると、多くの企業がDX化を推進する必要性に迫られました。しかしITツールの導入だけで満足し、その先の変革や改善まで求めない企業が多いのが現実です。DXを推進することでビジネススタイルを変えていくには、「自分たちが何をするべきか」を今一度考える必要があります。そのため、DX化の目的を振り返り、自社の存在意義や社会に対する貢献の仕方といったパーパスを見直す企業が増えてきています。

2-2.SDGsとサステナビリティ経営

地域温暖化や貧困、飢餓などの課題が多い中、SDGsへの意識が高まっています。SDGsとは、持続可能(サステナビリティ)な社会を実現するための世界目標のことです。2030年までに達成するべき17の目標が設定されており、国や個人レベルの取り組みだけでなく企業が取り組むべき課題も含まれています。SDGsの目標が設定されたことから、企業でも事業の持続性を向上させるサステナビリティ経営が評価されるようになりました。サステナビリティ経営を行うためには自社の存在意義を明確にする必要があるため、パーパスの見直しが行われるようになったのです。SDGsやサステナビリティ経営の取り組みに関心がないと、世間から社会の課題に対する意識が低い企業だとみなされ、結果的にブランド力の低下を招く恐れがあります。特に若い世代は社会問題の解決への関心が高く、商品・サービスを選ぶ際や就職活動時の企業選びの軸としてパーパス経営を重要視する人は少なくありません。

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3.パーパスとMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の違い

パーパスと混同されやすい概念に、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)という言葉があります。パーパス経営が登場する前は、MVVという概念が一般的でした。パーパス経営を理解するために、パーパスとMVVの違いを理解しておきましょう。ミッションは「企業が果たすべき使命」、ビジョンは「会社としての理想の姿や実現したい未来」、バリューは「企業の価値観や行動基準」といった解釈ができる言葉です。MVVは未来に向けた実現すべき姿を示す概念のことで、必ずしも社会的な貢献を示す必要はありません。一方、パーパスの内容では、社会に対する自社の価値や存在意義を示す必要があります。パーパスは未来ではなく、現在あるべき姿について考えるものなのです。どちらも企業経営の概念ではありますが、社会とのつながりを重視するかどうかが異なります。
 

4.企業がパーパス経営に取り組むメリット

ここからは、企業がパーパス経営に取り組むメリットについて解説します。

4-1.ステークホルダーからの支持

パーパス経営のメリットの一つは、ステークホルダーからの支持を得られることです。企業や従業員がパーパスを理解しているからといって、第三者も理解しているとは限りません。企業のパーパスを定めて、第三者に企業の存在意義をしっかり伝えることが大切です。また、パーパスに積極的に取り組むことで、その企業の信頼感が高まります。消費者や株主などのステークホルダーから共感を集めることができれば、企業を応援したいと思ってもらえるようになるでしょう。パーパスに共感しサポートしてくれるステークホルダーが増えれば増えるほど、ブランディング効果が高まります。

4-2.従業員のエンゲージメント向上

従業員のエンゲージメントが向上するというメリットもあります。パーパスが定まっていない企業で働く従業員は、何のために働いているか分からなくなりモチベーションが低下します。しかし、パーパスを見直すことで、ロイヤリティやエンゲージメント向上が見込めます。パーパスを掲げて従業員が働く意義を明確にすると、そのパーパスが企業と従業員の共通項となるのです。パーパスを取り入れることで従業員のロイヤリティやエンゲージメントが高まれば、個人の力を最大限に引き出せるようになります。企業のパーパスに従業員が誇りを持って業務を遂行してくれるようになると、より生産性が高まるでしょう。

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4-3.革新や変化の創出

パーパスを設定することで、従業員が同じ方向を向いて足並みを揃えることが可能になります。自分たちが何を実現するべきか明確にすると、そのために何をするべきかが定まるからです。パーパスによって組織に一体感が生まれ、自分が所属する企業のために自らが行動しようとする従業員が増えるでしょう。従業員同士のアイデアや意見の交換が活発になれば、新商品の開発や既存サービスの改良といったイノベーションの創出が期待できます。
 

5.パーパス経営に取り組む企業事例

日本国内でもパーパス経営に取り組む企業が増えてきています。ここからは、パーパス経営に取り組む企業事例を紹介してきます。

5-1.大手総合電機メーカーの事例

ある大手総合電機メーカーは、2019年のコロナ禍に自社のパーパスを発表しました。円滑に仕事をすることが難しい環境の中、パーパスを定めることで従業員の意識を統一し足並みを揃えました。そのため、コロナ禍での業務プロセスにも大きな影響はなかったといわれています。ストレスを抱えがちな消費者のために、映画公開や新しいゲーム機器の発売などにも尽力しています。また支援基金を設立し、コロナの影響を受けている人をサポートする活動も行われています。社会的貢献度が高い取り組みを行った結果、過去最高益を出すことに成功しました。

5-2.大手食品飲料メーカーの事例

ある大手食品飲料メーカーではパーパスを掲げ、食を通じて持続可能な社会になるための取り組みを実施しています。サステナビリティな企業としてSDGsを達成するために、具体的でグローバルな数値目標を設定しました。例えば、自社の調理食品ブランドを使った料理教室を世界各地で展開したり、子どもたちが健康な生活を送れるように支援しています。また、農村で暮らす人々の生活を向上するために、コーヒーのサステナビリティプログラムを実施するといった取り組みも実施しています。農村のコーヒーの生産を支援することで、農業従事者の低収入や高齢化などの課題解決に取り組んでいます。

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パーパス策定で自社の在り方を見直してみよう

社会情勢の変化などにより、パーパス経営を重視する企業が増えてきました。持続可能な事業を続けていくためにも、各企業がパーパスを定めることがさらに重要となるでしょう。企業の存在意義や、やるべきことを明確にすれば、社会貢献にもつながるはずです。自社のパーパスについて考え、社会における企業のあり方を見直してみましょう。
 

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